世人せじんあるひふ、鰥寡かんくわ孤独こどくまた貧者ひんじや重病人ぢうびやうにんなりと。しかなが以上いじやう人達ひとたちよりも尚々なほなほ不幸ふかうなるものがある。如何いか巨万きよまんとみむといへども、貴人きじんれつくははるとも、人間にんげん死後しご生活せいくわつらぬほどだいなる不幸ふかうのものはない。如何いかなる貧人ひんじんいへども、鰥寡かんくわ孤独こどくいへど死後しご永遠ゑいゑん生命せいめい感得かんとくしたものは、胸中きようちうおのづか閑日月かんじつげつあり。非時心ときじくこころ爛漫らんまんたるはなきみち、芳香はうかうくんふにはれぬ歓楽くわんらくひたり、永遠ゑいゑん生命せいめいたのしむこと出来できる。ゆゑ如何いかなる智者ちしや学者がくしや貴人きじん富者ふうじやいへども、明日あすをもれぬ人生じんせいたもち、戦々兢々せんせんきようきようとして其日そのひ其日そのひおくくらゐ不幸ふかうなものはない。

 

 

吾人ごじんかみとも永遠ゑいゑん無窮むきう不老不死ふらうふし生命せいめいそのものである。霊肉脱離れいにくだつり関門くわんもんはあつても、吾人ごじん本体ほんたいそのものはけつして滅亡めつばうしない。現実界げんじつかいのすべての歴史れきしを、過去くわこ背景はいけいとして永遠ゑいゑん無窮むきう霊界れいかい復活ふつくわつするのである。そして現実界げんじつかいける善悪ぜんあく応報おうほう自身じしん霊体れいたい反響はんきやうし、しみついて永遠ゑいゑんはなれないものだ。これをおもへばかみかみみやたる人間にんげん現実界げんじつかいおいぜんをいひぜんおもひ、そしてぜんおこな主神すしんあいして主一無適しゆいつむてき信仰しんかうき、永遠ゑいゑん無窮むきう安楽国あんらくこくみづか開拓かいたくせなくてはならぬ。

 

 

三鏡 出口王仁三郎

 

 

思うに人生で最も大切なことの一つは、死後の世界の存在への理解と地上時代に行った自分の行動や思想が死後の世界においてどのように反映されるのか?を理解することだと思います。

 

これがわかれば地上人の生活は一変するはずで、悪魔が守護する今の世もかなり良くなるはずですし、結果としてより良い人生を生きる努力をするようになります。

 

 

日本はかなり物質的に豊かな国ですが、例えばホームレスがいれば食べ物や寝床を用意してやるのは大切なことではありますが、それだけでは人間は本当の意味で、永遠において幸福にはなれません。乞食は金をやれば喜びますし、病人は病気を治してやれば喜びますが、それは一時のことであって本質的なことではないのは言うまでもありません。

 

 

シルバーバーチの霊訓には全く準備の出来ていない人間が続々と霊界に入ってくるによる霊界側の大変さを愚痴っているように文言がありますが、これは地上で例えたら海外移住みたいなもので、決められた期日にアメリカに行くのにその瞬間まで何も準備していないのと似ています。

 

 

パスポートやビザ、永住許可の申請、現地での住居や仕事探し、当座の資金の換金、語学の準備、病院や大使館などの下調べ、現地の政治状況や法律や現地での文化・風習に関する勉強など、海外への移住に必要なものは膨大ですが、ちゃんと準備しておけばいきなりある日突然放り出されるのとは全く話が違ってきます。

 

 

もし全く準備していなければいわゆる難民みたいなもので、アメリカ政府も無為に見捨てることは出来ませんから突然アメリカ国内に現れた不法移民の衣食住や仕事や学校の面倒を見てやらなければいけません。

 

 

一人二人ならともかくこれが何万何億ともなれば、ちょっと大変というレベルを超えて大きな社会問題になります。

となればアメリカ政府が日本政府に対して「アメリカに来る前にちゃんと準備するように教育しろ」と言うのはごく当然のことと言えます。

 

 

これと同じことが地上と霊界に発生していて、シルバーバーチは相当の人格者と思われますが、彼ですら愚痴めいたことを言うわけですから相当な大問題になっているはずです。

 

 

すべてのスピリチュアル系の書物に通じて言えることは死後も生きている間もそれまで積んだ善行や悪行の多寡、形作られた人格に相応する状況・境涯になっていくということです。

 

 

誰でもより良い死後の世界に行きたいと考えるのが当然だと思いますし、生きている最中でも生活のレベルをより向上させたり、できる限り満足いく人生を送りたいと考えるのが普通ですが、知識のなさがそれを阻害しているのが現状のように思えます。

 

 

それを天国と呼んでも地獄と呼んでも構いませんが、生前なぜもっと善徳を積んでおこなかったのかと幽界の死後直後の霊が歯噛みしているのはよくあることであり、この点こそが今の地球にもっと必要なことかと思われます。

 

 

シルバーバーチは霊的な知識を地球に広めるために地上に戻ってきたとよく述べていますが、たしかにこれは極めて重要なことであり、もう遅いかもしれませんが、逆に言えば21世紀はそれを基盤にしていくことが今世紀の人類のテーマのように思えます。


 


しばしば申しているとおりあなた方はスピリチュアリズムという言い方をされますが、これは地上でのラベルであって私にとっては自然法則そのものなのです。
スピリチュアリズムという用語を用いると人によっては特にその真意を知らない人にとっては、何か不気味な感じを与えます。

それよりも大自然の法則―――宇宙の物理的・精神的・霊的法則、まだまだ未開拓のままである人間の潜在的能力、表面下に存在する活動の世界、すなわち超自然界、人間の持つより繊細な能力―――こうした広大な分野はスピリチュアリズムとか「霊媒現象」といった誤解されやすい様を用いなくても教えることができます。
詭弁を弄しなさいと言ってるのではありません。真偽には多くの側面があり、従って特別のラベルを貼らなくても表現できることを言っているのです。

 

シルバーバーチの霊訓

 

 

日本に限らず世界的にそうなのかもしれませんが宗教の堕落凄まじく、むしろ宗教家が率先して悪事を行っている側面があり、またスピリチュアリズムもただオカルト扱いの妖しい宗教と大して変わらない気持ちの悪い分野として感じる人がいることは事実です。

 

実際にただの拝金主義というか金儲けや自分の欲望達成の手段としてスピ系をやってる人もいますので、そういうのを目の当たりすればそう感じるのは当然と言えます。ただの娯楽や興味本位でやっている人だっているはずです。

 

 

宗教の方は宗教家に責任がありますし、むしろ霊的な分野もっとも進んでいなければいけないはずの宗教家が最も遅れているのは残念ではありますが、この辺りも難しい問題だと思います。

 

 

因果応報や人間の潜在能力の活用やまだ人間が発見していない自然法則や霊媒現象は、私に言わせればスピリチュアリズムの分野でもあり、科学の分野でもあり、どちらも人間の知的レベルが追いついているかいないかだけの違いしかありません。

 

 

人間は理解出来るレベルの自然を「科学」と呼び、理解出来ないレベルの自然を「オカルト」と分類してきました。古代は稲妻を神の怒りと考えていましたが、今は稲妻に科学的な説明が出来るようになりましたので稲妻はオカルトではなくなったように、将来のいつかに霊的と呼ばれる様々な事柄がきっと人間が理解出来るレベルで解明されるはずです。

 

 

その時それを人間たちが科学と呼ぶのかどうかはわかりませんが、ここ1000年くらいは物質的な分野のみを科学者たちは追求してきましたので(その結果物質的には豊かになりましたが)次は精神、霊、魂、言い方は何でも良いですが、目に見えない分野の科学の研究をして欲しく思いますし、現に既に僅かながらではありますが、そのような研究は始まっています。

 

 

 

科学的な解明はすぐにはいかないでしょうが、人間は体験として、直感として理解出来るものがあるのも事実です。死後の世界や因果応報のことを理解出来れば死は恐いものではなくなりますし、ひふみ神示やシルバーバーチなどが唱えていることに沿って人生をしっかり生きることがそっくりそのまま生前の世界と死後の世界での自分の立ち位置をより良いものにすることになります。

 

 

それを理解することが人間にとって救いとなり、幸福の基盤となりますますし、それを理解出来ず遠ざかっていることこそが「世の中に最も不幸なるもの」ではないかと思います。

 

 

健康で元気でお金に余裕があり、人間関係その他悩みが一切何もないなら少なくともその時は幸福かもしれませんが、そこに人間性の成長はありませんし、それは永遠には続きません。それが崩れたときに人間は金や物や名声などを超えた表面的でない何かがあるはずと段々感じるようになるものですが、一人でも多くの人が現時点で人間に与えられている範囲のスピリチュアリズムの知識を理解出来ればと思います。

 

 

私にとっては霊的なことと科学的なことは人間の知性が追いついているかいないかだけの違いしかないのですが、科学的なことを理解することが人生を豊かにするのに役に立つように、霊的なことも人生を豊かにするのに同じく役立ちますので、シルバーバーチが言っているように用意の出来た人に無理強いをせずに少しずつ知って欲しく思います。

 

 

科学的な知識も霊的な知識も正しく使えば等しく人間が幸福を求めるツールとして有益なのは変わりません。