宇野くんがロシア合宿に行っている最中。

折角なので、フィギュアスケートのことを良く知らない素人による、宇野くんの好きな演技について語ろうと思います。

自分はフィギュアスケートを「楽しむ」ならば、競技の得点には興味がない部類です。得点が高ければ上手なのは勿論ですが、低いからといって蔑む思考回路はないかな。

五輪より世界選手権のトゥーランドットに感動した身ですから、

多分に演者の魅せる「気迫」「情熱」「魂」に惹かれるのだと思います。

◆２０１３年「世界ジュニア選手権」

ＦＳ「Steps」

自分は、宇野くんの偏食っぷりと競えるぐらい、音楽の好き嫌いが極端でして、その中でこの曲自体が好き。

当時中学３年生（１５歳）ですが、小柄で体も細く、見た目は実年齢より３歳ほど若く見えるのに、滑り出すと完全に大人びています。

宮本さんや佳菜子ちゃんが言っている通り「緩急のつけ方が抜群にうまい」のが自分でもわかります。リズム通りに刻んだらいいわけではないし、ただゆっくりとした動きをすればいいのではない。

最初は３連符が多い４分の５拍子。

そのパートの最後あたり。

オカリナのふくらんだ音に合わせて、腕を伸ばすしぐさと、足を含めた体のライン。

当時身長１５０㎝ぐらい、小学６年生程度です。一見して「小学生」の彼が、こんなに滑らかな動きと曲線を見せてくる。

このギャップは恐ろしい。

中盤は、リズムがとりにくい分、奏でる音をそのまま演じやすい印象。

こうしてスクショを見ると、肩の可動域が広い故、鳥の翼にも見えます。どういう姿勢を取れば綺麗に見えるか、ダイナミックに映えるか、を十分知っていますよね。

手をグーからパーにして、いったん頭部をのけぞった状態で「タメ」てから、身体の前でおろしているんですが、そのタメと背中のしなりは、滑り出した彼が「大人びている」「成熟している」ように見える一因だと思うんですね。

後半は、8分の6拍子。

解説者の八木沼さんも仰っている通り「曲調に合わせてガラリと変わる」。

先ほどは、伸びやかな雲の上を滑っているようだったのに、ここに入ると勇ましくなります。少女漫画に出てきそうな線の細い美少年だったのに、武器を手にもって大事なものを守るために戦っている少年漫画のキャラへの変貌。

そういう変化を感じさせられる一因として、やっぱり身体の使い方が巧いところかな。腕を一振りするだけでも、肩甲骨の辺り（根っこの部分）から動かし、そのスピードとしなり、力強さが違う。

何よりも、後半になっても「疲れ」を一切感じさせないのは、昔からなんですね。

実際、長身の選手の演技を見ると、やっぱりダイナミックさでは劣ります。変わりに、手足の長さとは関係ない「全身を使ったコントロール」…強弱、緩急のつけ方、曲線の魅せ方、腕、肩と胴体も連動した動き…で、そのハンデを見事に覆している印象。

ダイナミックさでは劣るけれど、身体の使い方の巧さによる迫力では引けをとっていません。

むしろ、小柄だからこそ身体のコントロールが効きやすいので、

「全身を使った動き」＝「生き生きしている」「躍動感」を

感じやすいのかなと。

演技後のガッツポーズ。

結果は７位ですが、この笑顔が素敵すぎて。

◆枠がかかっていた試合

田中くんがケガで欠場したため、補欠の宇野くんに試合がまわってきました。減ってしまった2枠を３枠に戻すため、としきりに実況は強調しますし、本人コメントもそれでした。

２０１８年世界選手権に注目されがちですが、実はずっと昔からそうだったんですね。

残念ながら３枠復活になりませんでしたが、宇野くんは国際試合でのシーズンベストを出し、「できる限りのことをやった」には違いないです…プロトコルを見ましたが、上位は４Ｔや３Ａを入れている中、４回転はおろか３Ａもない選手にしては上出来だと思います。

※次年度の２０１４年で、枠を３つに戻しています。

第2弾「steps」