携帯を失くした途端に不便が降ってきたでも今こそ念仏をしようと思った産経の占ひにも諦めるなとあった
携帯は、電車の中で落したらしい。先ず交番に行って失くしたことを届けた。
女性のお巡りさんは懇切丁寧に聴いて下さった。
それから小雨降る中、自転車で携帯の店に行った。
そこで失くしたことを届け、保険に入ってゐる筈だから、代りのものを下さいと告げた。
驚いたのは、その店員の表情である。
まるで泥棒に対するやうな警戒心と敵意が顕れてゐた。
その店員は、「この電話で担当者に話して下さい」と事務的に言って、奥へ引っ込んだ。
その電話には、事務的ではあるがマニュアル通りの事を喋るだけの女性がしっかりと対応してくれた。
彼女は最後に言った。「もし失くした携帯が出てきたら、この代りのものを受け取らずに返却して下さい」と。
それは当然なことである。
そこで思った。(世の中には、かうして代りの物をだまし取る輩が多いのだらうな)と。
私はその女性に言った。「貴女の対応は、大変良かった。今後とも更に頑張って仕事をして下さい」と。
彼女は、そこまで褒められるとは思ってゐなかったやうで、豆鉄砲を食らった鳩のやうであった。しかし最初に対応してくれた店員は、端末機を見てゐて、こちらを見向きもしなかった。でも、「この店にも幸あれ」と祈って、又雨の中を帰宅した。