これは私が中学に入る前に体験したお話です。
小学校の卒業式を来月に控えた二月の節分。
その日も例年通り恵方巻を食べ少ししてから玄関や各部屋に豆をまきました。いつもと違ったのは豆をまき終えたあと。
「〇〇(私)、一緒に神社行くよ。」
「はーい。」
私は祖母と一緒に近所の神社へ向かいました。
和紙に包んだ豆を持って。(なぜ神社に行ったのかの理由は覚えていません)
街灯の少ない薄暗い道を二人で歩きます。その途中、祖母はわたしに「帰り道は絶対に振り返っちゃだめだからね。」と言ってきました。
わたしはどうして振り返ってはいけないのか、そんなことを考えていました。
豆をお供えしいくらかの賽銭を投げ入れお参りを済ませたのち帰路につきました。
そのときわたしは自分の好奇心に抗えず後ろを振り向いてしまったのです。
「ばあちゃん、後ろ振りむいちゃいけないって言ってたけど別になにもいないよ?」
「いいからさっさと帰るよ。」
「んー。」
すこし早足になった祖母の後ろをついていきます。
家についた後、振り返ってはいけない理由を聞きましたが曖昧な答えしか返ってきませんでした。
この後は何事もなくお風呂に入り、ゲームをしてから就寝した・・・のですが、異変が起きました。
焦げたにおいがしてきたんです。
それこそ木が燃えるようなにおい。
同時に体が熱されているような感覚に襲われました。
“家が燃えている”
と思いました。
目を開けると部屋中に煙のようなものが充満していました。
ベッドのすぐ横の窓の外はまるで炎が揺らめいているように明るくなっています。
焦げたにおいはどんどん濃くなっていきます。
しかしわたしはなにもできませんでした、できなかったんです。
体を動かそうにも動かない・・・金縛りでした。
※ここで補足なのですが、わたしの部屋には煙を探知するタイプの火災報知器がつけられています。
しかしそれは作動しませんでした。
あまりのリアルさに夢なのか現実なのかわかりませんでした。
”とにかくここから逃げなければ”
それだけでした。
思いっきり体にかかっていた布団を蹴り飛ばし、バネをつかって体を起こし、電気をつけて、襖を力いっぱい開けました。
勢いよく部屋から流れ出ていく熱風、不愉快なキーンという耳鳴り。
体感的1分くらいでしょうか・・・耳鳴りがブツッと音を立てて止まり冷たい空気があたりを包みました。
恐る恐る窓を開けてみましたが切れかかった街灯がひとつ点いているだけでした。
次の日、祖母にこのことを話すと「よくないものがついてきてしまうから振り向くな、と言ったんだよ。」とため息交じりに言われました。
祖母から曖昧な返答しかなかったのはすでに悪いものがついてきていてしまっていたからだったのでしょうか・・・。
もしあのまま起きていなかったらわたしはどうなっていたのかと思うと今でもぞっとします。
節分のときなんだから2日に投稿しろよって感じですよね。
以上、わたしが体験したお話でした。