漢文では「如何(いかん)」と「何如(いかん)」は用法が異なる。前者は手段・方法についての疑問であり、後者は状態についての疑問である。(現代語の)国語辞典を調べてみると「如何」(いか)の語順で案外多くの言葉が残っていることに気づく。

 現代語では普通「イカサマ」と書くインチキの意味の言葉は「如何様」である。一般人が食べないようなものを食べるのが「如何物食い」であり、そういうことをする人は「如何わしい」のであって、「如何んせん」と思い、「如何よう」にもしてやろうと思うのだけれども、実際には「如何とも」し難かったりするのである。「如何に」ひどいことをしても「如何なる」星のもとに生まれたのか「如何にしても」処罰をすり抜けてしまうのである。「如何にも」そういう人がいると納得されても困るのだ。取り締まる側は「如何ばかり」苦慮しているだろう。そして身を粉にして働いても「如何ほど」の給料にもならないのである。