こんにちわ、世界〜
小説『旅のラゴス』(筒井康隆)感想
最近小説読んだので
今日は、筒井康隆さんの代表作『旅のラゴス』についての感想を書きます。

『旅のラゴス』は、知識と好奇心に満ちた主人公ラゴスが、広い大陸を旅し続ける物語です。
物語のテンポはどこか淡々としつつも、読んでいると人生そのものを旅しているような気持ちになります。
この小説を語るうえで欠かせない要素の一つが、「ワープ」という瞬間移動の能力です。
ラゴスを含め、物語の世界ではごく普通の人でも訓練次第でワープ能力を身につけられます。
しかし、そのワープ技術を持つことで人々はしばしば差別や監視の対象となり、利用され、迫害されることも珍しくありません。
技術の進歩と自由の関係、そしてそれが生み出す新たな不自由が、ラゴスの旅の中でくっきりと描かれていました。
便利すぎる「ワープ」という手段を得たことで、かえって「歩いて旅をする意味」「旅の豊かさ」とは何かを改めて考えさせられたのが印象的です。
また、本作では「奴隷」や「結婚」というテーマも深く描かれます。ラゴスは旅の途中、何度も奴隷として捕らえられる過酷な運命に晒されます。
知識人で旅人というだけで捕らえられ、自由を奪われ、命の危険に直面する場面も数多くあります。
ですが、そうした経験を通じてラゴスは自分自身の強さや、他者の思いやりに触れ、時に絶望しながらも前に進んでいきます。
奴隷制度の理不尽さや、人が人を縛る社会の仕組みに静かに疑問を投げかける描写は、読んでいて胸に迫るものがあります。
さらに、旅の合間にラゴスが経験する「結婚」も、人間の営みとしてリアルに描かれています。
"人生の一期一会"に近い出会いと別れがあり、ラゴスは何度か結婚もしますが、どんな出会いも人生の”旅の一部”として受け入れ、別れがあってもまた次の道へと歩き続けます。
「一人で旅を続けたい」というラゴスの生き方は、とても孤独でありながらも、自由や自己探求への強い意志を感じました。
『旅のラゴス』は、淡々とした語り口の中に、人間社会の縮図と人生哲学が凝縮された名作です。
ワープという便利な力を持っても、奴隷として苦しんでも、結婚して家族を持っても、なお「旅」を続けていくラゴス。
その姿に「生きるって何だろう」と改めて考えさせられる一冊です。
旅や人生に思いを馳せたいとき、静かな余韻と問いを心に残してくれるおすすめの小説です。
これが1980年代の小説?って疑問になるくらい面白かったです!
是非見てください!
ってことで
さよなら、世界〜