伊勢神宮 神奉歌
日の大神の 都けたつの 隈もなく
天振ゆ守らふ 神言畏し
〇
隔てなき 恵みぬひたる 皇神に
生さる人草 はたれゐそらも
〇
あめつちの 際なき世にも 日の神は
産子守らる 神に離れじ
〇
人草に おろちはたれに いそらまで
守る慈ふの 皇神そ畏し
〇
中御座の 日月の大神と 現れ坐せる
皇大神に 吾れは服ふ
〇
向津日に 磯の真砂の 巖となる
御代となりける 大神のいさをし
〇
結戸あけ 穢蹴散らす曲 汚穢屈すし
斎す楽しや 日栄見る山を
〇
あおゑても 守りをゑても わおれする
しはかみのさま 皇神に恥つかし
〇
天祝うなり 神裳裾えむと 裳裾汲む
青人草を 道引き給へ
〇
皇神の 平へに引きや 散るらんと
さに神言祈く 荒るしはかみに
〇
皇神の そめしひみつの をんはらひ
あやにかしこし たたゆなりける
〇
あたなすも いとほしとなす 皇神の
大御心 を わか心とす
〇
恐れ見の 日は暗とにこるを 天照す
つすはつね世を 思ひあかして
〇
な捨てそと 願ぎ奉る 皇神に
かかみのくもる たよわし民を
〇
天知らすも 神纏らむと 努むるを
守らせ給へ 神のまにまに
〇
生く罷る 神にまかせし 身魂には
あめつちすらも なかれきはなし
〇
皇の塵に もとみたれみゆ 苦しきも
はらひかせふに せみなせるらん
〇
下民は 八重はいもとめ さすらなす
神の鍛ひを さかすれはこそ
〇
あおむきて いえてねるらん
さにあらは ゐやまなるへし よわしたまにも
〇
百万を 天のまま熾す いかすりの
ときしくかくの 天照す大神
〇
ありかたの 皇神言寄さす 風埴の
神の守りは ひめもすかしこ
〇
うべまかつ みな皇神の よさしこそ
ゑめやゑるらん 神はよろこひ