脳の可塑性を促す方法として『課題志向型アプローチ』とは、が注目されている。これは、患者さんに単なる運動トレーニングを行わせるだけでなく、患者さんに多くの課題を含む積極的な訓練プログラムを行ってもらう方法だと言います。
この考え方に沿ったものとして、顔を洗ったりあるいは歯を磨いたりといった日常生活動作で積極的に麻痺側を用いるよう患者さんに促すことである。ある病院では病棟の廊下にも平行棒を置き、ベッドサイドではなくトイレまでは自分の足で歩いてもらうようにすることなどで効果が出ていると言います。
私が病院でリハビリに集中していたころは『課題志向型アプローチ』という言葉は聞かなかったし知らなかった。しかし、回復のためには発病前の動作を真似ることが重要であると考えていたから、患者は動けない人以外は全員が洗面所で歯磨き・洗面をした。何とか歩行が可能になると手すりを掴んでもトイレに行っていた。
私が思う『課題志向型アプローチ』とは、もっと大きな課題に挑戦することで麻痺回復を期待することだと考える。ピアニストにはピアノの前に座らせて手を鍵盤に乗せることで昔を思い出させ、イメージングも併用して指の動きを回復させることなのです。ピアノではなく、パソコンのキーボードでも同じと思うし他の楽器でも可能だろう。
杏林大学医学部付属病院 リハビリテーション室 門馬 博(モンマ ヒロシ)さんのレポートがあります。
【脳卒中片麻痺患者の効果的な運動学習方略を探る】
http://www.htc.nagoya-u.ac.jp/~yamamoto/jmls/seminar/jmls06/monma.html
※一部を抜粋します。
【課題志向型アプローチ】
課題指向型アプローチとは,問題解決を基盤とする介入理論であり,主体と環境,そして両者の間を有機的に結びつける課題から構成される.すなわち,患者の状態を理解した上で最適な課題の内容(感覚,運動,空間,対象物,強度,頻度など)をセラピストが設定し,患者はその課題の問題解決を通じて合目的的な脳機能の再構築を促すというものである.