耐えられない。

どうしてここにいるんだ。

・自問自答を始める。

答えを探し始める。

意味を失くしかけている。

―今に始まった事じゃないだろ。

違う。理由じゃない。必要性なんだ。なぜいなくちゃならないんだ。

―皆それを探してるんだよ。

他人が探してるから、自分も探さなきゃいけないのかい。

―そうした方がいいように出来ているね。

過ちを犯してしまったんだ。

甘かった。

どうにかなると思っていた。

でも、失望させた。これからずっと失望させ続けていく。耐えられないよ。

―罰と思えばいいだろ。それだけの事をしたんだ。思慮が浅かったよ。君のミスだ。

それを受け入れて物事が上向きになるなら喜んで受け入れるよ。

でも、駄目なんだ。誰も喜びはしない。受け入れてくれないんだよ。

勿論僕だって受け入れたくない。

―君は本当に甘いよ。そして限りなく曖昧だ。自分で色を認めているようで、その色は刻一刻と変わってゆく。その事

は君も気付いているだろ?

気付いているよ。

色が変わる。だからなんなんだ。どうしようもないだろ。

―君はその道で生きようと思ったからには色を確かに持たないといけないんだ。

…それと過ちはどう関係があるのさ。

―色が固まれば、君はもう何も恐れないさ。染まらないのだから。

仮にそうだとしても、僕は、自分の色を固めたくなんかない。

一色しかない絵画なんて面白くも何ともないじゃないか。

写実的、幻想的、象徴的、抽象的、それを決めるのは色だろ。

―種類の問題じゃないんだよ。自分しか持ち得ない色を持つんだ。その色がすなわち君と言えるような。

…僕はこれからどうしたらいい?

―するべきことをしなよ。君は知ってることを聞く癖があるね。

……。

―もう、一人で行かなくてはならないんだよ。どうしようもない問題なんて、これから死ぬほど立ち会うことになる。

皆そうなのかい。

―他人は関係ない。

なんだか、とても不公平な気がする。僕だけかい。

―人それぞれだ。不公平なように出来ているんだよ。

…不愉快だ。

・そういい終えると現実が両手を広げて待っていた。

僕はイルカ。

ただ彷徨うんだ。

ここは海なのか、それともそれとは知らずに漂ってるだけのバカでかいプールなのか。

もしくは生簀なのか。

行き着くところを予想して泳いでいる。

けれど、ただ漂ってるんじゃないかって、思うことがあるんだよ。

どうしてだろうね。

僕は水がキライだよ。イルカだけどね。

たまにもがいてももがいても進まない夢を見るよ。

そんな時って大抵イソギンチャクにまみれて目が覚めるんだ。

全くふざけてるよ。この世の中ってのは。

こんちきしょうだ。

僕はそんな世の中を問いただすために、音波を鳴らしてる。

嘘だ。世の中なんて知るか。

僕が鳴らしてるのは、僕がここにいる事を知ってもらいたいからなんだ。

ただ、僕の証明をしたいだけなんだ。

でも、僕の音波は限りなく曖昧ということみたいだ。

音波と認めてくれる仲間もいなくはないよ。

でも、それだけでは意味がないだろ。仲間内で満足するだけなら、なにも神経集中させて音波を飛ばす必要なんてな

いんだから。

僕は、証明をしたいんだ。

いずれはこの音波が、この海全体を振動させるように。

だから色を。

色を持たなければならないんだ。

無色透明な音波なんて聴いたことない。

僕はイルカ。

混迷するイルカ。

ここがどこで僕は誰で何処から来て何処へ行くのかなんて知らない。

知るものか。

証明してやるよ。僕が正しいってことを。