ザシュ…っ!!
夏季は苛ついていた
「…イライラする」
彼女は手に持っていた刀で自分に近づくモンスターを切りつけていた。
夏季がそこまで
苛つく理由は
シオンが勝手に
新条真子に近づいた事だった。
別に夏季にとって
シオンがどんな行動をするか
関係ない
だが.シオンが真子に
近づいた事に
何故か夏季はすごく
腹が立ってしょうがなかった。
そんな心境で
夏季はその足で
新条真子を探した。
何故?彼女はあそこまで
マーフェイと言う
少女の側にいるか…?
夏季はその理由を知る為に…。
「そんなに苛々していたらせっかくの綺麗な顔が
台無しだよ.鳳蘭さん」
「…新条か?」
彼女はいきなり現れた
新条真子の姿に
驚きを隠せなかった。
「驚いた?いきなり
私が現れたから」
「あぁ…驚いたな」
夏季はスッと刀を
鞘に納めた。
「その刀で私を切らないの?」
真子はクスリっと笑いながら夏季に問いかけた…。
そこにいた彼女は
すごく落ち着いていた
おそらく.今いるのが
本来の真子の姿なんだだろう
だからこそ.あそこまで
シオンに怒りを見せた
理由を知りたいと
夏季は思った。
「お前を切る気はない…」
「そっか.なんか
変な感じだね…
お互い.知っているのに
こうやって話すのは
初めてなんだから…」
「そうだな.俺は
新条の恋人の
双子の兄弟と
付き合っていたのに
一度も話した事なかったな…」
「でも.鳳蘭さんの事は
ユウちゃんから聞いた事あるよ
とても.しっかりしていて料理が上手だって」
「俺も朝日から聞いている
新条はとても
落ち着いていて
側にいるだけですごく
癒される優しい子だって」
「ユウちゃんそんな事
言っていたんだ…」
真子は表情を曇らせてる。
「朝日もそんな風に
俺の事思っていたんだな」
「お互い.大切な人が
いなくなって辛いね」
「あぁ…辛いな.だからこそ
俺は二度と大切な方を
失いたくない」
「私もだよ
だから.もし鳳蘭さんが
マーフェイに手を出すなら私は戦うよ」
真子はさっきの
悲しい表情とは違い
真剣な表情になり
懐にいれていた
カードを手にとり構えた。
「俺は彼女に手を
出すつもりはない
ただ.彼女が今
どうしているか
気になっただけだ」
「マーフェイは私の
魔法のおかげで一命は
とりとめたけど
まだ.目は覚めてないんだ今は使い魔にマーフェイを
見張らせてるんだ」
「そうか…俺の上司が
迷惑かけたな」
「ううん.いいよ
あの時は私も
カッとなっていたし」
「それはマーフェイを
守りたかったからだろ?」
「うん.あの子は
私にとって大切な
妹みたいだからね」
真子はニコっと
どこか悲しげに笑った。
「それに彼の気持ちも
わかるから」
「……新条.教えてくれないか?
お前が何の為に
このゲームに
参加したのか
そして.何故?ここまで
マーフェイと言う
少女の側にいるのか?」
「いいよ.教えてあげる
私がゲームに
参加した理由を…」
ゲームに参加する理由を
語る
彼女の後ろに
輝く月は
どこか悲しく切なく
新条真子と言う少女を
照らしていた。