本日の読書感想文



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未来

湊 かなえ


あらすじ 


章子は、大好きな父親を亡くし、精神的に不安定で「人形」のようになってしまう母親と二人で暮らしており、家庭にも学校にも居場所がない状況に追い詰められています。未来の自分からの手紙には「20年後の自分は幸せだ」と書かれており、章子はその手紙を心の支えにして、未来の自分への返事として日記を綴っていきます。

しかし、章子の生活は、貧困、虐待、いじめなど、次々と困難が襲いかかります。物語は、章子だけでなく、彼女を取り巻く様々な人物たちの視点からも描かれ、彼らもまたそれぞれに重い過去や悩みを抱えています。

この作品では、ヤングケアラー、虐待、いじめ、貧困といった現代社会が抱える問題が深く掘り下げられており、子どもたちが直面する苦痛や、SOSを出せない現状がリアルに描かれています。タイトルが示す「未来」が、必ずしも明るいものばかりではないという湊かなえ作品ならではの重厚なテーマが展開されます。

ただし、物語の後半では、未来からの手紙の真の送り主や、登場人物たちの過去が明らかになり、救いや希望が描かれる部分も含まれているようです。子どもたちを救えるのは大人であり、正しい選択をすることで負の連鎖から抜け出すことができる、というメッセージも込められているとされています。




グッときたポイント 


1. 10歳の章子の「未来」への希望と絶望

何よりも、10歳の章子が置かれている過酷な状況と、そんな中で20年後の自分からの手紙を唯一の心の支えにする姿が胸に迫ります。貧困、母親の精神的な問題、学校でのいじめなど、次々と押し寄せる困難に耐えながらも、未来の自分からの「幸せだよ」という言葉を信じて日記を綴る章子の健気さが、読者の心を揺さぶります。その一方で、現実の厳しさに直面するたびに、その希望が揺らぎ、絶望に突き落とされそうになる章子の葛藤もまた、グッとくるポイントです。

2. 社会問題のリアルな描写

ヤングケアラー、虐待、いじめ、貧困といった現代社会の目を背けたくなるような問題が、子どもたちの視点から生々しく描かれている点も、多くの読者に強い印象を与えます。子どもたちが声を上げられない状況や、周囲の大人たちがそれに気づかない、あるいは気づいても行動できない現実が突きつけられ、深く考えさせられます。特に、章子だけでなく、彼女を取り巻く子どもたちや大人たちもまた、それぞれの事情を抱えながら苦しんでいる姿が描かれることで、物語に奥行きとリアリティが生まれています。

3. 「未来」の意味の多重性

タイトルの「未来」が、単に時間の先を示すだけでなく、希望や救いの象徴、あるいは重い現実からの解放といった多岐にわたる意味合いを持つことも、グッとくるポイントです。物語が進むにつれて、未来からの手紙の真の意味や、それぞれの登場人物にとっての「未来」が明らかになる過程は、読者に驚きと感動を与えます。一見、絶望的な状況に思える中でも、かすかな光や希望を見出すことができるというメッセージは、読者に勇気を与えます。

4. 湊かなえさんらしい「救い」の提示

湊かなえさんの作品は、人間の心の闇を深く描くことが多いですが、『未来』ではその中でも、子どもたちを救い、負の連鎖を断ち切るために大人がどうあるべきかという「救い」が提示されている点も注目されます。絶望ばかりではない、人間関係の中に見いだせる温かさや、困難を乗り越えるための選択肢が示されることで、読後にはただ暗いだけでなく、前向きな気持ちも残るのではないかと思いましニヤリ





こんな人におすすめ 


  家族の暗部や人間関係の複雑さを描いた作品に興味がある方

  予測不能な展開や、読後感の残る作品を楽しみたい方

 女性の心理やドロドロした感情を描いた作品に興味がある方

  思春期の切実な感情や、何かに夢中になる素晴らしさを思い出したい方

湊かなえさんの作品は、人間の心理を巧みに描き出し、読者を深く引き込む力があると思いましたニコニコ