旅のことばカードから私の話を書くブログシリーズです。
旅のことばとは?
 
【自分なりの表現14】
人は誰でもアーティスト。
 
旅のことばカード」の2から15までは、[本人]の旅のことばです。
本来なら父や母それぞれのことばを綴るものですが、父や母を見守ってきて感じたわたしのことばとして書き記してみます。
 
本文ここから~~~~~~
 
日々の生活のなかで、言いたいことがうまく言えていないような気がしています。
そのとき
気持ちがうまく伝えられないと、そのときどきでストレスがたまるだけでなく、徐々に自信が薄れていってしまいます。
そこで
ことば以外の方法で、自分の気持ちや感覚を表現することを楽しみます。
 
~~~~~~ここまで
 
・若年性アルツハイマーだった母
母は自分を表現することが少ないどころかないのではないか?という人でした。
母を思い浮かべて、すぐに「母らしい!」と思うモノが思い浮かばなかったから。
けれども母なりの表現は、自宅の生活の隅々にささやかにちりばめられていました。
でもそれは、元気で細やかで気遣いの行き届いた母だからできたことがほとんど。
それも様々な努力の結果です。
 
「これからはどうやったら私が母らしさの表現のお手伝いができるだろう?」
わたしの母への想いのすべてはそこにあります。
食べ物や身に着けるもの、普段使いの日用品。
日常の音楽やおしゃべり。
 
五感を満たすささいな物事が母の気持ちや感覚を表現するものだと今は理解できます。
母らしさは、母の表情にいつも現れています。
母らしいときは、柔らかく穏やかでにこやかな表情。
そうでないときは、こわばったり気難しい表情や、無表情。
 
わたしにとって愛おしい時間のひとつは、母らしさを感じるひとときをともに過ごすことです。
自分なりの表現は、誰でもどのような状態でも楽しめるものだと信じています。
母の笑顔を誘うモノは、母らしさを表していると知ったから。
 
 
・脳血管性認知症を発症した父
父はあまりしゃべりません。
あまりしゃべらないのに、鬱憤がたまってちょっとしたことで、突然爆発します。
困ったなぁと思っていました。
自宅にいる父は、読書やテレビラジオばかりで、それ以外に何もしなかったから。
 
しかし自宅には楽器がいくつかありました。
すべて父のものです。
リコーダーやアコーディオン、島踊りにつかう太鼓やハーモニカの様々な種類。
わたしが子どものころ父は時々自宅で演奏しましたが、わたしが大人になってから見たことはなかったように思います。
あるとき、母の通うデイサービスの責任者の方が自宅にいらっしゃって、ハーモニカに気づき父に演奏してもらったことがありました。
 
そのときその方が父のハーモニカをとても気にいってくださって、デイサービスで演奏してほしいと頼まれました。
実際にデイサービスに伺ったとき、みなさんの前でハーモニカを演奏する父は生き生きしてとてもいい笑顔。
父の特技のハーモニカで、父が自信を取り戻す瞬間を目の当たりにしました。
父の記憶は徐々に落ちてはいるものの、ハーモニカを演奏しているときの父の表情は、昔の父そのものだなぁと実感します。
父のハーモニカは父の自信そのもの。
今でもリクエストにこたえ、母の好きな曲を演奏します。
母はとなりで、歌詞は忘れてしまったので、メロディを口ずさみます。
両親の間に流れる穏やかな雰囲気。
その人らしさというのは、いつまでもちゃんとある!
それを感じるとき、しあわせだな~と思います。
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松元佳子
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