秋晴れの爽やかな日曜日でしたが・・・今日もDVD三昧、心ふるえる映画観てました。
『悪人』2011年 李相日監督作品
吉田修一さんの原作は発刊当時に単行本で購入して一気に読了した覚えがありますが
その時のイメージが鮮烈だったので、映画化されてもなかなか見る気が起こりませんでした。
原作のイメージと、役者さんのイメージが合うのかどうか、原作は登場人物の描写がけっこう緻密で
それが映画の尺に収まるのかどうかとか、長編小説の映画化ってなかなか難しい部分あると思いますが。
ただこの映画は原作者自身も脚本に参加している、というところが特異。
実際観てみると、ストーリーだけ追うと原作のダイジェスト版という感なきにしもあらずですが
そこを役者さんたちのパワー漲る演技でカバーして余りある、と見て取れました。
主演二人も良かったし、満島ひかりさんや岡田将生さんが人間の弱い部分を生々しさでもってしっかり体現されていました。
けど、やはり殺人犯を愛してしまう孤独な女性・光代を演じた深津絵里さんが圧倒的に良かった。
佐賀の田舎町で国道と学校のある地域を往復するだけの、狭い世界を孤独に生きてきて
出会い系サイトで出会ったゆきずりの男を本気で愛してしまう、はたから見ると愚かだけど
空虚な心の隙間を埋めてくれる男の存在に全てをなげうってしまう、そういうことってあるかもしれないって思えるほどの、説得力のある演技でした。
妻夫木さんも爽やかなイメージは微塵もなく、暗く鬱屈とした男を演じ切ってました。
海風が吹きすさぶ灯台のたもとで抱き合う二人の姿は、はからずして世間から追い詰められた二人だけの純度の高い世界で。
この映画タイトルは『悪人』だけど、劇中で出てくる本当の意味での悪人といえば、ばぁさんから金を巻き上げるいかがわしい健康食品販売会社の社員たちと、事件の発端となったのにいつまでもヘラヘラしている道楽息子くらいで、加害者である祐一くん悪人であるとは言えない。
それよりも、博多が象徴するきらびやかな世界のものが、佐賀や長崎といった地方でひっそり暮らしているひとたちを気づかないうちに端を追いやり踏み潰してしまっているのでは、と思えてしまったりもします。
そんな地域間格差がどんどん広がり、それが心の隔絶を増大させてしまっている、現代社会の一面を確実に掬い取っているとも感じました。
吉田修一さんの描く世界は、リアル過ぎて目をそむけたくなる点もあるけど直視してそれらとどう向き合っていくか覚悟をきめなきゃならん、そんな気にもさせてくれます。
『がんばっていきまっしょい』1998年 磯村一路監督作品
これは過去に何度も観てて、お気に入りの一本なのでした。
ボート部に入部し、ひたすらボートをこぎ続ける青春を過ごす女子高生たちの姿。
けどそこには部員の仲間たちと過ごした合宿や遠征でのかけがえのない時間が有って。
大会を勝ち進み決勝に臨む彼女たちにコーチ(中島朋子)は
「私もあんたらのときはボートしかなかった、でもそれでいいんよ」
と言葉をかけてました。
また、17歳の夏、最後の合宿で
「もう合宿が終わるねぇ、寂しいよ」
とつぶやく彼女たち。
大人になる前に誰でも通り、そして二度と戻ってこない青春のひととき。
そんなきらめく時間を切り取っているこの映画をみて心を浄化させて
またがんばっていきまっしょい!と気合を入れなおしたのでした。


