水篶刈る 信濃の国の 産土神の
健御名方の 神ぞ畏し
清けなる あわれ賢しき しこ神の
御名方富の諏訪大御神
神代より 諏訪守らすは御名方の
神柱立つ その上ゆもなく
蜷腸の か黒き曲の 八十神を
言向け和す 建御名方之神
醜曲霊 如何に荒ぶも 神守る
箱清水には 水音もなし
肝向ふ 心痛むる 現世に
諏訪神守る 珍の産子を
御柱 倒るる時は 諏訪神の
御稜威に晴れる 醜の曲雲
湯福なる いとどゆたけし 神籬に
幽世あめり 神の清庭
梶の葉の 繁道茂路 弥繁く
諏訪神守る 神の信濃路
諏訪神の 守りに勇み 踏み進む
隠沼行方も 知らぬこの世を
隔てなき 神の恵みも 露知らず
神を忘るる 人ぞ悲しき
ちひさやく 手弱き人の 祈ぎ事を
劬り給ふ 湯福皇神
今よりは 大渦捲けり 葦原を
守らせ給へ 諏訪大御神
弥栄鈴 恵かしこし 隈もなく
弥栄に響む 信濃の国は
州羽海に 坐します百々の 龍体の
神を統べるは 御名方の神
生鹿を 神奉り 呪禁に
生かして放つ 諏訪の神事
御名方の 神の伊吹の 天津風
罪も穢れも 祓ひ清めむ
湯福しも あやに奇しく 思ほしぞ
歌奉る 神の御前に
湯福の神に 奉る歌
令和3年