【金足農 63 大垣日大】

 大会ナンバー1の剛腕吉田投手vs名将阪口監督率いる大垣日大。今日のカードで一番楽しみにしていました。

 両校監督の思惑とは異なり序盤から点の取り合いとなりましたが、吉田投手が尻上がりに調子を上げ、終盤は大垣日大につけ入るスキを与えませんでした。阪口監督の「高めを捨てて、低めを狙え。ワンバウンドでも振っていい。」という指示とは裏腹に、大垣の各打者が低めの速球を見送るシーンが目立ちました。シュート回転せず内外角に飛び込んでくるストレートは、魅力十分です。また、8回に1点援護を受けた後、投球のギアを上げてチームメイトに応えようとするマインドも素晴らしく、話は早いですが、今年のドラフトは1位で消えそうです。敗れた大垣日大ですが、個人的には阪口監督の勝利者インタビューは人間味があり大好きなので、また甲子園に戻って来て頂きたいです。

 金足農の次の対戦相手は、花咲徳栄の連覇を阻んだ横浜。甲子園にやって来る度に「東の横綱」と呼ばれることを半ば義務付けられたチームですが、格下相手に苦杯を喫することも多く、金足農もチャンス十分です。これまでの吉田投手の投球パターンからすると、横浜はカウントを取るストレートを確実に狙ってくるでしょう。変化球でカウントを整えつつ打たせてとり、勝負所の終盤に余力を残すことができるか。勝敗は五分五分ですが、吉田投手のベストピッチが見られるのではないか、と楽しみです。

【大阪桐蔭 104 沖学園】

 好ゲームでした。最後は点差がつきましたが、6回までは桐蔭にもバッテリエラーや盗塁死があり、番狂わせの雰囲気も漂い始めていました。沖学園は打線が看板というだけあって、根尾投手の速球にも力負けせず、安打のほとんどがクリーンヒットでした。桐蔭も、沖学園の底力を感じたはずです。6回裏桐蔭のツーアウトからの猛攻は、「ここで引き離す」という集中力を感じました。8回ホームランを打たれた後も、すかさずホームランで突き放し、追撃を許しませんでした。

 毎回桐蔭の試合を見て感じるのは、選手一人一人のプレーが基本に忠実・丁寧ということです。顕著なのが守備で、送球は必ず肘を上げて上から、捕球も両手で大事に。個人的には、桐蔭の走攻守の中で「守」が一番好きで、美しさを感じます。

 次に当たるのは、高岡商。富山大会では強打が目立ちましたが、甲子園ではそう簡単に打たせてくれません。タイプの違う2人の投手でいかに桐蔭の目先を変え、接戦に持ち込めるかがポイントになりそうです。

【近江 7-3 智弁和歌山】

 優勝候補の一角智弁和歌山が、1回戦で甲子園を去ることに。近江も準優勝経験のある実力校、甲子園での一勝はそれだけ難しいということかもしれません。

 リアルタイムで試合を見ることができず帰宅後内容を確認しましたが、智弁の攻撃は1回~9回までチャンスの連続でした。

1回:1アウト2塁 

2回:1アウト12塁 → 2点先取

3回:ノーアウト1塁  

4回:3者凡退

5回:2アウト満塁

6回:ノーアウト12

7回:1アウト1

8回:ノーアウト12

9回:1アウト満塁 → 1点返す

 3者凡退は4回の攻撃だけ。強打の智弁がこれだけ攻め続け3点しか取れなかったことが、実に不思議です。高嶋監督は、いつでも突き放せると思っていたのではないでしょうか。

ニュース等では5回の林選手の三振のシーンがよく流れましたが、6回の送りバント失敗からの2塁ランナー牽制死、7回の三振ゲッツーも非常に大きく感じました。攻撃のちょっとしたミス、そして微妙なストライクの判定がない混ぜとなり、結果この57回で1点も取れなかったことで流れが近江にいってしまいました。

近江の4投手が根気よく低めに投げ続けたこと、それが押され気味ながらも近江が試合の主導権を最後まで手放さなかった要因です。いずれも130140m前半の球速ながら、タイプの違う投手が左バッターの膝元、右バッターの外角低めに球を集めることを徹底、絶対に長打を打たせないという配球でした。実際、これだけチャンスを作りながら智弁の長打はゼロ、アウトの多くが三振か内野ゴロでした。

思えば、センバツの智弁和歌山の戦いぶりがあまりに劇的で、多くのファンや高校球児がTVの前に釘付けになりました。私も準々決勝の創成館戦の逆転劇を現地で見て、智弁というチームが持つ雰囲気・魔力に感じ入った次第です。魅力的な試合を演じたということは、それだけ各高校の研究の対象にもなり得るということ。春に勝ち進んだチームの夏の難しさ、それを実感した試合でした。

今年も球児たちの熱い夏がやってきました。毎年甲子園の季節を迎えるたびに、年は早い、そう感じます。

 

100回目のメモリアル大会ということで、見所を上げるとキリがありませんが、まずはどのチームが優勝するのか、という極めてシンプルなテーマを追ってみたいと思います。

 

本命:大阪桐蔭

対抗:智弁和歌山

穴 :広陵

 

今年の出場校を見ていて、とにかく優勝戦線に絡みそうな実力校が多いと感じます。記念大会により出場枠が増えたのが一因ですが、中でも埼玉の強:花咲徳栄・浦和学院が共に出場というのが激戦に拍車をかけそうです。徳栄には連覇もかかります。地方大会を豪打で勝ち抜いたチームも目立ち、例年以上に打撃戦が増えそうです。決して、桐蔭一強の大会ではありません。

 

とはいえ、本命は文句無しで桐蔭。新チーム以降、公式戦の敗戦は昨秋の明治神宮大会で喫した創成館戦の一敗のみ。大量得点で圧倒したかと思えば、ロースコアの我慢比べも歓迎というスタイル。昨夏の仙台育英戦の悲劇的な敗戦の際も、結果を淡々と受け入れる大人の対応。走攻守、そしてグラウンド外含めスキの無いチームです。

 

対抗は、これも文句無しで智弁和歌山。昨夏2回戦で桐蔭に敗れた後、このブログで「どちらも下級生に主力が多く、来夏の再戦があるかも」と書きましたが、その後まさかここまでつばぜり合いが繰り返されるとは・・・。しかも、すべて「決勝」のオマケ付きです。

秋季近畿大会決勝:桐蔭2-1智弁(2017年)

春センバツ 決勝:桐蔭5-2智弁(2018年)

春季近畿大会決勝:桐蔭3-1智弁(2018年)

いずれも接戦で戦力が拮抗している証ですが、猛打智弁がどうしても桐蔭の投手陣だけは打ち崩すことができません。桐蔭は初戦の作新戦を乗り切ればベスト8は堅そうですが、智弁のブロックには前橋育英・常葉大菊川が入り、前途多難です。記念大会を彩るような桐蔭と智弁の本気の打ち合いを、ぜひ見てみたいです。

 

穴は、希望的観測も含めて広陵。昨夏中村のホームラン記録で旋風を巻き起こしましたが、優勝を目指すという一点に関していえばとにかく不運でした。回戦から気の抜けない相手が続き、決勝戦に余力がほとんど残っていませんでした。今年は、強豪揃いのブロックとはいえ、回戦からの登場。期待したいです。

 

今後も、自分なりの視点で夏の甲子園をレポートしていきます。

普段仕事で英語を使うが、聞く・話す機会はほとんど無く、たまにかかってくる電話に慌てる場面がちらほら。「これではいかん」ということで、久しぶりにオンライン英会話を始めることにした。7~8年前某会社のサービスを使用していたが、予約が面倒だったり通信状態が良くなかったりで止めてしまった。今回いろいろ調べた中で、予約・スカイプのセッティング共に不要ということで、「ネイティブキャンプ」をチョイス。IEInternet Explorer)不可なのは少々難点だが、FirefoxDLし早速1週間の無料トライアル。昨晩・今朝・今晩と3回レッスンを受けたが、全体的に教師の質も高く、満足。一日何回でも接続可能なので、とりあえず一週間続けてみる予定。

 英語教育の早期化に「日本語もロクに話せない小学生に、英語を教えてどうするのか」と普段から息巻いているのだが、自分のこととなると・・・。たかが語学、されど語学である。

久しぶりのブログ。今回は、昨夜放送の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで(以下、ガキ使」の感想。

 

 トータル90分のスペシャル番組だったが、見ていて全く飽きなかった。お笑いのビッグネームが揃っていたとはいえ、ただ座って昔話をしているだけなのに。純粋にトークだけで魅せる、そこが素晴らしい。

ダウンタウン2人の掛け合いは、突っ込み・ボケの応酬もさることながら喋りの間が絶妙で、改めて「さすがだなぁ」と感じた。お互いの芸を知り尽くしている。今の3040代のタレントには、無理な芸当だと思った。

 

お笑い界には、さんま・タモリ・所ジョージなど多くのビックネームがいるが、その多くはピン芸人だ。ビートたけしも、ツービートよりもピンの時代の方がはるかに長い。そんな中で、コンピでレジェンドであり続けるダウンタウンは奇跡の存在だと思う。

 

中学生の頃、ダウンタウンの漫才で心の底から笑った。私にとってダウンタウンは、トーク一本で勝負し続ける、永遠の漫才師。これからも、トークのキレで第一線に立ち続けてほしい。

 

話題は前後するが、9月2日(土)オリックスの山岡見たさに、大阪ドームへ出かけた。瀬戸内高校のエースとして甲子園に出場した頃から、密かに応援している。当時の広島県予選決勝で現巨人の田口と壮絶な投手戦を演じたことは夙に有名。甲子園1回戦で初めて見たが、小柄ながら体のバネを活かした投球で、低めにストレート・スライダーをビシビシ決める超本格派。これは本物だと思った。ただ、初戦で当たった相手が難敵明徳義塾で、0対2の敗戦。相手が悪かった。

今回観戦した感想は、良い意味であの頃の山岡と同じだった。好調西武のクリーンナップを完璧に封じ、6回1失点で7勝目。残りの登板を全部白星で飾り、ぜひ新人王を目指してほしい。

2日、もう一人目を奪われたのは、西武森。終盤代打で登場し、2打数1安打。2打席とも初球から思い切りよく振りにいき、観ていて気持ち良かった。1本は内野安打とはいえ、落ちる球をうまくバットの先に乗せて一二塁間に転がしたもので、文句無しのヒットだった。9回最後の打者となったが、何とか森まで打席が回ってくれ、と祈りながら観ていた。森のスイングには、空振りでも観る者を納得させる迫力がある。辻監督には、もっと森を使ってほしい。モノが違うのである。

一転して、将棋界の話題。今日のNHK杯2回戦、森内俊之九段対藤井聡太四段戦。永世名人と「時の人」による注目の対局ということで、珍しく生放送となった。内容は、藤井の完勝。後手番ながら、森内の自陣の立ち遅れを先制攻撃で突き、終始リードを保って逃げ切った。森内の態度にも真剣勝負という雰囲気は薄く、お手並み拝見の気持ちだったろう。

 デビュー直後から29連勝し、一大フィーバーを巻き起こした藤井四段。その強さについていろいろと語られているが、とにかくミスが少ない。なぜミスが少ないかと訊かれたら、読みが深いからだ。今日の対局のように、序盤でリードを奪ってからの一方的な勝利も目立つ。唯一の弱点は、残り時間が少ない時に増えるミス。さすがの藤井も深く読むことができない状況だと失着も出るわけだが、いずれその弱点も克服するだろう。デビュー以来、「力負け」と映ったのは対菅井戦(王将戦一次予選)・対豊島戦(棋王戦本線)だが、この2人は今の将棋界で5本の指に入る実力者だから、敗戦も何ら不思議ではない。いずれ彼ら上位陣を追い越し、間違いなく2年以内にタイトルを取るだろう。

今大会、最も名を上げた選手は間違いなく広陵中村選手だ。彼のポジションはキャッチャーであり、その強肩・フィールディングの良さも目を引いた。

 一方で、今大会を通じてバッテリーエラーによる進塁・得点も目立った。これは投手の変化球が年々多彩になっていることもあるが、キャッチャーの捕球技術にも問題があると思う。投球が逸れると、姿勢が腰高のままボールを迎えにいってしまい、股を抜かれる―。そんなシーンを多く目にした。守備陣全員で1点を防ぎにいっている場面で、パスボールで貴重な追加点を献上。毎年何度か目にする光景とはいえ、少し空しくなる。

 いろいろ理由はあるだろうが、今のプロ野球界に球児のお手本となるような捕手の名手がいないことが大きいのではないか。西武伊東、ヤクルト古田、中日(大洋)谷繁・・・誰もが認める名捕手が今の球界には見当たらない。古田のキャッチングは柔らかい股関節を活かした独特な捕球態勢で真似が難しいが、伊東や谷繁のオーソドックスな捕球スタイルは今でも良いお手本になると思う。

 逆に今大会のセカンド・ショートは、観ていて全体的に守備範囲が広いなと感じた。これは広島菊池、ソフトバンク今宮の影響を多分に受けている。守備位置が深すぎてボールを待ってしまった故の凡プレイも散見されたが、プロ野球で目にする超人的なプレイの数々が長い目でみて必ず球児たちの技術の向上につながると思う。

 私個人は無論野球が大好きだが、他のスポーツに比べて野球はちょっとバランスが悪いなぁ~と感じる点は、バッテリーへの負荷がとにかく大きい点である。バッテリーがミスをすれば負け、そういうスポーツである。来春は、ピッチャーの荒れ球を丁寧に体で止め続ける、そんなキャッチャーを多く見てみたい。

今大会、印象に残るシーンは人それぞれだろうが、3回戦の仙台育英・大阪桐蔭戦で物議を醸したプレーについて、私見を述べてみたい。

 

改めて事実を並べると、以下のようなプレーだった。「育英7回裏の攻撃、ノーアウトランナー無し、カウント1ボール2ストライクからの4球目、バッターはボテボテのショートゴロ、ショートが1塁送球、打者走者が1塁を駆け抜けた際左足が桐蔭一塁手の右足と接触、一塁手は一時退場を余儀なくされた(その後一塁手はプレーに復帰)。」

 以下、このプレーを「一塁接触事件」と呼ぶこととする。

 この後試合は、周知の通り劇的結末を迎える。桐蔭1点リードの9回裏育英の攻撃、2アウト1塁・2塁からショートゴロ→1塁送球→ゲームセット・・・のはずが、桐蔭1塁手ベース踏み遅れで打者走者がセーフ、続く2死満塁から次打者のサヨナラヒットで育英逆転サヨナラ、である。

 

「一塁接触事件」がその後ネット上で問題となったのは、接触した育英の選手の左足の動きが不自然に見えるため故意に接触したのではないか。またこのプレーが9回裏桐蔭一塁手の一塁踏み遅れにつながり、育英逆転サヨナラの遠因となったのではないか、と言われたためである。

ネット上でいろいろ言われているが、まず育英の打者走者が「わざと」接触したかどうかは議論の意味が無い。結局、真実は本人にしかわからないからである。また、この「一塁接触事件」が桐蔭の敗因というわけでもない。桐蔭としては、ケガを理由に一塁手を交代する(実際、この一塁手は試合後車椅子で球場を後にした)、9回裏ショートゴロの際ショートが二塁でフォースアウトを狙う、という回避策もあった。つまり、一塁手のケガの状況をチーム内で正しくシェアできていれば、桐蔭の勝利で終わっていた可能性が極めて高いのである。

本件で見逃してはならないのは、この「一塁駆け抜け事件」が打者走者・一塁手双方にとって危険なプレーであり、再発対策が必要であるということである。よく見かける一塁での接触というのは、内野ゴロの際一塁手への送球が逸れた結果、一塁手と走者がぶつかるというものである。しかし、今回のプレーはごくごく普通の内野ゴロ→一塁送球の結果起きた。守備側に非は無い。よって、何らかの形で走者側の対応を変更すべきということになる。

結論としては、「打者走者は、一塁手との無用な接触を避けるためファールグラウンドに駆け抜ける」ことを走者のマナーとし、「ファールグラウンドに駆け抜ける意志が無いと審判が判断した場合、アウト宣告も可」とルールを変更すべきではないか。投球が打者に当たった際、打者によける意志が無いと審判が判断した場合、デッドボールにならないのと同じ理屈である。

 

一塁駆け抜けについて、野球を少しでもかじったことがある人間は、「フェアグラウンドに駆け抜けるとタッチアウトの可能性があるため、打者走者はファールグラウンドに駆け抜けるべき」という認識がある。しかしこれは間違いで、駆け抜ける場所がどこであれ二塁に進塁する意志があるかどうか(を一塁塁審がどう判断したか)でタッチアウトの対象となるかが決まる。野球強豪校の監督・選手ともなれば、間違いなくこのルールを知っているだろう。

一方で、一塁への送球が逸れ一塁者がボールを後ろに逸らした場合、打者走者は当然二塁進塁を狙う。このプレーは甲子園でも頻繁に見られるので、地方大会では頻発しているはずだ。二塁進塁を狙うためには、打者走者は一塁を駆け抜けた後、少しでも二塁に近い位置にいたいのである。

 

今回の「一塁駆け抜け事件」をVTRで何度も見たが、打者走者はファールライン上を一直線に一塁を駆け抜けていった。一塁手と接触しても何ら不思議はないプレーであり、ルール上は問題ないが野球選手としてマナー認識に欠けるプレーだった、ということだろう。

一方で、この時の育英の選手も皆必死だった。格上の桐蔭相手に点差はわずか1点、この時選手は先頭打者として何が何でも塁に出たかったはずだ。横綱相手に、普通に野球をやっていてもなかなか勝てないのだから。

 

試合終了後の桐蔭の監督・選手の対応は、立派の一語に尽きる。桐蔭は確かに優勝こそできなかったが、強者が負ける時はかくあるべきという模範を示した。来年また甲子園に戻ってきて、優勝争いを繰り広げることだろう。