夏の休暇まであと三本のツアーが控えている。

それを終えたら、どこか離島を選んで、リトリートに出かけたい。

与論島、壱岐島、宮古島。最近行った離島はどこも、癒しの空気に満ちていた。

あの離島独特の、ゆっくりと優しく流れる時間がなんとも心地良い。

窓から差し込む優しい朝陽。

気持ちよく自然に目が覚め、鳥のさえずり声に誘われ、バルコニーへ足を運ぶ。

頬を撫でる柔らかいそよ風は、辺りの木の葉や花の香りを運んでくる。

まだ薄い水色の空に、思い思いに、軽々と、気持ちよさそうに浮かんでいる綿菓子のような白い雲。

空の果ては、濃い群青色のトロピカルな海の彼方の水平線の緩やかな弧に、その境界線がぼんやり溶け込んでいる。

普段の生活圏では見かけることのない派手な色彩の蝶々が何羽も、手の届きそうな低空を、ひらり、ゆらりと飛んでいく。

眼下の真っ白なビーチには、ポツリポツリ、早起き家族が楽しそうに、テントを設営したり、ボール遊びに興じる子供達の走り回る姿。

胸の奥から、抑えようのない「幸せの塊」が押し上げてきて、たまらず大きく深呼吸をするボク。

コーヒーを淹れようか、ビールを出してこようか。

この止めどなく沸き起こってくる幸福感をもてなす飲み物はどっちなのかな。

癒しの離島のリトリートの始まりは、いつだって、こんなふうに始まるんだ。

煮詰まる思いも、熱い人生計画も、しばらくは、自宅に置き去り。

そこでは、ぼんやりと、雲の航行や波のせせらぎを眺め、風の香りを嗅ぎ、鳥のさえずりを聴き、蝶々達のデートとダンスに想いを馳せ、五感を今という永遠の時間だけに使い尽くそう。

それがボクの天国の離島リート。

次はどこへ行こうかな。ボクの天国の離島リート