優里受刑者は自分がそんな状態だったからと言って、やったことが許されるとは思っていないし、まして罪を減じてもらうことを願って告訴したわけではないと思いたい。

 自分がそんな状態で何もしてやらず、何も言ってやらなかったことを悔いた。そして「私がバカだった。無知だった。これから社会の仕組みなども勉強したい」と自戒し、生きる意欲ものぞかせたと聞く。

 これを周囲からの入知恵とは思いたくない。ただ自分の短い、悲しい経験の中で、楽しいはずの結婚生活が、思いもよらぬ形で崩壊し、大切な有形無形の宝物を失うようなことが誰にでも起こりうるのだと語りたかったのだろう。

 そして過酷な事件の結果、前夫、雄大受刑者の影響から解放された喜びもまた獄中で感じていることだろう。何せ彼女にとっての東京はまさに針の筵のような場所だったのだろうから。

 要するにモラハラ問題に悩む夫婦が二人だけで解決することは難しく、第三者介入の上、どんな力や方法によってでも「別れること」が一番ということになる。関係が長引くほど「事」が複雑にもつれ今度のような事件が起こった。