穏やかな景色の中で暮らす彼女は
幼くて
素朴で
愛くるしい、歌の大好きな娘でした
彼女は
生まれ育った、その田舎の町が大好きで
ずっとそこで暮らしたかったのです
でも、ある日、都会の人が来て
『街は、素敵だよ! 街に出ておいでよ!』
『そんな田舎にいたって、だめさ。都会でならスターにだってなれる!』と誘われ
彼女は、片道切符だけを受け取り
船に乗ったのでした
大好きな田舎町を後にして
街は、きらびやかで
刺激的だった
彼女は、街の人のすすめられるままに
化粧を覚え
あでやかな洋服を身にまとうようになり
いつしか、生活は派手になった
彼女は、注目を浴び
めずらしがりやの都会の人達に
ちやほやされたが
...
それは
ほんの短い時間だった
すぐに、人々は彼女のことなど
見向きもしなくなり
あんなに素朴で、愛くるしかった彼女は
いつの間にか、すっかり変わり果て
ぼろ雑巾のようにくたびれていた
もとより
片道切符しかなかった彼女は
大好きな田舎に帰ることもできず
この街で
置いてきぼり.....
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140906/04/kosumosu-cairo/67/96/j/o0640048013057808001.jpg?caw=800)
故郷を離れ、色を塗り替えられたドルトムント車両
いつまで
寂しい姿のまま
置き去りなのかな~
谷山浩子『カントリーガール』