別れは突然やってきた。 

それはある1本の電話から始まっていた。


私がその事を知ったのは、彼が別れ話を切り出した電話だった。


彼とディズニーシーに婚前旅行に行く予定を立てて、ホテルの予約をとった次の日、彼の元に私より前にお見合いで知り合ってお付き合いをしていた彼女から電話があった。


「あなたの子供をどうしても産みたいから卵子凍結をしました」


彼はこの電話の後、私との旅行を終えるまでの間ずっと彼女と私のどちらを結婚相手にするのかを考えていたようだった。


彼の出した答えは、すでに最初から決まっていたのかも知れない。

皮肉なことに、彼女と私は同じ38歳で、子供を産むことを考えると、結婚したからといってすぐに子供ができる保証はない。


だからこそ、確実に子供を産む覚悟と準備ができている彼女を選んだのだと思う。


そもそも、彼は自分の子供が欲しくて前の奥さんと別れて、その彼女と一度別れた理由も、今はまだ子供は欲しくないと言われたからだった。


別に嫌いで別れた訳ではなかったし、別れてからも連絡を取り合い、時々会ったりもしていたようで、私よりも一緒にいる時間が長くて、家族みたいな感覚で付き合っていると言っていた。


その上、彼女の母親とも連絡を取っていて、娘とよりを戻して欲しい。と懇願されていたらしく、父親が入院中で早く花嫁姿を見せてあげたいとも言っていた。


旅行から帰って来た次の日の電話で彼から全てを告げられるまで、私は何も知らずに、旅行が終わればすぐに結婚に向けて準備を進めていくものだと思っていた。


だからこそ、彼の口から別れ話をされるなんて信じられなくて、まさに晴天の霹靂だった。