住宅を建てるために、親から贈与を受けた資金は非課税にできる。というこの制度。実は二つの大きな落とし穴があります。
 1つは、親が亡くなり相続となった場合、その親の土地について小規模宅地の特例制度(財産評価額の80%減額)が受けれなくなる可能性があるということ。
 80%減額は、要件いろいろですが、一言で言うと、80%評価減してあげないと、とにかく相続人が困っちゃう状況にある、ということなんです。
 相続人が将来その親の家に住もうと思ってたのにー。みたいな。そんなに評価額高いと、相続税高いから相続できないよー、住む家なくなるよー、みたいな。
 例えば、その親の奥さんがご存命なら、奥さん困りますよね。だから適用可です。例えば、奥さんいてない。が、息子が今までお父さんと住んでた。息子、困りますよね。適用可です。次が大事。例えば、奥さんはいない、息子もお父さんとは一緒に住んでいない。息子は独立して賃貸に住んでいる。これはどうでしょうか?これ適用可なんですね。なぜか。それは息子が賃貸に住んでるからなんです。将来その息子はその親の家に住もうと思ってるかもしれん、、かもしれん以上は困るかもしれんわけです。だから適用可能と。
 では住宅取得資金を息子に贈与し息子が家購入すると、どうでしょうか。その息子はもうその親の土地を相続しなくてもなんも困りませんよね。従って、適用不可と、そーゆーことです。
 住宅取得資金の贈与をする場合は、相続税で80%減額受けれなくなることによる影響額と、贈与の非課税額とを比べた上での、判断が必要になるわけですね。怖いですね。恐ろしいですね。

 さてもう一つは、なにか。それは、住宅取得資金の贈与の非課税を受けるためには家を購入せねばなりませんが、その家には面積条件が敷かれてるてことなんです。床面積50㎡から240㎡までの家しかダメです。240㎡の家ってかなり広め!例えば1階2階それぞれ120㎡ですから。うーん、分かりやすく言うと畳40畳です。それが1階と2階。わかりにくいけな。8畳の部屋が5部屋!とにかく広い。
 だから大抵みなさん大丈夫なんですが、限度面積オーバーされる方、たまにいらっしゃいます。それは、二世帯住宅建てる方!
 例えばお父さん独り身になって、結婚した息子はお父さんが気になっている。お父さんは1人でやっていけるのだろうか。思えば家事などしている姿、記憶にない。飯はたまに作ってるような記憶はうっすらあるが、塩辛いもんばかりを好んでなかったか。。息子は考えます。この際一緒に住もうかと。しかし、我が家に呼ぶには部屋が足りない。実家で暮らそうか。嫁はきっと嫌がるだろうな。あんな古い家、キッチンは訳の分からない臭いが溢れてる、床はキシム。あの音。あの耳障りな音。階段は急すぎるし、暗くて危なっかしいったらありゃしない。親父大丈夫なんか。あの階段。いつか滑り落ち、打ちどころ悪くて、、こんな感じで身震いまでしだすんですね。そこで、二世帯住宅に建て替えたらどうだろうか、と思うわけです。しかし我が家にはまとまった貯金は無い。親に援助してもらおう。親父も一緒に住むわけやし、多少なら。こんな形で贈与受けるわけです。そしていざ二世帯住宅を企画しだすと、結婚式と同じように、予算オーバーしだすんですね。外構はもっとオシャレに!やれ玄関広く、やれ間接照明、やれ自動のシャッター、、するとだいたいの親がそのオーバー分は、私の貯金があるからそれ使おうとなるわけです。しかし、贈与の非課税には限度額があり、もらえる金額はMAXまでいってしまってる。。てことで贈与はせずに、親が支払う部分が出てきます。こうして共有名義、という形になっていくんです。例えば、4/5が息子、1/5が親。みたいな。
 そして贈与申告の時がきて、面積要件に気づくんですね。240㎡までやと。300㎡の我が家は適用できひんの!!いやいや待てよ。息子は4/5だから300×4/5で240ちゃうの!いけるやん!と。ハイ、いけません!登記で判断するんです。登記上、一つの建物、となっている場合は全体で見ますから300㎡の家、となります。だからアウト。怖いですね、恐ろしいですねー。
 この場合、やり方があります。それは、区分登記するといいんです。持分に応じて、二つの建物という形で登記してしまうんですね。まあ要件もあります。例えば玄関はバラバラじゃないといけない、とか、行き来できる通路があるんならそこに鍵ができるようにしておかないとダメだとか。
 でもまあ区分登記できたとしたら、それで息子は要件クリアで住宅取得資金の贈与は受けれますね。
 しかし、しかし、こうすることで、その敷地が親のものでした、この場合、親が亡くなり相続発生したらどうなるでしょうか。息子はなにも困りませんよね。だから80%減額はできません。

 頭がパンクするので今日はこれまで!
 
 以上。落とし穴でした。