認知症の両親は、今のことをすぐに忘れる。
父が認知症だと知らない人は、
父が認知症だとはわからないだろう。
それくらい空気を読んで人と話しができる。
そういう意味では、
人とは素晴らしい能力を持っているんだなぁと感心する。
 
そして認知症の父は。
今、今のことをすぐに忘れる。
認知症も進行してくると、
すぐに忘れるほうが本人にとってストレスが少なくていいんだと今の私は思える。
覚えていないからしあわせということは、
実はたくさんあるからだ。
 
だとしても、
覚えていないから、
何度も悲しむこともある。
 
父。
自分の実母が死んだことを覚えていなかった。
妹次女が、
「今週はおばあちゃんの命日があるね~。」
なんて言ったら、父。
「いつ死んだのか?」
 
私個人的には、
介護のもっともつらかった時期に、
祖母のお通夜お葬式、
その後の7日ごとのお弔いに、
父と一緒に毎週田舎に通った。
それもマイカーを持たない私なので、
運転手と車を確保し、
道中や田舎での時間のために
たくさんの下準備と道具を持参するために、
準備に数日を費やし、
当日は一日中神経を張り詰め、
細心の集中力でサポートしたのだ。
忘れもしない日々。
 
それをすっかり忘れて、
再び実母が死んだ悲しみに襲われる父。
 
いろいろな意味で切ない(笑)
忘れてしまうことの良し悪し。
 
自分の苦労も
父の悲しみも
忘却の彼方。
 
だとすれば。
その時自分がどれだけ満足したか?
自分の思う自分のできるだけを達成できたかどうか?
それが大事なんだと思った。
「今を精一杯自分に誠実に生きること」
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松元佳子