(56) ねずやま?・・・の意味が わからないまま | すずめがチュン

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アケノさんを取りまく風景をおとどけしてます。











2014/7/10 撮影

話しは、夢から持ち帰った


 ふしぎな言葉のあれこれに移っていく。



「いろんな言葉、もって来るよね」


   「うん・・・・」


「この前、またふっと思い出したんだけど、あれ覚えてる?


 『 赤ちゃんの プラプラ かわいい お手ては


   天使の ごはん 』 ていうの、」


   「おぼえてる、おぼえてる!」


「これ、きっと天使に会ってたんじゃないかな、あの時


  ・・・・・夢の中で、」


   「うん、で、話してたんだ、天使さんと」


「そうそう、」


   「そうか・・・、飛行機みて、バイバ~イて


    手ふってるトコ、見てるんだ!ゆーくんや、マルちゃんが」


「うん、うん!・・・・確かに、プクプク、ムチムチしてかわいいよ、」


   「ごはんて言い方が、おもしろいけど、わかるよね・・・」


「わかる、わかる!」



 と、想像する。


  肝心の夢の中身の方は?・・・・・・残念、


   たいてい忘れてしまっているので、



「じゃ、これは覚えてる?


  『 父 死に、 力 与え


    母 死に、 その情けは 地に充ち


    子らは生き、  互いに 扶け


    共に栄えん  常しえに  』 っていうの・・・」



   「覚えてる、大きなのぼり旗に、書いてた、って


    いうアレでしょ、」


「うん、これ、何だろ、過去生かな?」


   「そう・・・・ねぇ・・・」


「それとも、やっぱり、何か学習してるのかな?」


   「宇宙船の中で?」


「そう言われると、宇宙船の中には思えなかったけど・・・・


  どこか工房みたいな、


 たくさん職人さんもいて、それぞれが自分の仕事を


  忙しそうにこなしてた、


 筆持って、書いてるのは自分だけだったけど・・・」


    「過去生じゃないかな」


「う~~ん・・・・」


    「字書いてるとこしか覚えてないの?」


「そう・・・・ほんと、そこだけ、覚えてるのは」


    「思いだせたらねぇ、面白そうな夢なのに、」



「ねぇ・・・・


 あ、そう言えば、きのう見たのは怖かったよ~


  ・・・あんまり、こういう夢見ないんだけどね、」


    「どんな?」


  と、夢の話は尽きない。



「それはね・・・・・」と、話し始め・・・・そのとたん


   背中の辺りが ゾワゾワとし出し


  みるみる、腕がもう 鳥肌立っているのだった。



そんなに広い部屋ではない、


  私は、扇型をした不思議な部屋にすわっていた。


 一番手前に、自分、


  向こうに三人、それぞれが扇のカーブの線上に座り


 みな、瞑想の姿勢で胡坐をかき


  前方を見つめている、



見つめる先は、扇の要の部分で・・・・・そこには


  だれか、マスターらしき男性が座っている、



男性は、目を瞑り、こっちを向いていた。



  辺りを見まわすと・・・・


 自分たちの奥、4~5メートル後ろに、何故か


  柵が見える。


見るとそれは、鉄格子だった、


 床から天井まで届く 鉄の柵が


  グルリと扇型にカーブして、私たちの後ろを


   取り巻いていた。


  

中は、薄暗く・・・奥に


  窓のない壁があるようだが、そこが広いのか、


   狭いのか、わからない・・・



 目を凝らす内に、


   中に、ナニかが見えてきた、


  最初、物のように見えていたモノが・・・・・


   人間だと分かり・・・しかもその目が


  自分を見てるとわかった時、


   驚きで、声をあげそうになった。



瞬きもせず、じっと こっちを見据えてる


 その目が、好意的でない事は明らかで、



 もうどれくらい、自分を見ていたのだろう


  と思うと、


   恐ろしさで肌が粟だち、


 叫びだしたくなるのを こらえて


   唾を呑みこんだ。



 視線をそらすと、男は初めて


   瞬きをした。



目が慣れてくると、その向こうにも三人


  それぞれ同じように、前を見据え


   身じろぎもしないで、坐っている


  男たちが見えてきた。



男たちの視線の先に、自分と同じように背を向けて


 坐る三人がいる、


そして、その線の行き着くところに


   マスターが座っているのだった。



そう気づいたとき、マスターが目を開け、


  柵の中の男たちに、頷いて合図した。



「なにが始まるのだろう・・・・と思ったら、直ぐ


  マスターがこっちを向いて、


 その答えを、自分に向けて伝えてきたのよ・・・」


   「・・・・どんなことを?」


「うん、柵の中にいるのは、どうやら重い罪を犯してきた


  罪人らしいの、」


   「わ~っ、怖い!・・・」


「そんな感じよ、見るからに、でね、その罪人たちに


 これからもう一度、自分のしてきたことを追体験させるとか」


   「わぁ~!・・・・」


「男たちは、その体験を、何故か前に坐ってる私たちに


 伝えるみたいでね・・・・テレパシーで、」


   「ゲ~ッ!・・・、なんのために、」


「私たちがそこから感じる恐怖を、のり越えられるかどうかの、テストだと」


   「おお~!・・・・で、どうだったの・・・・」


「う~ん・・・・わからない、」


   「分からないって?・・そこで、目が覚めたとか?」


「そうじゃないんだけど、もうちょっと先まで覚えてるのよ」


   「先って?」


「多分・・・やってると思う、


  でも途中から、声が聞こえてきだして、すぐ後ろに


 いるみたいに、


   ・・・息づかいまで、感じるのよ」


   「ほんとにぃ・・・」


「うん、恐ろしさで我慢できなくなって、振り向いたら・・・


   「いたの!」


「いや・・・ちゃんと鉄格子の中にいた、でも目が凄かった!


 殺されるかと思うくらい、」


   「そう、じゃ・・・乗りこえられなかったんだ」


「どうかな、最後は、『ああ、せめて、あの罪人が、自分の後ろじゃなくって


  前に坐らせてあったらいいのに』 なんて思って・・・・


    目が覚めた、


  どんなことを聞いたのか、そこは・・・・スポンと抜けてるから、多分


 あんまり怖くて、忘れたんだと思う、自分でね」


   「どんな風にして、人を殺めたか・・・とか」


「そう、・・・多分、そんなこと、覚えていたくないでしょ、ダレでも」


   「う~ん、そうね・・・・でも、スゴイ・・・テストだね」


「でしょう・・・・あの目、まだ浮かんでくるもの」


   「ダレだったんだろ、その罪人」


「うん・・・・今、思ったんだけど・・・ひょっとして、自分とかね」


   「え、自分?どうして」


「ほら、人はもう数えきれないほど、生まれ変わりをしてるんだ、


 って言うじゃない・・・」


   「うん、その中には、殺されたり、殺したりした人生も


     あるんだと言うよね」


「そう、だから・・・もしかして自分だったんじゃないかな、って


 そんな事しなければならない辛い人生も、


   今までには、体験してきたんだろうな、って・・・・」



   そう思ったとたん、


    男の光った目が閉じられ


      そこから・・・はらはらと


       涙が落ちたような気がしたのだが・・・・






   つづく