認知症両親の在宅介護中に母が肺炎を患ったことがありました。7年前のことです。その時、アルツハイマーの母親の緊急入院(デイサービス中救急搬送)で親の寿命は子が決められると初めて知りました。
薄々感じていたことではありましたが、やはり当時は「まさか!信じられない!」と思いました。
けれど、母の付き添いを24時間するうちに、「まさか!」は「そうなんだ!」という確信に変わりました。
さて、子である私が親の寿命を決められるとはどういうことか?
肺炎という体力的な付加がある母親に、家族の付き添いがなければ、身体拘束というストレスがさらに加わるから。
母にとって身体拘束はこれ以上ない屈辱で、肺炎治療のための点滴の針を何度も自分で抜いたり、日常生活とかけ離れた病室のベッドで突然立ち上がったり、想定外の行動に出ることがしょっちゅうありました。
両手にミトンを装着しただけで、顔つきが鬼の形相になり、私たちに対して攻撃的になりました。
緊急病棟で看護師が走り回るようなピリピリした空気。それだけで母が暴れだす十分な理由。
どんなに話かけても、眉間にしわを寄せ私の知っている普段のボケてる母はいません。阿鼻叫喚。
その後ずっと母の手を握り、母が安心するよう語り掛け続ける付き添いをしました。
もしも付き添い方法を変えなかったとしたら。
また、父が入院することになって母の入所する施設を探していたときのことです。
とあるグループホームが異常に静かでした。
そのグループホームは内科医が経営しています。安心かと思いきや。
管理者にその理由を聞いたところ、悪びれる様子もなく、「うちは働く人のために薬を使いますから」といいました。
「薬」とは睡眠導入剤や向精神薬です。
過剰投与が疑われる様子でした。
こういったグループホームでは、認知症の人が暴れたり暴言を吐いて騒がないよう、薬を使ってコントロールします。仕方がないといえば、仕方がない状況です。薬で静かでおとなしくなった入居者は、結果として寝たきりの状態になり、筋力がおち、その結果誤嚥が増え、誤嚥性肺炎でなくなる確率が高くなる。書いている意味がわかりますか?
ということで。
どのような病院に入院するか?
どのような施設に入所するか?
ここが寿命の決め手です。
意識的にしろ、無意識にしろ(無知という意味で)、認知症の親の寿命は決められるのです。
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松元佳子
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