スピリチュアリズムと呼ばれるいわゆる霊的な分野の研究では西洋のものではシルバーバーチやホワイトイーグル、インペレーターなどが有名で、日本では日月神示や出口王仁三郎などが有名であり、異境備忘録(宮地水位)や幽界物語(参澤明)などはどちらかというと知名度が低いです。

 

 

シルバーバーチやホワイトイーグル、インペレーターなどは基本的に道徳や倫理観を中心に述べ、霊界の事情などは二の次という印象を受けますが、異境備忘録や幽界物語は霊界の事情について書かれていることがほとんどであり、道徳的なことは全体の分量としては少なめになります。

 

 

これは民族性やその国の進歩状況、あるいは霊界の仕組みなど様々なことが入り組んだ結果としてこうなっているのでしょうが、あまりネットで扱いっている記事などがないので、私のわかる範囲で間違いがあるかもしれないことを含んで頂きつつ、述べてみたいと思います。

 

 

 

〇異境備忘録

異境備忘録は宮地水位という高知県の潮江天満宮の宮司だった人物が書き残したメモ書きみたいなもので、出版を前提に整理して書かれたものではないようですが、いわゆる修験道、仙人系を目指す方にとっては必読書のようになっているようです。

 

 

ここで述べられている霊界の様子は日月神示や出口王仁三郎の霊界物語、あるいは西洋の霊訓に書かれているものと共通する部分もあり、また異なっている部分もあり、興味深いです。

 

まず霊界の構造については下記のように述べられています。

 

然るに万の幽冥界の霊魂も神集岳万霊神岳に往来する事もあり。然るに幽界の大都は第一紫微宮、第二日界、第三神集岳、第四万霊神岳なり。されども常に幽政を行ふ法式を定むる所は神集岳なり。

 

万霊神岳記録官には支那日本の学者等五千八百神坐せり。其従官七十二万二千十三なるよしなり。此界の主領官は少名彦那神に坐せり。

 

 

宮地水位仙の述べる霊界(神界)

 

これだけではなくほかにも悪魔たちの属する界や地獄的な界もありますが、善神や善霊たちの集う界はこのように4つに別れていると言います。

 

 

水位仙は一番上の紫微宮にまで出入りしていますが、異境備忘録で語られる舞台の多くは神集岳と万霊神岳、または地上世界であり、上に紫微宮と日界があるけれども幽政を司るのは上から3つ目の神集岳であると述べています。

 

 

神集岳の統治神が誰なのかはよくわかりませんが、万霊神岳の統治神は少名彦那神であると述べています。

 

 

宇内の大評定の時は尊き神等は更にて諸の幽界より三人宛其界にて勝れたるは万霊神岳に集会するなり。日本人支那人天竺人西洋人種々様々衣服など異なるが参るなり。何れの界の言語も此界に入る時は聞分けらるるなり。会議決定しては神集岳に其決議書を奉る。かくて少名彦那大神、八意思兼神、大国主神御一見ありて、天照皇大御神、伊邪那岐尊も一見し給ひ、上極皇産霊神に御使を以て右の決議書を奉るなり。されども皇産霊神の其許へ参らずして其代命を受持ち給ふ天照皇大御神の御許にて多く御許可になるなり。

 

神集岳で尊き神々が集まる様の述べてられていますが、これはまるで日本の神話に出てくるような出雲大社に神々が集まって一年の事を話し合う様のようです。

 

 

幽界は八通りに別れたれども、又其八通りより数百の界に別れたり。然れども宇内の幽府は第一に神集岳、第二に万霊神岳なり。

 

どの霊的な書物でも霊界はその霊の霊性によって様々な集団を作ると述べられており、それゆえにたくさんの界があると述べてられいますが、水位仙も8つの界がまた数百に別れていると述べています。

 

日月神示にも似たようなことが書かれています。

 

三千の世界の中の一つがそなた達の世界であるぞ。この世も亦三千に分れ、更に五千に分れてゐるぞ。このほう五千の山にまつれと申してあろう。今の人民の知り得る世界はその中の八つであるぞ。人民のタネによっては七つしか分らんのであるぞ。

 

この「今の人民の知り得る世界はその中の八つであるぞ。」というのは水位仙の発言と同じになり、まさに「今の人民の知り得る世界」ということなのでしょう。水位仙は太陽系の他の天体や天の川銀河やほかのアンドロメダなどの銀河、あるいはもっと遠い宇宙については述べていないように思えます。

 

 

仙童寅吉物語や幽界物語(参澤明)や異境備忘録は江戸時代の中期ぐらいから明治初期に述べられたもので、これらの文献には艮の金神・国常立大神の神名が全く登場しません。

 

 

大本や日月神示では艮の金神・国常立大神は長らく幽界に押し込められていて、明治期の出口なお刀自などの時代に復活したという風に大本神諭などでは読めますが、それにしても全くノータッチです。

 

 

異境備忘録に限らず、霊訓関係は霊界の規則によって地上人には漏らしてはいけない事柄がたくさんあるそうなので、その類いなのかもしれませんが、この辺りを完全に明らかにする現代版の異境備忘録的なものが読みたい次第です。

 

 

霊界と物質界は対応しており、合わせ鏡のようであるとあらゆる霊的書物で述べられていますが、江戸時代末期から明治初期の日本や世界の変わり様はそれまでの数百、数千年と大きく違い大変な変化を伴っています。

 

 

ということは普通に考えれば地上に大変革があったように霊界にも大変革があったということになり、異境備忘録や幽界物語(参澤明)はそれ以前の資料なのでアップデートされたものが欲しいというのが多くの人の望むところではあると思います。