【導入】水原千鶴の恋物語 千鶴は和也が好きなの?いつから? | 恋心、お借りします

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【導入】水原千鶴の恋物語 

千鶴は和也が好きなの?いつから?

 

はいどーも!水原千鶴オタクの甲楽わんです。かのかり楽しんでますか?

 

理想の彼女、水原千鶴。千鶴ちゃんは和也のことが好きなのかな?なんとなく好きなように見えるけど、その恋はいつから始まったんだろう?千鶴ちゃんは何を考えてるんだろう?この記事にたどり着いたあなたはきっと、そんな疑問をお持ちだと思います。

 

かのかりは最近のラブコメ作品の中では珍しく、正ヒロイン×主人公の純愛ものです。7巻50話以降、千鶴×和也の恋愛模様や協力関係にフォーカスし、純愛路線まっしぐらです。瑠夏ちゃん推しの人はごめんなさい。

基本和也の一人称で進むので和也が千鶴にゾッコンなのは分かりやすいのですが、一方千鶴の気持ちは遠回しに表現されるため分かりにくくなっています。しかし、それは描かれていないとか、理解できないというものではなく、千鶴の置かれている状況や彼女の行動を丁寧に整理していけば、十分読み取れるものです。明確に描かれていると言っていいです。

 

レンタル彼女と客という関係を通して千鶴は和也に惹かれていき、彼に恋をします。本人も気づかぬまま恋心が生まれ、ゆっくりと確実にその恋心が膨らみ、やがて自分の気持ちに気づきます。そして、和也と同じように、千鶴もこの恋に悩み葛藤します。

この作品は、「千鶴が和也をどう思っているか」が理解できてるかできていないかで、作品の見え方がかなり変わるので、ぜひ参考にしてください。
早速解説と行きたいところですが、その前に導入として千鶴の本心を読み解くヒントを見ていきましょう。

 

 

 

  水原千鶴の本音を読み解くポイント

  本音を言わない不器用でワケありなヒロイン

 

◆本音を言わない不器用でワケありなヒロイン 水原千鶴 8巻61話

 

かのかり正ヒロインの水原千鶴は、ことさら恋愛ごと(和也のこと)については、本音を漏らしません。それは彼女が本心を見せるのがすごく苦手だからです。千鶴は自分の弱さを見せるのが苦手な女の子として描かれていますが(58話)、それと同じく、彼への恋心も見せようとしません。本当は和也と一緒にいたかったり彼に近づきたかったりしても、なかなか本心を言葉にできないんですね。だからいつも、『レンタル彼女として協力してあげる』、『あなたはこうするのが正しい』、『私はこうしなければいけない』など、何か理由をつけて和也の傍にいようとします。正しい理屈で本音を隠しているわけです。傍にいたいから、傍にいさせて欲しいとは言えないんですね。

 

 

◆恋愛感情のないレンタル彼女と客の協定 4巻32話

 

また、レンタル彼女と客の間では「恋愛関係」があってはならないことも、彼女が和也に対して好意を見せない大きな理由です。実際にお互いに恋愛感情がないことを確認して、二人の関係は恋愛感情なしの『協定』であると決めてしまいました(4巻32話)。さらに、和也に本当の彼女を作ってあげると約束しているため、千鶴は彼の恋を応援する立場にいます。千鶴は、和也が好きになるのは自分ではない誰かで、レンタル彼女としてその恋を応援しなければいけないと考えているわけです。だから、彼が自分を好きだと言ってくれない限り、本当は自分を選んでほしいだなんて言えません。それとなく好きアピールをすることもできないし、何か理由がなければ会いに行くことすらできません。だからいつも彼女は、『レンタル彼女として』という言い方でしか自分の気持ちを和也に伝えることができないのです

 

普通のツンデレなら、ツンケンしていても好意を隠し切れず読者に見せてくれるのですが、そこを鉄壁にまで見せないのが千鶴です。しかし、千鶴の言う『レンタル彼女として傍にいてあげる』の裏には、『あなたの力になりたい』、『あなたの傍にいたい』、『あなたが好きです』という本音が隠されているわけです




  本音は千鶴ひとりのときだけ

 

◆なによ さっきの ばーかっ 7巻50話

 

千鶴は、和也の前では徹底してドライな態度でいますし、本音を隠すための理屈を並べます。和也の前では、嬉しい気持ちも、ありがとうの気持ちも、素直に出せないんですね。そのうえ和也とは、ふたりの間では恋愛はなし、レンタル彼女と客と言う関係。「好き」の気持ちを見せることなんてできるはずがありません。

 

だったら心理描写で「本当は○○だと思ってるのに…」と語ってくれたら分かりやすいのですが、千鶴は自分では本心を語りません。そういうキャラゆえに読者としては千鶴の本音が掴みにくいわけです。

作中で唯一千鶴が本音を漏らすのは、一人でいるときだけです。和也が目の前にいないときや部屋で一人でいるときだけは、素直に笑顔を見せますし、泣き崩れますし、悩みます。千鶴の本音は、和也がいないときに分かりやすく描かれるんですね。

 

作者は和也には分からせないまま、読者だけに「恋する千鶴」を見せています

 

 

 

  小百合おばあちゃん
 

千鶴の本音を掴むためのキーパーソンになっているのが、小百合おばあちゃんです。

 

小百合おばあちゃんは、千鶴にとって世界で最も大切な人です。自分を育ててくれた母親であり、憧れであり、女優になるという夢を与えてくれた人です。同時に、千鶴が唯一、本当は弱さを持つ自分をさらけ出せる人、甘えられる人です。

 

 

◆本当は甘えん坊 7巻58話

 

「褒められるのが大好きで、実は甘えん坊で」―――そう語る小百合おばあちゃんは、千鶴を最も理解している存在として描かれます。千鶴の気持ちはすべてお見通し、という訳です。

 

 

◆でも彼ほどあなたに相応しい人はいないわ 13巻112話

 

実際には千鶴は和也の彼女ではありません。しかし、小百合おばあちゃんも、千鶴が和也を思う気持ちが本物であると感じているはずです。だから、千鶴の恋については真剣に考え、応援してくれています。

 

千鶴自身はなかなか本音を漏らしませんが、小百合おばあちゃんを通して、本心が描かれています。

 

 

 

  かのかりの恋は「ドキドキする♡」では語れない
 

 

◆ちんこで恋してんじゃねぇ 2巻11話

 

和也の幼馴染である木部のいう「ちんこで恋してんじゃねぇ」は、かのかりの恋愛観の根幹となっています。カワイイだけで女の子を好きにはらない、どんなにドキドキするようなカワイイ子でも、ひとりの人間として尊敬できたり必要と感じたりしなれなければ、恋愛感情は発展させないという明確な恋愛観がかのかりのベースになっています。

 

◆”好き”とは違くて 「彼女、お借りします」 8巻65話

 

瑠夏ちゃんが、S級美女で、可愛くて、近づくとドキドキして、エッチなことしたくなる女の子でも、でも”好き”とは違うから彼女にはできない。そう言う恋愛観です。
 

ただ楽しく過ごせたらいい、快楽を満たせたらいい―――かのかりで描かれているのは、そのような「娯楽」としての恋愛でなく、支え支えられるパートナーシップと共にある恋愛と言えます。
 

ですから、たとえ和也が運命の人だったとしても、千鶴はなかなか恋をしません。

千鶴が人として和也を認めていけばいくほど、必要としていけばいくほど、恋愛感情が膨らんでいく様子が描かれています

 

 

 

  千鶴から見た和也を正確に捉える

 

特に男性読者(僕もそうですが)は、ヒロインの恋心を表情だけで判断しがち。顔を赤くした、男の子として意識しているような描写だけで、好き or 好きでないと判断をしがちです。

 

しかし、水原千鶴の『好き』の形は、ドキドキするような恋心だけではとても語れません。パートナーシップと共にある恋という表現をしましたが、和也への信頼感とセットになった『好き』と言う感じでしょうか。和也の「君がいい!君が!」以降、本格的に千鶴の恋は走り始めます。そこで大事なのは、今の千鶴にとって和也はどんな存在なのかを正確に捉えることです。バカでクズ、情けない、でも大切なお客、自分の夢を応援してくれる人、一緒にいたら楽しい人、辛いときいつも傍いてくれる人、唯一弱さを見せられる人、傍にいて欲しい人。そういう千鶴から見た和也のすべてが、彼女の『好き』の形と言えます。当然、その形が変われば、和也への接し方も変わっていきます。

 

物語からコマを切り取ってセリフや表情の意味を考えても、彼女の気持ちを読み解くことは不可能。それまでに彼女が和也と過ごした時間の中で、彼女が何を感じ、何を与えられたのかをきっちり拾っていく必要があります。そして、千鶴にとって和也はどんな存在なのかを正確に捉え、そのとき彼の言葉に何を感じ、千鶴は何をしたのかを丁寧に整理する必要があります。そこに千鶴の気持ちが隠されています(【解説】好きとは言わない水原千鶴の 状況と行動の間にある「好き!」)。

 

レンタル彼女と客の関係を通して、千鶴の少しずつ積みあがっていく『好き』の形を捉えることができたとき、少しずつ変わっていく和也との関係を掴むことができたとき、「彼女、お借りします」を最大限に楽しむことができる。そう僕は信じています。

 

では!次は、1-6巻まで千鶴が和也をどう見ていたのか、水原千鶴の恋物語スタートです!!!

 

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■ 1-6巻 水原千鶴の恋物語 満足度①