人間は、二種類に分けられる。


メールをすると、すぐに返信する人と


返信しない人(とんでもなく遅く返信する人も含む)


婚活戦士としては、絶対にすぐに返信する人の方が


結婚、恋愛運が良いと、断言する・・・。




これは、私からのメールにすぐ対応した女性婚活戦士と


返信しなかった女性婚活戦士の話である。




私の整体院に、全く紹介もなく広告も見ないで


突然やってきた33歳男性のお客さんがいた。


カナディアングースのダウンとリーバイスのジーンズが


よく似合う、ワイルド系のイケメンだ。


何度か、通ってくれて、話をしているうちに、


独身で、今は彼女がいないという事や、


長年アメリカに住んでいて、最近、日本に帰ってきた事、


祖父が、某有名企業の創業者などという事がわかった。


性格は明るくて話しやすい、アメリカ帰りなのに言葉遣いも丁寧。


仕事も順調で、近い将来、祖父が創業した会社に入る事が決まっている。


誰がみても、ハイスペックの優良物件だ。



アメリカにいた時はアメリカ人の彼女がいたが、帰国時に別れてきたらしい、


私が「うちのお客さんの女性を紹介すると言ったら、会う気ある?」と聞くと


「ぜひ、お願いします。」という。



そうとなれば・・・、


私も、久々に腕がなった・・・。




早速、思いあたった、二人の婚活女性戦士にメールをしてみた。


一人は、某独立行政法人のOL、ショートカットの似合う美人、A子さん(31才)


一人は、某有名服飾ブランドのファッションデザイナー、B美さん(28才)。


二人とも最近まで彼氏がいないことは、確認している。


私は、どちらかというと、A子さんの方を推していた。


アメリカ帰りのワイルド系御曹司イケメンには、知的でクールな美人の方が合うと、


思ったからだ。



メールに、


「こんにちは、お久しぶりです。


体調はいかがですか?


たまには、整体にきて、身体のオーバーホールをしてくださいね。


少し、お話したい事もあります。」


と書き送信した。


二人ともほぼ、同じ内容だ。



すると、B美さんから、


「こんばんは、ご連絡ありがとうございます。」


省略


「誘ってくださったので、整体にお伺いしようと思います。」


省略


「お話ってもしかしたら、彼氏紹介してくれるって話だったりして・・・。(笑)」


省略



というメールがすぐに返ってきた。


内容も、察しがいい、見事に読みが当たっていた。



一方、もう一人のA子さんは何の連絡もない。



そして、2週間がすぎて、


連絡があった、B美さんが整体にやってきた。


この時点では、まだ、私はA子さんの連絡も待っていて、


どちらに紹介するか決めていない状態だ。



「こんにちはー」


いつものように薄笑みをうかべ挨拶した後、


「これ、バレンタインのチョコです、(俺)さん甘いもの好き


って言っていたので、買って来ました。よかったらどーぞ。


いつも、恋愛相談にのってもらったり、占いしてもらってるので、お返しです。」


以前、施術中に「甘党だ」という話をしたらしい。


それを、おぼえていて、バレンタインデーを間近にひかえた、この日に、


義理チョコを買ってきたのだ。



ノンビリした性格で、人の事を気遣うやさしい気持ちがある。


他人の悪口になるような事は、絶対に言わない女性という事は知っていた。



このチョコレートで、決まった。


この話、この婚活女性戦士B美さんに、することにした。



いつものように、施術をはじめると


B  「ところで、話ってなんですか」


私  「あー、そうそう、お勧めの男性がいるんだけど逢ってみます?」


B  「やっぱり当たった。いきなりメールきたから、そうだと思いましたよ。」


私  「メールに書いてあった、読みはビンゴだったんですよ」


B  「どんな人です?」


私  「33歳で、アメリカから最近帰ってきた人で、ガッチリした体格のイケメンだよ」


B  「・・・」


私  「おじいちゃんが、○○っていう会社を創業した人で、もうすぐその会社に入社するんです。」


B  「・・・」


私  「アメリカには、その勉強に行っていたらしい。」


B  「あれ、その会社知ってますよ。ウチの会社と関係あります・・・」


私  「・・・」


B  「確か、ウチの会社に資本が入っていたと思います。」


私  「B美さんの会社の親会社ってこと?」


B  「ちょっとわかりませんが、関連会社なのは間違いないです。」


私  「そこの、創業者の孫ってことになりますね。」


B  「まじですか・・・?」


私  「はい、まじです・・・。」


B  「私なんかで、大丈夫ですかね?」


私  「だい、丈夫ですよー。会うだけ会ってみたら?」


B  「緊張するなー。」


私  「粗相があっても、会社、首になったりはしないでしょ?」


B  「首になったら、(俺さん)責任とってくださいね」


私  「・・・」



後日、


ワイルド系御曹司イケメンに、B美さんの写真を見せると


ワ 「いいですねー。好みかもしれません。」


私 「よかった・・・。ところで、△△って洋服のブランド知ってます?」


ワ 「はい。」


私 「そこの、デザイナーです。」


ワ 「えっ、そうなんですか?じゃあ身内みたいなもんだ」


私 「そうなの?」


ワ 「はい、祖父の会社の繊維部門の関連会社が、扱っている××という会社のブランドです。」


私 「ということは、孫会社の社員ってこと?」


ワ 「資本的には、そうなりますが、グループ関連会社です。」


私 「そんな、会社の社員の女性とお見合いして、大丈夫?」


ワ 「全然大丈夫ですよ。繊維部門は父が担当役員で、関連会社も社長だから、両親もかえって安心だと思います。」


私 「・・・」


ワ 「外国人の彼女がいた時は、かなり心配されました。」(笑)


私 「ちょっと待って・・・、B美さんの会社は、お父さんが、扱っている会社のブランドってこと?」


ワ 「はい」


私 「・・・」



なんか、複雑な関係だが、B美さんにとっては、いい話に違いはない。


自分が勤めている会社の、親会社の社長の息子という事になるから、


うまくいけば、凄いことになりそうだ。



B美さんに、ワイルド系御曹司イケメンに、あなたの写真を見せたら


「会いたいといっている」と伝えると、


やる気マンマンの戦闘モードになったようで、すぐに返事が返ってきた。



省略


「緊張しますが、ガンバリマス・・・。」

省略



本当に大丈夫か、こっちが不安になってきたが、


本人達は、お互いにやる気マンマンなので、会わせる事にした。


私の都合で、お見合いは今月末になったが、今から何がおきるか楽しみだ。





一方、A子さんからは、一向に連絡がない。


A子さんの友達が整体にきたので、それとなく様子を聞くと


彼氏ができた訳でもなく、体調が、すこぶる良い訳でもないらしい。


いつも「疲れた、疲れた」と言っている。


その友達が「整体行けば?」というと


「そーだねー」というだけで、重い腰をあげる様子はないそうだ。


これでは、いくら私が推していても、


「なす術はない。」


本人は全く知らないところで、大チャンスを逃している。


チャンスだった事さえ、知る由もないだろう。




見方を変えると、本人は気が付いていないが


「ものぐさ婚活モンスターにやられている」


「婚活しなきゃ」と思っていても、めんどくさくなって


動けなくなってしまっているのである。


「そのうち、ステキな彼が現れるだろうー。」


と自分勝手な想念が沸くように


「ものぐさ婚活モンスター」に想念を操られているのである。


年齢が若ければ、それでもいいのだが、


いくら美人でも31歳で、これは結構厄介だ。


私には、「疲れた、疲れた」というセリフが、


「(ものぐさ婚活モンスターに)憑かれた、憑かれた」と言っているようにしか思えない。




そもそも、性格も素直で美人なのに、結婚できないのは


この、婚活モンスターにやられているからで、十中八九間違いはない。


本人が、少しでも「おかしい」と思い


相談に来てくれれば、ハッキリと指摘してあげる事は


私にとって、容易いことなのに、


いつになることやら・・・。


気長に待つしか方法は、なさそうである・・・。





連絡がきたから、すぐに返信しただけで、


おおきなチャンスを掴もうとしている婚活戦士と


連絡がきても、全く無視した婚活戦士・・・。




運命の分かれ道は、たった一通の短いメールだけである・・・。



婚活をしている婚活戦士達が、結婚相手として異性を見るとき、


実にさまざまな、見方が存在する。


人、それぞれに自分のフィルターを持っていて、


そのフィルター越しに、良い、悪い、や、好き、嫌い。


好み、好みではない。などを決定している。


しかも、そのフィルターは、白黒はっきり、つかない場合も


グレーゾーンとして濃いグレー、薄いグレーとして認識する事ができる。


また、その機能は一定ではなく、次々に


その時、その状況で変化している。


そのため、嫌いが好きに変化したり、好きが嫌いに


なったりする事も、日常茶飯事の出来事である。



もし、自分で判断していると思っている、そのフィルター自体のデータが、


婚活モンスターによって操作されているものだとしたら・・・。



フィルターのデータにほんの少し細工をして、「最悪の縁(えにし)の人」を


「好きなタイプの人」と勘違いをさせているとしたら・・・。



自分がタイプと思っていた異性は、婚活モンスターが


自分に幸せな結婚をさせないために、仕組んだ作戦で


そう思っているだけなのかもしれない・・・。



自分の頭にある、異性を見分けるフィルターのデータは信用できないもの


なのかもしれない・・・。




こんな話があった・・・。




その、女性婚活戦士は、ダメな男と付き合ってしまう。


外見も、性格も他人からみると、良いとはいえないような


男ばかりと、縁がある。


そして、好きになってしまう。


その後は、


自分から告白する→付き合う→ヒドイ事を言われたり、


されたりする→振り回される→つらい思いをしても我慢する→捨てられる。


この不幸スパイラルを、何度も繰り返している。




整体のお客さんで、その女性婚活戦士の友人から、


相談にのってあげて欲しいと依頼され、


ある日、その女性戦士はうちの店にやってきた。


年齢は31歳、容姿は悪くない、線の細い感じの美人だ。


服装も女性らしくセンスのいい、通勤ファッション。



施術をしながら、話を聞くと。


私 「交際相手の事で、相談があるって聞きましたけど。」


女 「いや、特に相談があるっていう訳ではないんですけど。」


私 「彼氏にひどい目にあってるって聞きましたが?」


女 「いまは、別れちゃったので、もう彼氏じゃないけど・・・」


私 「どんな事されてたんです?」


女 「お金貸して、返してくれなかったり・・・」


私 「・・・」


女 「夜中に、今から家に来いって、呼び出されたり・・・」


私 「暴力されたり?」


女 「それは、ケンカになった時にちょっとあります。」


私 「それで、友達が心配してるんでしょ?」


女 「あー、それは、ケンカが朝まで続いて、泣いちゃって、会社、遅れた時に同僚に迷惑かけました。」


私 「彼氏にひどいこと、されてるって言ってたよ、大丈夫なの?」


女 「ひどいかもしれないけど、好きでつきあってるなら、当然だと思うんですけど・・」


私 「状況によると思うよ・・・。」


女 「好きなら、許せるっていうか。」


私 「へー、でも、別れたんでしょ?」


女 「はい。」


私 「じゃあ、もう大丈夫なのね・・・。」


女 「はい、でも、いま気になってる人がいて・・・。」


私 「また、へんな男じゃないでしょうね。」


女 「見た目は変かもしれない。」


私 「どういう風に?」


女 「私、いかにもイケメンって感じの人は苦手なんで・・・、」


私 「・・・」


女 「バンドのドラムやってる人です。」


私 「へー、有名バンド?」


女 「もうすぐ、メジャーデビューするらしいんですけど、まだ、無名です。」


私 「へー・・・。」


女 「一度、知人の紹介で食事しました。」


私 「つきあいそうなの?」


女 「まだ、わからないけど、付き合えたらいいなーって思ってます。」


私 「また、金かしてくれとか言うんじゃないの?」


女 「それは、言われてないけど、その時の食事代は私が払いました。」


私 「えっ・・・。」


女 「その時は、お金なかったらしくて・・・」


私 「それって、(その人)大丈夫なの?」


女 「食事も、私が、誘ったようなもんだから・・・」


私 「・・・」


女 「私が、払うのあたりまえですよね?」


私 「彼、何歳?」


女 「36歳です。」


私 「うーん、年上か~・・・。」


女 「・・・」



本人は、いたって普通で、おかしいとは思っていなかったが、


結構ガッツリ、婚活モンスターにやられてる。


しかも、ご丁寧に、不幸な恋愛計画も準備してある・・・。


次の恋愛も、不幸な感じが満載である・・・。




本人が、それで幸せなら、他人がとやかく言う必要はない。


本人が希望していないので、アドバイスする必要も、占いする必要もないだろう。


例え、何かアドバイス的な話をしても、聞く耳はないだろう。



いろいろ、考えた末、身体の調整をしながら、


こういう話をした・・・。




私 「いまの、自分からステップアップってしたくないですか?」


女 「えっ。」


私 「(女性戦士さん)が、彼氏に尽くすのが好きなのは、わかりましたけど」


女 「・・・」


私 「そればっかりじゃなくって、もっと、いろいろなもの、見たり聞いたり行ったりして、」


女 「・・・」


私 「楽しんだり、感動したりすると、考え方がかわり、もっと、やりたい事とかも発見できて、」


女 「・・・」


私 「結果、視野が広がり、ステップアップできるって、」


女 「・・・」


私 「以前、先輩の有名占い師が、お客さんにアドバイスしてました。」


女 「たしかに、あんまり、なんか見て感動したりって、最近ないですね。」


私 「世界最高峰の、芸術にふれると、いいらしいですよ。」


女 「芸術ですか?」


私 「絵とか、書とか、音楽とかで、好きなのあります?」


女 「音楽がすきだから、バンドの彼、いいかなーと思ってます。」


私 「彼の音楽って、世界最高峰の音楽なんですか?」


女 「いえ、全然、そこまでは・・・」


私 「世界最高峰のなんか、探しといてくださいね。」


女 「・・・そういえば、友達に京都旅行に誘われてて、」


私 「・・・」


女 「その時、オペラ見ない?って言われてました。」


私 「オペラって世界最高なの。」


女 「はい、世界最高の音楽芸術って言われています。」


私 「詳しいですね・・・。」


女 「以前、好きで何度か見に行ってました。」


私 「いいじゃないですか、それ、行ってきてください・・・。」


女 「お金が高いから、断ろうと思っているんですが・・・」


私 「男に貢(みつぐ)より、いい使い方だと思いますよ。」


女 「・・・」




そのときの話はここまでだった。


無理にすすめる訳ではなく、世間話風にいったつもりだ。


本人が、希望してないのに、変なアドバイスをするのは良くない。


しかし、婚活モンスターの存在が見え隠れしているのに、


放って置く事はできない。




話した事は信憑性のある事だった。


俺調べなので、信用するかしないかは、自由なのだが、


「世界最高峰の芸術に触れると、その後、スペックの高い異性と


交際する機会が増える」ようなのだ。


触れ方も、濃ければ濃いほどいいし、


場所も遠ければ遠い程、わざわざ感がいいようだ。


まだ、研究中なので、詳しい理由などはわかっていないが、結構面白い内容だ。


それを、この女性戦士に使ってみた。




数ヶ月後、結果は思いもよらないものだった。


女性婚活戦士を紹介してくれた、私のお客さんが、お店にきて話してくれた。



客 「(俺さん)知ってます?(女性戦士ちゃん)凄いかっこいい彼できたんですよ。」


私 「バンドの彼でしょ?」


客 「いえ、ゼネコンの開発?やってる人です、」


私 「えっ、知らない。」


客 「皆で飲み会してる時に、『新しい彼氏できた』っていうから」


客 「皆、『また、どうせダメンズでしょ』って思ってたんですよ。」


客 「でも今度は、違うって言って、のろけた事、言い出してたんで、」


客 「めんどくさいから、『じゃあ、いま、呼んでみなさいよ』っていったら」


客 「彼女がメールして『友達が信じてくれなーい』っていったら、」


客 「来たんですよ、背が高くてイケメンがスーツ姿で・・・。」


客 「みんなびっくりで、しかも、その彼、残業中だったみたいで、」


客 「挨拶して、一杯飲んで仕事に戻って行きました。」


客 「カッコ良すぎるでしょ。」


客 「(女性戦士ちゃん)もともと、かわいいから当たり前なんだけど、今までがひどかったから」


客 「みんなで、『良かったねー』と言って祝杯あげました。」


客 「それで、馴れ初めとか聞いてたら、(俺さん)にアドバイスもらったって言うんで、」


客 「みんな、『整体行く・・・』って、私も、私もって、なっちゃってますよ・・。」


私 「・・・」




アドバイスが効いたって事は、最高芸術のオペラに行ったようだ。


オペラに行けば、誰でも、彼氏ができるとは思わないが、


新しい彼ができて、その彼が、お客さんが驚くほどイケメンで、


女性戦士のために、仕事途中で、きてくれるような優しい彼なら、


女性戦士のフィルターのデータは最高芸術によって更新された。


彼女には、この作戦が成功したようだ。


本人から、確認は取れていないので、確定はできないが、


婚活モンスターの不幸スパイラルからも脱出できているかもしれない。




これは、嬉しい報告だ。


今度あったら、女性戦士には、惜しみない拍手を送りたい。




そして、また、俺調べのいいデータが一つふえる事だろう・・・。



待ちにまった時がきて、


待ちにまった時がきた、


今日は、役目が終わる、幸せの日。




あなたを守るのは、


三百年前からの約束、前世の約束、


やさしい、あなたを守るためならば、


私は、魔女に魂を売り、


大きく、硬く、冷たい、壁になる。


それが、私の運命、私の祈り。




やっとたどり着いた、歴戦の勇者たちも、


大きすぎる、硬すぎる、冷たすぎると


肩を落として帰っていった。


そのわけも、すぐにわかる。


「あなたは、心が鉛色・・・。」


何度、この言葉を発しただろうか?



長い間待ちに待った日が、やってきた、


その戦士は、銃ではなく、剣ではなく、矢でもでもない。


花を持ってやってきた。


知恵をもってやってきた。


綺麗な心をもってやってきた。





いるのかどうかもわからなかった。


来るのかどうかもわからなかった。


三百年間、待ちに待った人、


約束の人。




もう、心配はなにもない、


今日、役目が終わる、幸せの日。




これからは、二人の再会を伝説として語っていこう・・・。


これからは、微笑んで、二人とすごしていこう・・・。


これからは、母として、二人を見守っていこう・・・。



婚活モンスターとの激しい戦いに、やっとの思いで勝ち、


彼氏や彼女ができても、


それは、ゴールではなく、ただの一回戦目を勝ったに過ぎない。


これから、まだまだ、長い戦いが待っている事を忘れている


婚活戦士達が多すぎる。


結婚を目標とした婚活戦士達は、


恋愛をいつまでも楽しんでる場合ではないのである。


順調な交際に、めどが立つと


次の戦いが始まる、両親という大きな壁の存在だ。



これは、この大きな壁と婚活モンスターの妨害に立ち向かった、


一人の女性婚活戦士の話である。




ゴールデンウィークを目前にひかえたある日、


その女性婚活戦士は、私の店にやってきた。


挨拶をする表情は、相変わらず、やさしく、穏やかな笑顔だ。


色白で華奢な身体つきだが、若々しく健康的なオーラを出している。


私の店には、何度となく通っているので、来院後の手順も


慣れたものである。


前年の年末に、私がセッティングしたお見合いフィールドで、


見事に、婚活モンスターをなぎ倒し、ハイスペックの彼氏をゲットした。


歴戦の女性婚活勇者だ。


1ヶ月前に、交際の順調をメールで報告されたいたので、


特に問題なく、施術目的で来たのだろうと、思っていた。


しかし、施術を始めると、少し声のトーンを下げて


こんな事を話しはじめた。




女 「じつは、彼のお母さんに嫌われたかもしれません。」


私 「えっ、なんで?」


女 「先週、彼の家に行って、彼のお母さんと食事をしました。」


私 「・・・」


女 「その日、私、急に生理になってしまって、緊張と、腹痛で、全然話せないし・・・。」


私 「・・・」


女 「お母さんの食事も殆ど食べられませんでした・・・。」




その話を聞いた時、「あっ、これは婚活モンスターにやられたな」と思った。


普段は、姿を現すことなく、ひっそり様子を伺い、


一番大事なときに、突然やってきて、邪魔をする。


いつもの、イヤらしいやり方だ・・・。


この女性戦士の場合は、彼氏の親に初めて会うという、重要な局面を狙われた。




私 「それで、お母さんに何か言われたの?」


女 「いえ、特に何か言われた訳ではないんですが・・・」


私 「・・・」


女 「はじめは、機嫌が良かったのに、段々、しゃべらなくなってしまいました。」


私 「何んで行ったの?」


女 「彼氏が、お母さんが「彼女に合わせろ」って言ってるから、そろそろ挨拶する?」


私 「・・・」


女 「みたいな、感じだったんで、行ったら、おかあさんが凄い料理を作っていて・・・。」


私 「やる気マンマンで待っていたんだ。」


女 「はい、そうだと思います。」


私 「でも来たら、しゃべらないし、食べない。」


女 「はい。」


私 「・・・」




私は、彼氏を十年近く前から知っている、


イケメンで、今では、かなり人気に職種についている、


社会的にはエリートと言ってもいい。


彼氏のお母さんも、私のお客さんなので、よく知ってる。


元気でよく喋る、明るいオバちゃんである。


たしかに、あの、お母さんが黙るという事は、なにかある。



彼氏が高校生の時に、父親は亡くなっている、兄妹は妹がいるが


関西に嫁いでいるので、母親と彼氏の二人暮らしが長い、


優秀な息子に彼女ができた、それが私の紹介という事も知っているだろう。


期待して、「会わせろ」と言った。


それなのに、来た女が、無愛想で喋らない、食わない。


これで、へそを曲げたという訳だ。


せっかく、交際が順調だっただけに、もったいない・・・。




女 「帰り際に、「(女性戦士)さん、お口が綺麗なのね。」って言われました。」


私 「・・・」




これは、ダメだ。完全に皮肉いわれた。


女性婚活戦士としては、結婚という勝利に向かって


一番乗り越えなくてはいけない壁が、相当高く、厚く、冷たくなってしまった。


これを、避けて通ると、後々、厄介な事になる、


ひどい場合は、一生面倒な事になる。


しっかりと、乗り越えるしかないのである。




私 「それで、どの位いたの?」


女 「多分、1時間半くらいです。」


私 「夜?」


女 「はい。」


私 「・・・」




一時間半くらいでは、調子が良くても、女性戦士のいい所は


あまりアピールできなかっただろう。


女性戦士は、おとなしく余り口数は多くないが、


人の内面を見て、いつも心配しているような、優しい気持ちの女性である。


初対面で、いきなりお母さんと意気投合して気に入ってもらえる


ような人ではない。


そこは、彼氏もよくわかっていると思うが・・・。




私 「で、彼は、なんと言っているの?」


女 「その後『お母さん、怒ってなかった?』って聞いたら、」


私 「・・・」


女 「『その事(女性戦士の事)は話てないけど、大丈夫、全然怒ってないよー。』といっていました。」


私 「・・・?!」




ダメである。


今回は、このエリート男は全く役にたたない・・・。


彼女を初めて紹介した後、そのことを話さないだけで、


もう、まずい状態なのだが・・・、


こいつ、わかってない・・・。


どう、という事のない話のように思うが、あのお母さんに、この男、それにこの女性戦士


だけに、この話は、結構なピンチなのだ。




その後は、施術しながら色々考えた・・・。




乗りかかった船だけに、ほったらかす訳にも行かなかった。


そして、カレンダーを見てある事を思い出した。


また、施術後に、お母さんの施術カードも必死に探した。




・・・ビンゴだった。




彼女には、まだ、挽回のチャンスが残されていた。


それは、母の日とお母さんの誕生日である・・・。


まじかに迫った、ゴールデンウィーク・・・、という事は


母の日はすぐにやってくる。


そして、施術カードを見て、調べたら、お母さんの誕生日は6月初旬だった。


そこで、こうアドバイスした。



私 「彼の事は好きなんだよね?」


女 「はい」


私 「結婚したいと思ってんの?」


女 「まだ、はっきりとはわからないけど・・・、なんとなくは・・・、ハイ。」


私 「でも、お母さんに嫌われると、面倒だよね。」


女 「はい」


私 「挽回する気ある?」


女 「はい、できるんですか?」


私 「しないとマズくない?」


女 「マズいと思ってるから来ました。」


私 「じゃあ、ひとつ、いい作戦教えてあげます。」


女 「・・・」


私 「いままで、付き合った人のお母さんに、母の日のプレゼント送った事あります?」


女 「いえ」


私 「もうすぐ、母の日じゃないですか?」


女 「はい」


私 「そこで、彼の母親に、何かプレゼント贈ってください。」


女 「彼の、お母さんにですか?」


私 「そう、できれば、高価なものじゃなくて、カーネーションとかの、定番コテコテのやつ。」


女 「会えるかなー」


私 「会わなくてもいいから、彼に『私から・・・』って言ってもらって、お母さんに渡してもらって。」


女 「それなら、わかりました。やってみます。」


私 「はい、やってみてください」


女 「でも、そんなご機嫌取りみたいな事、大丈夫ですか?」


私 「だめでも、嫌われてるなら、今よりは、マシでしょ・・・。」


女 「・・・」



とは言ったが、全然大丈夫なのだ。


私には、絶対成功する確信があった。


多分、あのズボラな息子の事である、母の日にカーネーションなんか


送った事はない筈。


特に、同居の母親に花を渡すなんて、恥ずかしいと思っているに違いない・・・。



お母さんにとっては、息子の彼女が母に日に花を贈ってくれたことは、


衝撃的な出来事になるはずである。


あの、お母さんの事である、本当は、かわいい息子が連れてきた彼女を


自慢したくて仕方がないのだが、しかし、連れてきた女が無愛想では


自慢したくてもできない、それで、へそを曲げたのである。


こんな事があれば、絶対、友人知人に話す、良いネタになる、


そして息子が良い彼女を連れてきた、息子の目に狂いはない、


それは、さりげない形の自慢話となり、多くの人が聞くことになるのである・・・。




・・・約一ヶ月後、結果は大成功だった事を知った。




全ての作戦が終わった、六月中旬に彼氏が、私の店にやってきて


詳細に、あった事を話してくれた。




その日は、休日なので、女性戦士と会った・・・。


その時、「お母さんにカーネーションを送りたい」というので、


「じゃあ、自分で渡したらいい」と、自宅に二人で行った・・・。


すると、母親は留守で、連絡も取れない・・・。


しばらく待ったが帰ってこない、仕方なく彼に花を託し、彼女が帰ろうとしたが、


花を入れる花瓶がないことに気がついた・・・。


仏壇で使っているのを、「空けて使う」という、彼を止めた・・・。


困った女性戦士は、ゴミ箱に捨ててあった、ウエットティッシュの空箱を発見した・・・。


プラスチック製で、円柱なので、「花瓶に代用できる」といい、上蓋を外し、


綺麗に洗い、自分の持っていた、ハンカチを円柱の空箱の外側に包むようにして、


自分の持っていた、シュシュで、口の部分を止めた・・・。


そして、水を張って、オシャレな花瓶を作り、そこにカーネーションを差したそうだ・・・。




見事な戦いぶりに、話を聞いてる、私も驚いた・・・・。




彼女は帰り・・・、



その後、帰ってきた、母親は、彼女が花を贈ってくれたことと、


ゴミで綺麗な花瓶の代用品を作った事に大変感激して、


「機転の利く娘だねー」と連発してたそうだ。




そして、更に、女性戦士は、六月初旬の、お母さんの誕生日には、


綺麗で可愛らしい、クリスタルの花瓶を送ったそうだ。

 

これを、彼氏から聞いた時、


私は素晴らしい戦いぶりに、拍手を送りた気分だった・・・。




そして、彼氏が私のお店を訪れた、数日後、


なんと、彼のお母さんも、施術を受けにやってきた。




そして・・・、


私に・・・、


「(俺さん)聞いてくださいよ、ウチの息子が彼女を連れてきて・・・、」


省略


「ゴミをかわいい花瓶に・・・、」


省略


「本当に、機転の利く娘でしょー・・・。」


省略


「誕生日にはね、綺麗な花瓶をー・・・。」


省略





・・・施術しながら、一時間タップリ聞かされた。


その話方からすると、相当な人数に話してるに違いない。


私も、自慢話を聞かされる、ターゲットの一人だったようだ・・・。





そして、女性婚活戦士が、見事に大きな壁を崩し、


また、目標に一歩、歩みを進めた事は、間違いなかった・・・。



婚活中の人は、交際している、彼氏、彼女がいても、


平気で婚活パーティーに行ったり、婚活サイトに登録したり、


結婚相談所に登録したりして、より結婚の条件の良い異性を


探すのが、今はでは当たり前になってるらしい。



そんな、「婚活」の訳のわからないルールに、


翻弄された女性婚活戦士の話である。




その女性戦士が私の店にきたのは、


ある月末の日曜日、夕方の事だった。


その女性戦士が、これから修羅場を迎えよとする直前の、


最悪な時だった。


知人の紹介で私の店にきた女性戦士は、背が低く、ぽっちゃり体系で


髪は黒髪で肩までかかている、長いフレアスカートに白い靴下、


白のブラウス、赤系のカーディガン姿で、バックは斜めに掛けていた。


ほぼノーメイクで丸顔、可愛らしい感じだが美人ではない。



名刺を渡し、お客様カードに必要事項を記入してもらうと、


いきなり「あのー、占いしてくださるって聞いてきたんですけど、大丈夫ですか?」


と言いだした。




私、某占協会から姓名判断と手相の認定は受けているので、


できない事はないし、婚活戦士達に、占いでも恋愛相談にのっているが、


現在はプロとして、やっている訳ではない。


初めて整体の予約をしてきた人から、占ってほしいと、いきなり言われた事は


初めてである。


占いして、恋愛相談のって金を取る気もサラサラないので、


希望通り、占いしてあげる事はできるが、


この日は、月末の支払いが急を要している時だったので、


正直言うと、売上が1円でも欲しいところだ。


占いだけして、大事な営業時間の1コマつぶし、売上0円はかなり痛い。


悩んだあげく、


「整体はやらなくていいんですか?」と聞くと


「(整体)やりながら、(占い)できるんですか?」と聞いてきた。




・・・実は、これができるのである。




頭と口は占い、手は整体といったように別々に動かす。


もちろん、名前の画数計算が必要な難しい事は無理だが、


名前を「音」で占う方法があり、それで、男女の相性を


占うの事ができるのだ。


整体も、どこかが凄く痛むとか、ものすごく調子悪い場合は、


無理なのだが、全体的なほぐしとか、簡単な調整はできる。


私の、この特技を知っている人は、殆どいないが、


知ってる人は、施術にくると、必ず、


「私と(やまだたろうさん)って、相性どおですか?」と聞いてくるので


わずか数十秒後に、


「あー、相性はいいけど、彼の性格が・・・。」などと答えると


「凄い~、なんでわかるの~。」というリアクションに殆どの人がなる。


しかも、手は背中や肩をほぐしたり、伸ばしたりしていて、


お客さんは、うつ伏せで寝ている状態である。




以外と、これで「あーだ、こーだ」と相談にのるのは、


結構、楽しい・・・。





「体調悪いところは、ありますか?」とたずねると


「いろいろ、こっていますが、特にはありません」という事なので


「じゃあ、できますよ」というと


驚きを隠せない様子だったが、「それで、お願いします。」といわれ


気軽な気持ちで引き受けた、施術しながらの占いが始まった。




まず、首をほぐしながら、


私「何が知りたいんです?」と聞くと


女 「実は、彼氏の事なんですが、別れるかもしれません。」


私 「へー、そうなんですか?理由は?」


女 「私が、バカだから、彼に怒られちゃって・・・。」


私 「浮気したんですか?」


女 「いえ。」


私 「じゃあ、どんなバカやったんですか?」


女 「友達が、『一人で婚活パーティに行くのが心細いから一緒に行って』っていうので行きました。」


私 「・・・」


女 「そしたら、そこに、たまたま彼氏の友達もきていたらしく」


私 「・・・」


女 「後から、彼氏に『お前、婚活パーティにいっただろ俺の友達から、メールきたぞ!!』といわれ」


私 「・・・」


女 「『俺に恥かかせやがって』と、激怒され、別れ話になりました。」


私 「えっ、それってちゃんと説明すれば、わかってくれるんじゃないの?」


女 「説明しました。私の友達も一緒に謝ってくれました。」


私 「・・・」


女 「でも、ダメでした。」


私 「随分、厳しい彼氏ですね?」


女 「今回が、初めてじゃなく、実は、婚活サイトにも友だちに誘われ登録してました。」


私 「それも、ばれたの?」


女 「はい。」


私 「なんで、ばれたの?」


女 「彼氏と一緒にいるとき、婚活サイトから新着メッセージがきて、見られました。」


私 「スマホ、チェック?」


女 「いえ、偶然、机に置いといたときに鳴って、画面にメッセージが出てしまいました。」


私 「なんか、運悪いね。」


女 「はい、だから、私の運勢とか彼との相性みてもらいたいんです。」


私 「見るのはいいけど、なんで、いちいち友達の誘いにのるの?」


女 「友達一人じゃあ寂しいだろうなーって思ってしまって。」


私 「のったんだ.。」


女 「はい、それに、『婚活やってるんなら、少しでも可能性を広げた方がいいよ』って言われて・・・」


私 「彼氏に悪いとか思わないの?」


女 「みんなもっと色々やてるから、私もやった方がいいかな、って思いまして・・・」


私 「・・・」


女 「彼も、合コンとかしょっちゅう行ってるし・・・」


私 「結婚はする気ないの?」


女 「結婚はしたいんですが、今の彼とするかどうかは決めていません。」


私 「・・・」


女 「彼も私と結婚する気があるのか、ないのかハッキリしなかったし。」


私 「でも、そろそろ考えないといけない年齢じゃないの?」


女 「はい」


私 「じゃあ、わかる事は、いま占うけど、彼の名前と生年月日は後で書いて、次回までに見ておくから。」


女 「えっ、いまわからないんですか?」


私 「細かいところまでは、無理だよ。」


女 「えっ、今は何がわかるんですか?」


私 「彼氏との名前での相性とかはわかるけど、詳しい関係性とか、今後の事とかは無理かな。」


女 「それだけでもいいから、早く知りたいんです。」


私 「なんで、そんなに急いでいるの?」


女 「これから彼の部屋に置いてある荷物を取りに行って、話もする事になっています。」


私 「えっ、これから?」


女 「はい、この後すぐ・・・」


私 「・・・」


女 「その時、『やり直してください』というか、そのまま『さようなら』いうか決めたいんです。」


私 「えっ、占いで?」


女 「はい。」


私 「自分で、決めないの?」


女 「もう彼とは、どっちでもよくなっちゃてるんです。」


私 「随分、大事な局面、初対面の人に託すね・・・。」


女 「はい、」


私 「じゃあ、(俺が)『別れろ』って言ったら別れて、『続けろ』って言ったら、『もう一度やり直したい』って言うの?」


女 「はい、そこは、決めてます、これも婚活ですから・・・。」


私 「えっ?それ、婚活なの?」


女 「はい、だって占いで相手を決める、婚活パーティーだってあるくらいだから・・・。」


私 「・・・」


女 「占いで別れるか、続けるか、決めてもいいと思います・・・。」


私 「へーそーなんだ。なんか、色々間違ってると思うけど、まあいいや・・・。」



かなり、面倒くさい感じがしたが、


女性戦士にとって大事な局面という事は間違いなさそうだ。


その後、きっちり施術しながら占いをして、ある方向性を伝えた。




彼氏と女性戦士の相性が、すごく悪い事は、すぐわかったし、


どうしたら、交際が続くか、別れた場合、どうしたら今後の恋愛が上手くいくかも大体わかった。


すると、女性戦士は「ありがとうございます。これで吹っ切れました。」


といって、店を後にし、この恋愛の最大決戦の場に向かった・・・。



もちろん、きっちりと施術代だけはもらった。




その日の夜に、メールで、


省略


「(俺さんの)おかげで、無事別れることができました。」


省略


「思ったより、すっきりお別れの挨拶が言えて、自分でもびっくりしました。」


省略


「これで、友達と一緒に婚活パーティ楽しめます。」




やっぱり、この人なんか間違えてる・・・。


これも、婚活モンスターのせいなのか、本人の問題なのかは謎である・・・。



方向性を誤っている事は間違いないが、


でも、こういうちょっとユルイ感じで、


明るく、軽く、温かい、想念をもってる人が、婚活に挑む方が、


悲壮感漂う、婚活をしている人より、


意外とモテるし、大物をゲットしたりするのも事実である・・・。




それにしても、こういう相談事は月初に、お願いしたいものだ・・・。