「亡くなった義母から
大量の着物を譲り受けたのだけど、
その着物の大半が
義母のおばあちゃんが
義母のために
蚕を育て、その繭から糸を紡ぎ、
機織りして
京都に染めに出し
お着物を仕立てたもので、
義母は
その想いや姿をみているのもあって
それはそれは
大事にしていました。
本当に
着物を愛している
義母でした。」
そう語り出されたりほさん。
昔はそうやって
お着物を仕立てられる女性は
多かったのだと、
呉服屋さんからお伺いしたことはあるのだけれど、
実際されていた方のお話をこんなカタチで聞けるなんて、
すごい衝撃を受けましたし、
と同時に
どんどん高揚していく自分がいました。
「私はきもののことを何もわからないし、
サイズもね、
私には小さくてあわないのだけれど、
娘のまゆにはね
ちょうどいいの。
でね、
まゆも
着たい
って言ってくれてるの。」
りほさんのお嬢さまの名前が
まゆさん!?
蚕と繭…。
それって!?
お嬢さまが受け継ぐことに
初めから決まってたってこと![!!](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/176.gif)
![!!](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/176.gif)
「それで、
そのお着物をどうしたらいいのかと思って。」
どうしたらもこうしたらも
わたしには
蚕の流れからの繭と
りほさんのお嬢さまのまゆさん
という名前が
結びつきすぎて、
まゆさんにそのお着物を着せてみたい。
まゆさんは
きっと
何かを感じられるはず。
それのみでした。
まゆさんにその着物をお着せすることによって、
なんだか
とてつもなくすごいことが待っているような、
もう想像するだけで
ワクワクがとまらなくなったわたしは、
まゆさんの名前の由来をもお伺いしましたところ、
りほさんの直感だったそう。
繋がっている。
受け継がれるべきものは
こうやって
必ず
引き継ぐひとがいる。
なんて
素晴らしいんだろう。
「まゆがね、
是非着物を着せてほしい!
って!
千恵子さん、
お願いできますか?」
そうして、
日程もスルスルと流れるように決まり、
りほさんの実家に保管しているという
そのお着物と
まゆさん
にお会いすべく、
カーボさんと共に
福岡へ行くことになったのでした。
そして、
高校生であるまゆさんを紹介いただいた時の
わたしの衝撃といったら、
半端ないものでありました。
だって
まさに着物を着るために
生まれてきたような方だったから。
糸を紡ぐかのように、
全てが繋がっているのだと
このあと
私にとって
すごい体験をさせていただくことになるのでした。
このお話が決まったあと、
蚕を育てて着物をお仕立てすることが、
どんなに大変なことか、
調べてみたんです。
お着物一反に必要な蚕は
なんと約2800匹ほど。
そのお食事となる桑の葉は
100kg必要とのこと。
繭の出来不出来によっても違うそうなのですが、
ひとつの繭から取れる糸の長さは
1200メートルぐらいだそうです。
「あなたのお命頂戴して
大切に織らせていただきます・・・」