昨夜の親父との会話。

 

「ワシ、何人 息子おるんやったかな?」

 

「………」

 

「ところで おまえ、結婚してるんか?」

 

「してるよ」

 

「子供はおるんか?」

 

「あんたの孫が三人おるやろ?ハジメとヒカルとスミコや?思い出されへんか?」

 

「うーん…」

 

「俺も あんたの息子やぞ、分かるか?」

 

「それは分かる」

 

「名前なんていうか分かるか?」

 

「そこまでは分からん」

 

「………」

 

日によってムラがあるのだが、ここまで来たか、という気がした。でも俺が息子だということは未だ分かるみたいだ。それに昨夜もテーブルには俺の夕飯として買ってきてくれていたのであろう王将の餃子が置かれてあった。様子を観ながら対応していこう。担当のケアマネさんにも相談する時期か?いずれ親父に「あんた誰?」と聞かれる日が来るかも知れないと覚悟はしているが、いざ その時が来たら去来する思いもあるのだろう。

 

親父は芸能人でいえば、タモリなんかと同い年だったっけな?あの人はテレビでも未だ未だ現役で確りしたもんだ。そう考えると、うちでは平均より少し早い段階で この手の問題が現れてきているんだな。そして もう一つ時事的な比較対象としてプーチンを浮かべてみる。あのハゲは親父より五歳ほど年下だ。親父も呆けてきたが、あのハゲほどは呆けていない。こっちは介護されるべき老いで、向こうは批難されるべき老いだ。プーチンの息子でなかったことが自分の幸運だと思うことにしよう。