自民党が、党名変更まで含めて、政権奪回策を練っているという記事がでてました。


読売新聞』20091125

******************************************

政権奪回へ自民が3理念、党名変更も検討課題



自民党の政権構想会議が年内にまとめる政権奪回に向けた基本理念の原案が25日、明らかになった。


政府の市場への過剰介入を避けることなど、三つの目標を掲げたほか、検討課題として党名の変更を挙げた。党所属議員の議論を経て、来年1月24日の党大会での承認を目指している


原案では「国民に『自由民主党』という党名に対する拒否反応がある」と指摘した上で、党名や綱領の変更を検討項目として提案した。党名変更は1993年の細川政権成立で下野した際も議論されたことがあるが、94年に村山政権で与党に復帰したことや、比例選での党名投票で不利になるなどの意見を考慮して、シンボルマークの変更にとどめた経緯がある。


一方、三つの目標として〈1〉資本主義制度を円滑に機能させる〈2〉民主主義を堅持する〈3〉社会の安定を確保する――ことを挙げた。その方策として、経済成長を通じた歳入増による社会保障分野の充実、多様な意見を反映できる選挙制度への改正、地域共同体を利用した国民の「協同連帯」の強化の必要性などを示した。


*****************************************


政権奪回に向けて、真摯に考えるという作業は大いに必要だと思いますし、期待もしているのですが、なんかちょっとずれている感じもします。


上にあがっている三つの目標、どれも期待外れの気がします。いまだに、対立軸を、市場経済か社会主義的経済か、ならびに民主主義かそうではないか、というような冷戦時代の枠組みでとらえていることがうかがえます。


自民党がみずからのアイデンティティを求めるべきは、冷戦時代のように、対・共産主義(大きな政府)ではないでしょう。頭を切り替えて、新しい時代に対応してもらいたいものです。


私見では、やはり、保守政党としての性格を前面にだしてくることだと思います。



(1)安全保障・外交 … 海洋国家(ユーラシア大陸周辺国家) vs 大陸国家(ユーラシア大陸の内陸国家)という軸でとらえ、海洋国家的性格を強く意識する。具体的には、「自由と繁栄の弧」の路線。


(2)経済政策 … 1990年代半ば以降のようなやみくもなグローバル化路線をとらず、経済成長を重視しつつも、なるべく外需、および外国の労働力に依存しない体質を作る。また、人々の勤勉さを促進するような経済(勤勉に働く人が馬鹿を見ない仕組み)をつくる。かつての日本的経営のよき側面(職場における一体感、長期雇用慣行、ライフステージを意識した昇進・給与の体系の堅持など)を再興・発展させる経済編成を目指す。


(3)教育 … 基礎学力の充実、科学技術振興、子供たちに勤勉さの徳を教えることを重視。健全な愛国心・公共心の価値を強調。


(4)福祉、社会保障 … やはり勤勉な人が馬鹿をみないことを中心に据えて。しかし、国力の源泉たる厚い中間層をつくることを目標に公正な再分配の仕組みづくりにも配慮する。


思いつくままに、適当にあげてみました。たぶん、まったくマト外れなところや、相互に両立しないところもあるかもしれません。



ともかく、自民党には、保守政党として、多くの一般国民がそれぞれ自分の持ち場で一生懸命働き、知恵や技術、もちろん富も蓄積し、それらを安心して次世代に伝えていけるような社会づくり・国づくりを目指してほしいなと思います。