認知症両親とコミュニケーションが取れない原因を突き詰めていった結果、その原因は私自身にあった。
母が若年性アルツハイマーの症状が出始めたころ、母と話が合わなくなり。
母が自分の記憶がおかしいと感じ始めたころ、母はそれを取り繕うために口数が少なく頑なに。わたしが質問しても答えてくれなかったり、はぐらかされたり。
母に起こった若年性アルツハイマーという異変で、家族間のコミュニケーションもまた取りにくくなった。
それで単純な私は、
コミュニケーションについて学ぼう!
心理学を学ぼう!
コーチングを学んでみようか?
いや、NLPがいいのでは?
学ぶことで解決しようと試みる。
しかし
根本は、学びで解決するものではなかった。
アプローチとしては、ありだけれども(笑)
私は、学びに逃げた。
人によっては、宗教やスピリチュアルに現実逃避してしまう場合もあるだろう。
なんといっても認知症という病気は、本人も家族も受け入れがたい。
ただただじわじわと忍び寄る恐怖でしかない。
目の前の現実を受け入れたくなくて、様々に現実逃避したい。
どうか嘘であって欲しいと願う。
ん?
ということは。
わたしたちは、現実逃避しているだけ?!
まず、受け入れるところからはじめるのか!
しかし、受け入れたところで。
苦しみや悩みは次々にわいてくる。
それはなぜ?
自分の人生の終いが決まっていないから。
自分の願いを叶えてこなかった後悔が先に立つ。
あれもしたい、これもしたい!
なのに、なにひとつ私は叶えていない!
あれもできない、これもできない!
つまり。
日々に追われ、
自分以外の誰かのために、生きてきた。
自分の人生なのに、自分の思いを叶えていない焦り。
そしてさらに家族は否応なしに付き合わされる不安と不満。
ということは。
自分の人生をどう生きたいのか?
自分の夢や希望は何か?
本当の自分の気持ちを知る努力。
そんなところに行き着くのではないか?
私は、自分の人生どう生きたいか?
決まっていなかった。
それに加えて、偽りの自分を生きていた。
そして若年性アルツハイマーを発症した母も家族それぞれも、本心を隠してしまった。
誰も本音を語らない。
人は、本音で語らない人とは、つながらない、つながれない。
コミュニケーションが取れないのは、偽りの自分だから。
人生がはっきり決まっていないから。
どう生きたいか決まっている人に、迷いはそれほど起こらない。
無念さはあっても、なるべく達成するよう努力するだけ。
何も決まっていないから、
自分のために何も努力してこなかったから、
迷いが生まれ漠然とした不安や怖れにさいなまれる。
それは、学びや宗教やスピリチュアルで解決できるものではない。
自分と向き合い続けるだけ。
私は私自身と向き合わず、期待される私を演じていたから、過酷な状況を受け入れられず、本質から離れて現実逃避していた。
コミュニケーションが取れないと思い込んでいた。
素直になればいいだけだったのに。
そうはいっても。
そう簡単に自分の本音を素直に言えたり、
生き方が決まっている人はなかなかいない。
ならばどうすればいいか?
終活をしてみる。
自分の死を想うとき、本音が見えてくるのではないか?
その結果。
自分に向き合って、
ようやく自分の本音に近づき、
言えるようになっていった。
そうすると。
両親も本音を言うようになり、
両親の本音がわかるようになり、
私が素直になった分だけ、
両親の素が見えるようになった。
さらに。
言葉は少なくても、
相手にかけた言葉で、
相手を注意深く観察すれば、
相手がどう思い感じているのか?
わかるようになる。
問題や原因という前に、
自分と向き合い自分の素を知ればいい。
自分がわかれば、相手もわかる。
事実が事実であるだけ。
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