認知症の両親と一緒に過ごしていると、
何もかもがうまくいかない気がしてひどくイライラするか、
ドンドン無口になるか、
なんだか部屋の空気がいたたまれなくなって、
母がわーわー騒ぎだしたり、
自分は自宅に逃げ帰りたくなってしまう、
そんなようなことがよくありました。
「親と楽しくおしゃべりできたらいいのに。」
と思ったのがはじまり。
親とコミュニケーションがうまくとれないというのが、
認知症介護での最大の悩み。
だからこそ、
強く強く思っていました。
感じる力を磨こうと気づいたのは、
母に食事介助が必要になったとき。
よく噛んで食事する母の食事介助は1時間以上に及び、
気が短くてたまった家事を効率よくやりたい私は、
食事介助の時間が苦痛でひどくストレスを感じていました。
ただ気づいたことをべらべらしゃべるようになったら、
母が案外答えてくれて、
「あれ?!ちょっとうれしいかも!(笑)」となりまして。
感じる力というのは、「五感」です。
五感:味覚、嗅覚、触覚、視覚、聴覚
母の食事介助中にしゃべりかけるとき、
五感を意識してしゃべるようにしました。
並んだおかずを見ながら、
母にどれから食べようか?といい、
母の視線を追い、
「緑が綺麗!まずは、これにする?」
<視覚:色、見栄えなど>
「いい匂い~!美味しそうだね!」
<嗅覚:料理の肉魚薬味など特有のかおり>
「固くない?熱くない?」
<触覚:触感や感じる温度>
「美味しい?ちょっと甘いかな?!」
<味覚:甘い辛い塩辛い酸味など>
食材に関する知識が豊富になり、
旬や調理法や好き嫌いを喋ると、
意外と母が頷いてくれて、
食が進む感じ。
自分もそうだけれども、
母だって楽しく食事したいに違いない。
テレビに見入っての食事介助だと、
途端に不機嫌になって、
おかずや食材で遊びだす始末。
これは、お散歩などの外出にも応用できます。
母がなるべく好きなもの快適と感じるように、
言葉で気持ちを誘導する感じです。
楽しい表現だとつい笑っちゃう、そういう感じ。
認知症の両親にイライラなどのマイナス感情はほんの少しでも一気に伝染します。
ちょっとした感じ方を快適な方向に向けることができるのが、感じる力だと思うのです。
慣れるまでにちょっとしんどいこともあるかもしれませんが、慣れたら楽しいを通り越して面白おかしくなります。
落ち込みがちだった気分も、
笑うと一瞬でもすっきりするもの。
試してみませんか?
~~~~~~
松元佳子
☆Twitterhttps://twitter.com/YoshikoMbpe