今回の試合を迎えるにあたって、みんなの自分を勝たせたいという気持ちがヒシヒシと伝わってきた。
そして、それに応えようと必死に練習をしてきた。
正直、疲労が抜けず、○○中に○○院に行ったり、殆ど家に帰らず色々なことを犠牲にしてきた。
相手の動画を見て研究もしたし、対策も立てた。
体調もなんとか回復し、試合当日を迎えた。
しかし、肝心のモチベーションまでは回復しなかった。
いくら相手が無敗だと言ってもまだ3戦しかしていない。
20戦してる自分なら簡単にいなして勝てると思っていた。
リングに対峙した時、明らかに相手はビビっているのがわかった。
いきなり来るのはわかっていたし、いなしてローキックで削って最後は肘で切ってやるつもりだった。
必死になった相手の勢いは下手な技術なんかじゃ止まらない。
最初からぶつからなかったその瞬間に試合は決まっていた。
思えば過去に同じような経験をしたことがある。
9年前、拳友宝山力との試合、一回戦で延長判定にもつれ込んでスタミナを消耗した宝山の死に物狂いで出したボディアッパーに動きが止まり、負けたあの試合。
戦いはスパーリングじゃなく、ど付き合いなのだ、
折角鍛えたフィジカルも闘争心もまるで出せずに終わった。
皆に見送られて幸せいっぱいな最後の試合だったが、
こんなんじゃ終われない。