「亡くなった義母から
大量の着物を譲り受けたのだけど、

その着物の大半が

義母のおばあちゃんが

義母のために
蚕を育て、その繭から糸を紡ぎ、
機織りして
京都に染めに出し

お着物を仕立てたもので、

義母は
その想いや姿をみているのもあって

それはそれは
大事にしていました。

本当に
着物を愛している
義母でした。」




そう語り出されたりほさん。


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昔はそうやって
お着物を仕立てられる女性は
多かったのだと、
呉服屋さんからお伺いしたことはあるのだけれど、





実際されていた方のお話をこんなカタチで聞けるなんて、
すごい衝撃を受けましたし、

と同時に
どんどん高揚していく自分がいました。



「私はきもののことを何もわからないし、

サイズもね、
私には小さくてあわないのだけれど、

娘のまゆにはね

ちょうどいいの。

でね、

まゆも
着たい

って言ってくれてるの。」






りほさんのお嬢さまの名前が






まゆさん!?





蚕と繭…。









それって!?





お嬢さまが受け継ぐことに
初めから決まってたってこと!!


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「それで、
そのお着物をどうしたらいいのかと思って。」




どうしたらもこうしたらも


わたしには
蚕の流れからの繭と

りほさんのお嬢さまのまゆさん

という名前が
結びつきすぎて、





まゆさんにそのお着物を着せてみたい。

まゆさんは
きっと
何かを感じられるはず。




それのみでした。



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まゆさんにその着物をお着せすることによって、
なんだか
とてつもなくすごいことが待っているような、




もう想像するだけで
ワクワクがとまらなくなったわたしは、




まゆさんの名前の由来をもお伺いしましたところ、





りほさんの直感だったそう。




繋がっている。




受け継がれるべきものは
こうやって
必ず
引き継ぐひとがいる。





なんて
素晴らしいんだろう。


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「まゆがね、
是非着物を着せてほしい!

って!

千恵子さん、
お願いできますか?」








そうして、
日程もスルスルと流れるように決まり、



りほさんの実家に保管しているという
そのお着物と
まゆさん
にお会いすべく、



カーボさんと共に
福岡へ行くことになったのでした。






そして、
高校生であるまゆさんを紹介いただいた時の
わたしの衝撃といったら、



半端ないものでありました。



だって
まさに着物を着るために
生まれてきたような方だったから。




糸を紡ぐかのように、
全てが繋がっているのだと



このあと
私にとって
すごい体験をさせていただくことになるのでした。

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このお話が決まったあと、




蚕を育てて着物をお仕立てすることが、
どんなに大変なことか、




調べてみたんです。


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お着物一反に必要な蚕は

なんと約2800匹ほど。



そのお食事となる桑の葉は

100kg必要とのこと。


繭の出来不出来によっても違うそうなのですが、

ひとつの繭から取れる糸の長さは

1200メートルぐらいだそうです。




「あなたのお命頂戴して

大切に織らせていただきます・・・」

職人さんはそんな思いで織るそうです。



きものも命をいただいている。


新品も古着も

「本物の贅沢」


一反のお着物を仕立て上げるまでに費やす

命と時間がある。


だからこそ、

価値があるのだと。

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