家庭において「日本の伝統文化が伝わらない」ことは、日本独特の産業や職人などを絶やすことになり、国内産業の不景気にもつながり、もしかすると輸出資源も失っているのではないかと思います。

 

「面倒くさい」を理由に、親が子育ての節目となる行事にも和服での礼装をしない傾向が増え、そんな日常的に日本文化に接する機会を失う子どもたちは、日本の伝統工芸品や文楽、能などの有形無形の文化財に対しての価値も理解できないことになり、工芸品の作者ばかりでなく、それに関わるたくさんの産業をも危機に陥れていることを知ってほしいと思います。オリンピックやワールドカップで日本を応援するくらい価値のある「日本文化」を政府・行政もきちんとしたビジョンをもって示してほしいところです。

 

中でも私の接してきた茶道には、子育てに生かせる知恵がたくさんあります。「先を読んでの行動」「道具を大切に扱う」ことで、子育ての安全も学べました。そうしたきめ細やかな気遣いやサービスは、旅館業でも売り物になるほどの価値のある(ソフト)資源だと思っています。