私母のこと
実はよく知らなかったんです。
 
母のことをよく知らなかったことで、
母の症状が進行するにつれて、
「どうしたらいんだろう?」
と悩むことが多々ありました。
 
「母にとって快適な環境を整えたい」
と思っても、
母の快適な環境が何なのか知らないので、
整えようがなかったのです。
 
母の病気が治らないなら、
せめて母の好きなもので
まわりを埋め尽くしたい、
そう思ったのに。
 
親のもしもに備えるなら、
・親の趣味趣向
・部屋での過ごし方、日課
・音楽をはじめ、日常生活で使う道具家具日用品などの好み
・好みのファッション、肌触りのいい部屋着
などをインタビューしておくことをおすすめします!
 
さて、
わたしの20年前。
母自身の好きなモノやコト、
夢や老後の暮らし、
理想の部屋、
会いたい人、
くつろいだ時間の過ごし方など、
全然知りませんでした。
 
なぜかというと、
良妻賢母のかがみのような母。
 
自分のことより家族。
いつも家族親族の誰かのことを気にかけ
さりげなくフォローをする母。
気遣いのかたまり。
 
常に自分の持ち物や洋服など
身の回りのものは最小限。
母の好みを知るほどの
手掛かりにはならない。
 
今思うと自己承認欲求が皆無な母。
 
 
それで結局母の知ることはできたのか?
 
母が求めているものはモノではなくて、
人の温かいこころだった。
 
だから母はモノへの執着はあまりなく。
好みはあるようだったけど、
そこに執着はなかった。
 
母に「これ好き?」
と聞いてみればわかる。
 
殺風景な今の施設の部屋に、
こだわりはない様子。
 
ただ窓から見える景色が
とても気に入っているみたい。
 
木々の葉が風に揺れたり、
空が見えたり、
鳥や虫の声、
自然の音。
 
それを感じた母が
私に教えてくれる。
 
「きれいだね~」って。
 
だから、できるだけ時間を作って母に会いに行く。
良かった、母のことが理解できて。
 
大切な家族と一緒に過ごし
自然を感じる時間が母の喜び。
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松元佳子
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