私たち人間を含めた地球上のほぼすべての生物は、
地球の自転と同じ約24時間をはかるための「体内時計」をもっています。
体内時計は、睡眠と覚醒だけではなく、血圧や深部体温、ホルモン分泌のタイミング、
内臓の活動などの整理活動をコントロールしています。
そして、「夜になると眠くなる」「朝になると目が覚める」「ある程度決まった時間にお腹がすく」
といった人間が本来持っている生活リズムを作り出しているのです。
この体のリズムを刻む体内時計は、私たちの体の中にあるほとんどの細胞に存在しており、
お互いに連携し、調整しているといわれています。
●体内時計には「親時計」と「子時計」がある?
体内のほぼすべての細胞には、時計遺伝子が存在し、
それぞれの細胞ごとに時間を持ちながら働いています。
これらは、「子時計」と呼ばれています。
それぞれの子時計が刻むリズムは、日々の生活で少しずつずれが生じることがありますが、
ばらばらに働く事がないように脳の「視交叉上核」という部分がコントロールしています。
神経細胞の集まりである視交叉上核は間脳の視床下部にあります。
全身の各細胞や各器官に向けて指令を出すことから、
「親時計」や「ボス時計」と呼ばれ、ほぼ1日のリズムである体内時計を刻んで動いています。
様々な時間を持つ子時計と親時計が同調して働いていくことが望ましいのですが、
例えば、就寝時間や食事の時間に乱れが生じると、
それに合わさて胃腸が働く時間やホルモンが分泌される時間も乱れます。
このように不規則な生活を送ると時間遺伝子がばらばらに動き出し、
親時計と子時計が上手に同調できない状態が発生してしまいます。
すると、睡眠のリズムにも支障をきたすことになります。
●体内時計はどうやって24時間を刻むの?
私たちの体内時計は、24~25時間といわれています。
しかし、実際には、現代の不規則な生活習慣や人工照明の影響などにより、
生体リズムは乱れ、その結果、体内時計に個人差が現れ、
23時間周期の人や26時間周期になっている人もいると考えられています。
これによって、決まった時間に深部体温や血圧が上がらなかったり、
集中力が高まらなかったりとさまざまな問題が発生しています。
太陽の光の入らない地下室や時間の手掛かりの全くない部屋で長時間過ごしていると、
ほとんどの人は、寝る時間と起きる時間が日々1時間ほどずれていくことが分かっています。
また、2週間も経つと、昼夜逆転の生活になってしまうことも確認されています。
体内時計の周期を地球の自転と同じ24時間に合わせて生活するためには、
毎日の修正が必要です。
私たちは目の網膜に強い光が入る事によって朝を感じ、
夕方暗くなって、網膜に入ってくる光の量が減る事によって夜を感じます。
それと同時に睡眠をコントロールするホルモンであるメラトニンの分泌量が増減することによって、
覚醒と睡眠を繰り返します。私たちの目の網膜には、錐体と桿体という2つの視覚細胞があり、
それぞれがひかりの明暗・強さ・色などを脳に伝えています。
そして、視覚細胞からの電気情報が視神経を伝わり、
さらには、視神経が交差する上部である視交叉上核まで、情報が伝わります。
このことから、地球の自転に合わせた修正を行うために体内時計が利用しているのが「朝の光」といえます。
目から入った太陽の光は、視交叉上核の時計遺伝子に直接働き掛け、体内時計をリセットするのです。
ほすぴ引用