トイレ介助の難しさ。
なーんにも考えないで、「トイレ行きたい→トイレ行く→すっきりする」ことができるのが普通の人です。
自らトイレに行きたいことを言えない方、からだの機能の低下などによって行動が思うようにならないために介助を受けざるを得ない方、などトイレ介助の必要な方々にもいろんなタイプがあると思います。
そんな方々の心理的なストレスを考えたことありますか?
上に書いた3つの部分に、「どうしよう?」「なんていう?」「誰に言う?」「とても言えない!」などといろんなことを考えるのでは?
排せつ行為の繊細さに介護する人はもっと敏感になるべきだと私は思うのです。
というのも、昨日両親の入所する施設でわずか1時間半の間に2回も母のトイレ介助をしたときに母の表情動作などで改めて感じたことがあったから。
母の場合、排せつ感覚はあるのですがどうすればいいのかわからないので、極限まで大小を我慢して、誰かがそれに気づいてトイレ誘導できればトイレででき、だれも気付かなければ限界を超えた時点でリハパンに漏らしてしまうという状態です。
トイレ誘導できても、排せつするまでに少し時間がかかります。
介助者の手際手順や声掛けが適切でないと、不潔行為やどんでもない大惨事(急に立ち上がってしまい尿便があらゆるものに付着等)になったりします(これは介助する側からの感じ方で、本人にその行動にいたる不整合はない)。
この時排せつ環境を整えることを考えます。
例えばあなた、トイレで自分以外の人がいるとき、気にせず排せつできますか?
違和感ありますよね?
あんなに漏らしそうだったのに、とまっちゃうことだってある!
そういうことを踏まえて、準備ができたら声掛けして1人にしてあげる。
すぐそばにいるから、終わったら読んでね!とか。
隠れてこっそり見守るとか。
外に出ても、相手の様子やパターンを考えながらずっとまたは必要に応じて声掛けします。
この相手の様子やパターンを知るには、介助を受ける側も介助する側もお互い失敗の連続たまに成功!で試行錯誤を重ねることです。
排せつには、お互いかなりのストレスがかかるといえます。
排せつ行為が終わったら、きちんと声掛けしながら丁寧に清潔にします。
清潔にしなければならない理由を添えると、お互いちょっと気楽になったりします。
清潔にしなければならない理由:感染症を防ぐ、かからなくてもいい病気にならないための予防になるということ。
清潔にすることは心地いいと感じてもらえるよう、冬は自分の手やおしりふきやタオルを温めておくなど、細かな配慮を忘れないこと。
最初は嫌がるのが普通ですが、丁寧に清潔にすることは気持ちいい=快適のための最低条件!そうして、トイレ介助で築かれた信頼関係は、お互いの快適な日常生活に大きな影響があります。
まだまだ暑苦しく語れそうですが、話がそれてきたので。
施設の両親の部屋に行くのは午後2時前後。
母は必ずベッドに横になっていて、ぶつぶつ独語つぶやいています。
昨日の場合は、いつもなかなかベッドから起き上がれないのに、起き上がってお尻を少し浮かすようないつもみない姿勢でした。
これは、リハパンがびしょびしょ気持ち悪いからに違いないなと思い。
わたし:お母さん、来たよ!よしこだよ!こんにちは!
母:(ウルウルの目で、瞼を閉じたりし開けたり=目をぱちぱちさせながらうなずく)
わたし:ねぇお母さん、お尻(と言いながらお尻のあたりをさわり)気持ち悪いんじゃない?トイレに行こう?!きれいになろう?
母:(うんうんと目をぱちぱちさせる)
お尻を触ると、濡れてる。
防水シーツも濡れてる。
母をベッドからおろし、靴を履かせ、トイレに誘導し、トイレに座ってもらう。そのままの状態でいるように声かけしながら、着替えと替えのリハパンとパッドを用意し、清拭用のタオルを準備して、優しく声掛けしながら清潔にし、丁寧に着替え終了。
使用後のリハパンと、着替えた服と使用したタオルを職員に尋ねて渡す。
このとき、職員の方に、
「さっき着替えたばかりなんですよ。」
と言われ、傷つく私、怒り出す妹次女。
知ってますとも、食後にトイレ介助してくだってること!
だけどその後に出ちゃったんだから仕方ない。
だから、トイレ誘導し、着替えさせ、濡れた防水シーツをまとめて、お願いするために来ていただいただけのこと。その先は、この施設のやり方もルールも知らないので聞いた。
そんな家族にまず
「さっき着替えたばかりなんですよ。」(表情にイラッと感出てますよ!)
母も表情が暗くなっちゃってます。(傷ついた)
本人だってわかってますよ、だからじっと動かないでいたのですよ!
(うるうるな目でじっと動かないでいるという行動は、本人のお世話してくれる相手に対する誠意の現れなんだけどな。)
そもそも排せつ行為は生理現象、仕方ないことこの上ない!
と言いたくなりましたが、今後の関係やそれぞれの心理的ストレス拡大の状況を考え自粛。
聞かなかったことにして(スルー)、次々と協力的な質問をしてその場をクリア。
トイレにあった排せつ状況一覧表の書き方だって聞いて書いた!
言ってもすぐ書かないと忘れちゃうから記録にならないよなーと思って。(思いやり、さっきのスルーに対応)
ギブ&テイクの人になってる?
うー。
難しい。
人に伝えること。
どこからどこまで。
どうやってどんなふうにいったら?
妹次女をなだめつつ。(しばらく根に持ってた)
その後すぐに替えの防水シーツを敷いていただけました。
よかった~~~。
その後、食堂でおやつの時間だったので、移動してお付き合い。
おしゃべりしてのんびり過ごす。
二度目のトイレ介助は帰る前に。
わたし:お母さん、わたし○○叔父のお見舞いに行くからそろそろ帰んなくちゃならにんだけど、一緒にトイレにいってすっきりしない?
母:(目ぱちぱちさせる=OK!)
わたし:じゃ、行こう!
これまで椅子やベッド、トイレからの立ち上がりが不安定だったのだけど、今度はかなりすんなり。
介助の仕方にもコツがあって。
コツというのは、相手を観察して相手の状態と気持ちを考えてそれに自分を合わせてみればわかるもの。
母の場合。
「立つ」という言葉がたぶん理解できない。
「立つよ」と言いながら、「ここはお尻(ポンポンと軽くたたくような感じで触れる)、足(太ももから膝にかけてポンポンと)に力をいれて踏ん張って立つんだよ~」ってお知らせして。
わたしは母の椅子の正面になるよう母の椅子を動かして中腰で母のわきに腕を差し込み抱きかかえるように(そのとき、自分はスクワットの要領で腰、膝の負担が軽くなるようしっかり姿勢を整えて呼吸も深めで)目を合わせて、了解を得てから、「いちにのさん(この言い方に母が慣れているし、たぶん気に入っている言葉のようだからこの掛け声)で一緒にたちあがろうね?!じゃ、いちーにーさんっ(すごくゆっくり)母のからだを抱きかかえるときに入れる力は徐々にしっかり(いきなりぎゅっと力をいれると母がびっくりして怖くなって緊張して暴れるか固まってうごかなくなるから)」動作は超スローモーションくらいでゆっくりゆっくり立ち上がるつもりで。
立ち上がってからもすぐにからだを離さず、母のからだ=筋肉が立ってるという状態を認識して安定するまで声掛けしながらゆっくり待つ。母のからだを自分のからたと片手で支えながら反対の手で背中、腰、お尻、足の状態を確認する。ここで急に動くとけがなどの原因になりうる。
ちゃんと自立できたのを確認して、その行為ができたことに感謝する声かけも忘れない。
できるだけ心地いい声掛けの反復によって、脳やからだの機能を維持することができるような気がします。明らかに母の反応が良くなっていきますから。
その後部屋までの歩きはかなりしっかり。
ちょっと前まで母の前で両手の手引き歩行だったのが、左右にわたしと妹次女でふつうの手つなぎでふらつかずにゆっくり歩ける感じ。
その後お部屋でトイレ介助はすんなりでき、立ち座りも排せつも最近には珍しいほどスムーズで、母もとてもそのことがうれしいらしく表情が明るくなっていました。
うれしいこと幸せなことは、ささやかなこと。
ささやかを大切にできる余裕やゆとりがあれば、無駄なストレスもかかるまい。
これだけ神経使うと、夜は爆睡!
しあわせだ!