異境備忘録と霊界物語の大国主大神に関することは同じようなことが述べられており、両者の信憑性を高めています。
広く知られている通り、大国主大神は現出雲大社(昔は杵築大社とも呼ばれました)で祀られておりまして、八千矛神(たくさんの武器を持っている神)、葦原醜男神(醜とはとても強いという意味、相撲の四股の語源)の御神名も持つ武勇絶倫の善神です。
知恵も知識もあり、また数多の武器を揃え、武力を持って邪神を平らげさせ給う豪勇の神でありまして、天王星から天降り給うた神と霊界物語では述べられています。
天王星云々は除いて、記紀でも同じことが述べられています。
ちなみに霊界物語では八岐大蛇の祖神が海王星から来ており、水星の精が登場する場面もあり、記紀でも少彦名神は太陽から来ているので、ほかの天体から来ている神は意外と多いのかもしれません。
霊界物語では大自在天神大国彦という名で登場し、初期地球の騒乱において国祖国常立大神をご引退に追いやる悪神のような扱いをされていますが、決して悪神というわけではなく、むしろ本当の悪神はその手下たちと言えます。
出口王仁三郎も読者にそう取られないように大自在天神大国彦=大国主大神は善神であると何度も述べています。これは盤古大神も同じです。
大国彦を八十禍津日神に命じ、美山別、国玉姫、広国別、広国姫をして、八十禍津日神の神業を分掌せしめ給ひ、次に淤縢山津見をして大禍津日神に任じ、志芸山津見、竹島彦、鷹取別、中依別をして、各その神業を分掌せしめ給ひぬ。
大禍津日神は悪鬼邪霊を監督し或は誅伐を加ふる神となり、八十禍津日神も亦各地に分遣されて、小区域の禍津神を監督し、誅伐を加ふる神となりぬ。(詳しき事は言霊解を読めば解ります)
霊界物語 参考 貴の御児
国祖大神引退後には地球の覇権を本物の盤古大神や偽盤古大神(ウラル彦)と争い、色々な悶着を経て黄泉島での黄泉比良坂の戦いで改心して神伊弉諾大神によって大自在天神(大国主大神)は八十禍津日神に任命されています。
八十禍津日神は禍神を善に導く役目で、現今でいうと警察官や機動隊や自衛隊のような職務です。八十禍津日神と八十禍津神は日の一文字の有無で「暴力団」と「警視庁暴力団対策課」くらい正反対の意味になり、同じ暴力団の文字があっても全く意味が異なってきます。
大神が宇宙一切の醜穢を祓除し玉うた時に出現せる神は、八十禍津日神、つぎに大禍津日神の二神であります。人は宇宙の縮図である。世界も人体も皆同一の型に出来て居るのであるから茲に宇宙と云はず、伊邪那岐大神の一身上に譬へて示されたのである。故に瑞月亦之を人身上より略解するを以て便利と思ふのであります。
八十禍津神は、吾人の身外に在りて吾人の進路を妨げ且つ大々的反対行動を取り、以て自己を利せむとするの悪魔である。現に大本に対して種々の中傷讒誣を敢へてし、且つ書物を発行して奇利を占めむとする三文蚊士の如きは、所謂八十禍津神であります。之を国家の上から言ふ時は、排日とか排貨とか敵国陸海軍の襲来とかに当るのである。この八十禍津神を監督し、制御し、懲戒し玉ふ神を八十禍津日神といふのであります。日の字が加はると加はらざるとに依つて、警官と罪人との様に位置が替るのであります。大禍津神は吾人の身魂内に潜入して、悪事醜行を為さしめむとする悪霊邪魂である。色に沈溺し、酒に荒み、不善非行を為すは皆大禍津神の所為であります。
之を国家の上に譬へる時は、危険思想、反国家主義、政府顛覆、内乱等の陰謀を為す非国民の潜在し、且つ体主霊従同様の政治に改めむとする、悪逆無道の人面獣心的人物の居住して居る事である。之を討伐し懲戒し警告するのは大禍津日神であります。
霊界物語 言霊解二
出口王仁三郎は再三にわたって八十禍津日神や大禍津日神は善神であると述べていて、邪神・邪霊(犯罪者)に対する武力的な職掌(警察官や機動隊や自衛隊など)を八十禍津神、非武力的な職掌(裁判官や刑務所)を大禍津日神と述べています。
宮地水位の異境備忘録でも神庁に神集う百の英雄神の中に大禍津日神の名前を挙げています。華々しい神名の中で大禍津日神の神名が並べられているので邪神であるはずがありません。
一月一日には北辰星中の紫蘭大枢宮号真光遊門の前庭に万の界の神々の参り揃ひて朝するなり。此神界は常に日月の光りは見えず、電光に同じ光上宮より発して常にも晴れたる月夜の如く、此界に至る迄の間は氷中を通るよりも寒く、界に入りたる時には三月頃の気候なり。偖参朝の神等は此光遊門の内なる鸞磐場といふに列坐して慇懃に参朝の式を行ふ。上宮には扉開きたれど遙かにして神体は見えず。只猛烈なる電光の三つキラキラと光りありて四方に発徹するを拝するのみなり。三つの光りの中にて水色にして五色を含みたる光りを中央として左に火色の光りあり、右なるは白光を放ちたり。此三つの光り千里の外に及ぶ。偖参朝の神等には風神、五行神、豊字気毘売神、大山積神、須佐之男神、建御雷神、大綿積神、天之冬衣神、言代主神、賀夜奈流美神、少毘古那神、天忍日命、天手力雄命、天之字受女命、天児屋根命、天角凝魂命、大禍津日神等を始め奉りて諸の界に優れたる神幾万を以て数へ奉る。此参朝は毎年一月一日なり。
異境備忘録
現代人でも「警察庁刑事局組織犯罪対策部」や「警視庁暴力団対策課」を「暴力団」や「犯罪」の文字があるからと言って悪集団とは思わないはずです。
ともあれ八十禍津日神や大禍津日神は禍神(悪神・邪神)を相手にする人間でいうところの警察官や機動隊や裁判所や刑務所などの犯罪者を相手にする職掌のようです。
異境備忘録では出雲大社について下記のように述べられています。
宮の幽界は出雲の大社などは幽界に入りて見る時は一つの大幽宮と見ゆ。又罰を申し付くるの宮は此宮にて賞を行ひ給ふは伊勢の神宮なり。
神仙界の刑法所は三ヶ所あり。一所は北に向ひ菅原道真公、武内宿禰の二霊此所を常に掌り給ふ。菅公は左冥司大之中津大兄官にまして武内宿禰は右刑司中津大兄官なり。一所は南に向ひ、右の一所と川を隔てて向会ひたり。此所は大国主神及び少彦那神の代命事代主命掌り給へり。
人間が死後、生前の善悪に関して罰を申しつけられるのは出雲大社であると述べられており、これは裁判所を連想させます。
また複数ある刑法所(刑務所?)の1つを大国主大神が自らではありませんが、大国主大神と少彦名神の代命として御子神の事代主神が司っていると述べられています。
これはそのまま霊界物語で述べられている大禍津日神の職掌そのままです。
また退妖官という職掌もあり、言葉通りに受け取るならこちらは武力的な職掌(警察官や機動隊)で霊界物語で述べるところの八十禍津日神です。まさに武勇絶倫にして数多の武器と部下を持ち、八千矛の神、醜男神と讃えられる大国主大神を連想させます。
しかしいずれにしても大国主大神や淤縢山津見神には部下の神がたくさんおり、その部下にもさらにたくさんの部下がいるはずです。日本の警察機構や自衛隊のような団体を思えば無数の階級や業務内容があり、あくまで霊界物語の時代の時点で、組織のトップがという意味なのだと思います。
異境備忘録は明治時代の書物なので霊界物語の何十万年も前の時代から一気に現代に飛びます。
霊界物語を鵜呑みにして良いなら数十万年年前、つまり日本神話の伊弉諾大神の禊ぎ祓いの段の時点で八十禍津日神に任命された大国主大神の職掌が明治時代まで一切何の変化もないというのは考えられません。
異境備忘録では次のような立ち位置で大国主大神が述べられています。
宇内の大評定の時は尊き神等は更にて諸の幽界より三人宛其界にて勝れたるは万霊神岳に集会するなり。日本人支那人天竺人西洋人種々様々衣服など異なるが参るなり。何れの界の言語も此界に入る時は聞分けらるるなり。会議決定しては神集岳に其決議書を奉る。かくて少名彦那大神、八意思兼神、大国主神御一見ありて、天照皇大御神、伊邪那岐尊も一見し給ひ、上極皇産霊神に御使を以て右の決議書を奉るなり。されども皇産霊神の其許へ参らずして其代命を受持ち給ふ天照皇大御神の御許にて多く御許可になるなり。
神集岳の大会議(神無月の会議)で決定した事項は少名彦那大神、八意思兼神、大国主神御一見ありて、天照皇大御神、伊邪那岐尊も一見し給ひ、上極皇産霊神に御使を以てと錚々たる大神の中で同列として大国主大神の神の名前が述べられているので、単に八十禍津日神の職掌を務めているとは思えません。
当然地上は様々な変革がありましたし、霊界のことはわかりませんがあったはずです。神々の立ち位置や状況なども多いに変化があったと考えるのが普通です。
異境備忘録での幽界の主宰神は少彦名大神ですが、大国主大神は「九羅殿」という大宮に坐し、「宮の幽界は出雲の大社などは幽界に入りて見る時は一つの大幽宮と見ゆ。」と異境備忘録では述べられています。
物質界の出雲大社はこの九羅殿の顕れとのことです。大国主大神は極めて重要な神として異境備忘録でも述べられていますが、具体的な地位や職分は罰は出雲大社で受ける云々を除けば述べられていません。
しかし小櫻姫物語では帰幽後の人間の世話をするのは大国主大神の眷属であると述べられています。
川丹先生は其根元は神界にて水位と同官同位なりしが、水位冥官の掟を誤り、此界を退けられし事久しきが間に川丹先生は位階も進み、退妖館中の員列三十六等紫上の中位といへるに至りて大霊寿真人よりは二十七階ほどの上位にて其上に智識明達にして此界にても名誉ある川丹先生なれば、再び此界に出入の赦を受けてよりは師仙と仰ぎ敬ふなり。
異境備忘録ではよく退妖官とか退妖館という言葉が出て来ますが、退妖官が八十禍津日神であるかどうかはわかりませんが、退妖館や退妖官=妖魔を退治する官や館(組織団体)、あるいは刑務所や裁判的な職掌という風に解釈するのが普通かと思いますので、普通に考えれば霊界物語でいうところの八十禍津日神や大禍津日神の職掌と言えます。
川丹先生は宮地水位仙と「元は同官であったけれども、現在では退妖館中の員列三十六等紫上の中位という27階級も上まで出世している」と述べられており、明治時代の当時は八十禍津日神や大禍津日神の職掌?に付いていたということになるはずです。
この組織のトップが誰なのかは述べられていません。
大国主大神は霊界物語の当時は八十禍津日神に任命され、これは異境備忘録でいうところの退妖館のトップという意味に受け取れます(当時退妖館という団体はなかったかもしれませんが…)。
現在の人間界で例えるなら大国主大神は自衛隊の統合幕僚長か警察庁長官、あるいは防衛大臣で、川丹先生は明治時代においては「退妖館中の員列三十六等紫上の中位」というのがよくわかりませんが、36等の下から27番目という意味なら序列は上位9位階級なので自衛隊なら1佐(旧軍における大佐)か将捕(旧軍における少将)辺りなのかもしれません。
異境備忘録から100年くらい経っていますので、川丹先生もおそらくはさらに出世なさっておられるでしょう。
各種の霊的な書物を読み比べてみると違う部分もありますが、表現は違っても同じことが書かれている部分もあり、納得出来ることもあります。
死後は大国主大神のお世話にならないように、出雲大社で罰を申しつけられることがゼロではないにしても、少しでも少なく済むようにしたいものです。