保守神髄

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政治・経済・思想に関するブログです。重要記事は太文字と色文字のみで大まかな内容が把握できるようにしてあります。

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〇「THE MANZAI 2017」

 

 2017年の「THE MANZAI」において、ウーマンラッシュアワー(以下、ウーマン)の披露した漫才が話題になった。漫才の内容は所謂政治ネタ、社会風刺の類である。原発問題や沖縄米軍基地問題、被災地問題などの社会問題に対する村本大輔氏の意見をお笑いの形にしたものであった。これに対してマスメディアや左派の面々が絶賛して政府批判に利用しようとした。しかし実際のネタはごく一般的な批判であり、当の本人も利用される気は毛頭ないと宣言したのである。

 

 

〇茂木健一郎のお笑い批判

 

 自称脳科学者の茂木健一郎氏は、これまでに数々の政治批判を行ってきた。そんな彼もこのたびのウーマンの漫才を絶賛した一人である。海外と比較して政治・社会風刺な要素が少ないと日本のお笑い界を批判していた彼にとって、これは恰好のネタだったのだ。そして、その後否定したものの、明らかに松本人志氏と考えられる首相と会食した芸人を批判したのである。その批判も結局、村本氏も先述通り自分を巻き込むなと言い、松本氏自身も相手にせず、終わってしまったのだが。

 

 

〇茂木健一郎のお笑い

 

 さて、茂木氏は自身の批判に対して、お笑いが大好きでお笑い界への応援のつもりであった、と釈明している。しかし、私見で言わせてもらえば、お笑いを政治に利用しようとしているとしか思えないのである。仮にそのような認識であるならば、日本のお笑い芸人とは反りが合わないだろう。なぜなら彼らの多くにとって、お笑いとはそれ自体が目的であり利用する道具ではないからである。また、海外と比較したのも好まれないだろう。茂木氏は海外の方が優れていると言いたげだが、日本のお笑い芸人はお笑いと向き合ってきた彼らの自負があり、決して海外に劣っていると思っていないのだ。

 

 

〇松本人志のお笑い

 

 松本氏は茂木氏の批判を相手にせず、風刺ネタにも否定的でないものの一歩引いた態度をとっている。なぜか。それは、お笑いと真摯に向き合ってきた彼にとって、風刺ネタとはレベルの低いものだという認識だからではないだろうか。彼は以前にあるあるネタというものに対して批判的な意見を述べていた。あるあるネタは、皆の過去の記憶を叩いてるだけで、それは確かに笑いは取れるが、その先に何かあるわけではない、と。風刺ネタもこの一種ではないか。風刺ネタとは皆が共有している政治への不満のようなものを触るだけで、お笑いの構造としてはえらく単純ではないか。もちろん、今回のウーマンの漫才は単純なあるあるネタではなかっただろうし、また、単純なあるあるネタ自体もあっていいだろう。しかし、松本氏にとってはそればっかりになることは好ましいものではないのだろう。

 

 

〇お笑いと政治

 

 思えば、お笑いと政治はなかなか密接に関わってきた。立川談志氏や横山ノック氏、西川きよし氏、そのまんま東氏などの議員になった落語家やお笑い芸人も何人かいたし、島田紳助氏はその司会を務めるバラエティ番組から丸山和也参議院議員や橋下徹元大阪都知事を輩出し、自らも政治家の応援演説をしたこともある。ワイドショーで活躍するお笑い芸人も多い。そういう意味では、お笑い芸人の知名度や話芸は政治と国民の距離を縮めるのに一役買っているのだろう。今回のウーマンの漫才もその一つである。しかし、無知のまま軽い態度で関われば、衆愚政治の一翼を担う危険性もあるし、お笑い自体も衰退してしまう可能性もあることを認識しておくべきではないか。