癌は、
人の心、生活、いろんなものを変えてしまう。
精密検査を受けた後の、加トちゃん先生からの言葉。
「厳しいです！」
これ。
この言葉を言われた日から、旦那ちゃんとの会話や生活が、変わっていった。
あんなに楽しかったのに、うまく笑いあえない。
私
「ねぇ。面白いこと言うてよ〜」
旦那ちゃん
「うん・・・」
私は、ほんまに
少しでも免疫力が欲しかった。
癌が治れば、なんでも良かった。
笑うことが少しでも良いなら、笑いたかった。
なりふり構わない。
何かに、すがりたかった。
私
「笑うと免疫力上がるんじゃと。じゃけえ、笑わせて！」
旦那ちゃん
「うん・・・」
重い。
何この空気・・
しゃべれ！
しゃべれ！
面白さだけが取り柄じゃろ？
(おいっ)
その唯一の取り柄は、こういう時！
まるで、
結婚紹介所での、初顔合わせの男女のよう。
どうやら、ブラックジョークが得意な旦那ちゃんは、
下手なこと言うて、ナイーブになっとる、私の地雷を踏むのが怖かったらしい。
私を・・
腫れ物を触るようにせんといけんかった。。。
あんなに楽しかった生活は、どこに行った？
旦那ちゃんはあの日から、180度変わった。
毎日アイスクリームを食べとった旦那ちゃんの、昔からの言葉は・・
「アイスは？
」
「アイスちょうだい〜
」
「アイスがない！」
なのに、
全く言わん。
糖質を極端に制限し始めた私に、遠慮したみたいじゃわ。
あれほど大好きな炭酸飲料も。
お菓子も欲しがらん。
何にも欲しがらん。
しゃべらない。
笑わない。
面白くない。
面白いことは
言えや。
旦那ちゃん・・
今の旦那ちゃんは、小島よしおより面白くないよ。。。
(小島よしおさんに失礼じゃろ。笑)
抗がん剤が終わり、しばらくした頃、
旦那ちゃんが、広告を見ながら言うた。
旦那ちゃん
「わしの好きな●●アイスが198円になっとる！
やっすいの〜
明日買い物行く？」
私
「・・・。」
私はスルーした。
旦那ちゃんはそれ以上、何も言わんかった。
やっぱり欲しいんじゃ・・
抗がん剤した後も、食生活は正しとる。
アイスや炭酸やお菓子を、ほぼ見ることがなくなってしまった我が家。
次の日、
買い物しながら、思い出した。
あっ。アイス・・
急いで売り場に行くと、安い限定数は終わっとった。
・・。
ちょっと考えたけど、カゴに入れた。
わたしは、買ったとは言わず、黙って冷凍庫に入れる。
買い物から帰ってきた私に、何か言うかな？
いや。
やっぱり、
「アイス買ってきてくれた？」
とは言わんかった。
数日後、
冷蔵庫の方から、旦那ちゃんの驚いたような声が聞こえた。
旦那ちゃん
「あっ！ ●●アイスがある！！」
旦那ちゃんは、私が退院した時より、何倍も嬉しそうな顔をして、こちらを見た。」
ちょっとちょっと〜
じゃけど、
静かに冷凍庫を閉めた。
😳
私
「ん？食べんのん？」
旦那ちゃん
「うん。」
私が居なくなった、ずいぶん後。
旦那ちゃんは、冷凍庫から一本取り出して、
一人静かに、
こっそりと、
椅子に座って食べとった。笑
なんか、こっそりエロ本見とるおっさんみたいじゃった。
満足そうに食べとった。
美味しそうに食べとった。
嬉しそうに食べとった・・
🌸
🌸
🌸
🌸
🌸
桜の季節に、
「厳しいです！」
と、言われたあの季節から3年。
今ではようやく、ブラックジョークも言えるようになった旦那ちゃん。
よく笑う。
笑わせてくれる。
脱小島よしお。
目指せ千鳥！
笑
あれから、桜を見るのは、もう3回目。
じゃけど、まだ3回目。
卵巣癌再発の恐怖は、今も消えんのん。
そんな、3年経っても恐がる私を、
今では旦那ちゃんが、いつも笑わせてくれる。
以前のように、ケンカもする。
大きいケンカも何度かある。
腹もたつ。
文句言われる。
お互い嫌味を、言うて言われて。
じゃけど・・
今でも、
「アイスは？
」
とは・・一度も言わない。