母が今の施設(介護付有料老人ホーム)に移ってからの約束、「外出する」をやっと果たせました。
外出するといっても、わたしにも母にもいくつか条件があります。

まず、わたしがマイカーを持っていないこと。
移動手段の確保
両親の入所する施設は、自宅から車で30分くらいの場所にあり、車以外に交通手段がない。
「自分が会いに行くために、妹たちか旦那どのを誘う」が第一条件。

母の車の乗降、歩行、トイレに時間がかかる。
ゆったりとした行動時間の確保
わたしたちにはものの1~2分の行動も、母には大仕事で大変な労力というか負荷を伴うので。
一つ一つの動作の認識も曖昧または理解不能なので、それを声かけと触れることで安心と安全を伝えながら動作の仕方などを促し促し、10分でも15分でも時間をかけます。決して、せかすことなく、表情とからだのこわばりなどを確認しながら、できるだけ痛みを伴わないよう細心の注意で。

外出先でのトイレ
排泄場所を確認しておくことは、超重要です。
排泄行為をスムーズにすることは生きているうえで食べることの次に大切なこと。
気持ちよくできる場所を知っておくことは当たり前。
事前リサーチは必須。
ユニバーサルトイレなら介助する人の性別に関係なく入れることと、広いので介助が楽です。介助者がしゃがんだり中腰になったり、おむつ、パッドの交換、着替えがゆったりとできます。
ただ、介助者は荷物が多いのですが(おむつや着替え、飲料などを持参しているため)荷物置きが広いと助かります。荷物置きまで配慮しているユニバーサルトイレは意外と少ない。
母の場合は2時間に1回はトイレタイム。

食事やお茶タイム
食べることに介助が必要な母。
歩くとき手をつないで歩行介助も必要になってきた母。
通路の広さ、座席の間隔、椅子の形状など、気になります。

移動時間、車内での時間。
快適性(座り方が悪くて尿漏れなどしないように)(防水シーツ・姿勢補助のクッションを使う)、危険性(ドア、窓、ボタンなどを触る、たたく)、座ったままの時間を短く(足を動かすちょっとしたレク)、脱水(車内は意外と乾燥しがちなので水分補給のジュースやお水を準備)注意したほうがいいことは、気づくだけでもこんな感じ。
なるべく母が不安を感じないよう、隣に座って、手を握って、しゃべり続ける(視覚の部分を補助する、匂い(木や花)、聴覚(警笛、電車、鳥のさえずり)を楽しめるように興味のありそうな部分を切り取って、というのが母が安心してドライブできるスタイル。


こんな感じに注意事項があると、わたしは勇気と気合い=心構え(よっしゃ!なんでもこいっ!)が必要です。


で、どこにいったかといいますと。
両親の昼食後1時頃を見計らって施設に到着。
施設のスタッフに、母の外出許可をいただき。
(父には説明し、了承済み)
おむつなどの準備。
(使用済みを入れる袋、おしりふき、便座シートなど)
着替え。
(トイレで脱ぎ着を失敗した場合に備える)
外出。

施設近くのジェラートショップへ!
人気のお店なので、混雑する前に到着し、ゆったりとテラス席をキープし、いただく!
母のテンションマックス!!!
やったーーーー!

のんびりしたら。
薩摩焼の窯元が集まる陶芸の里を散策。
メインストリートを一本入ると、懐かしい感じの道が続き、緑に囲まれ、野鳥の声が響き、自然の風が優しい気配を運ぶ。
母の大好きな緑や花、母が育った実家の昔の風景によく似た場所。
太陽を浴び、日陰に入り、とゆっくりゆっくり母のペースで歩く時間は、現実から離れた素敵な異空間。
1時間ほど。
車にのって、水分補給と葛餅で栄養補給。


施設の駐車場に到着。
母豹変!
ここじゃない!といわんばかりに必死の抵抗。
(私たち姉妹と自宅に帰りたかった様子)
あーーー。
さっきまでスムーズにできた車の乗降が、母のからだには驚くほどの力が入り、必死で手足を伸ばし、介助できないように、「痛い痛い痛い!!!」を連発。
ちょっとだけ強引に抱えたら、頭肩脇腹お腹背中とたたかれ放題のわたし。
「痛いよ~~~~!」
だけど、母の心の痛みに比べたらなんてことない。
「もっとたたいていいよ~」
っていったら、もっと叩かれた…。
叩く母は、必死なので、むっちゃ痛いんです。
普段は弱弱しい母にこんな力どこから出てくるの?っていう。
これは格闘技ですか?!
それでも、なんとか、徐々に、受け入れて、施設の中に。
今度は、暴力が治まって、大声の暴言。
皆様に大注目される。
なんとかお部屋に誘導して、トイレへ。
またしても叩かれながらすっきりしていただき。
父の待つ、食堂へ。
妹たちが母と父を見ている間に、スタッフに外出時の報告。
それからさらに衣類の入れ替えをして、父と雑談して、母の主張を聞いて。
30分ほど過ごし退出。

長かったし、濃かったな、時間。
果たせた約束で、母が元気になっていることがわかったのは大収穫。
前の施設で飲まされていた安定剤をやめた効果が出て、自宅で過ごしていたころの母に戻ってました。嬉しかったけど、痛かった。。。

次回は、父も一緒に外出できるよう、大きな車、だな。