次の日の昼休み


「おい、谷口、俺メロンパンな!」


「俺はソーセージパンな!」


「う、うん・・」


いつもと同じ昼休みの光景だが今日は違った。


「2人とも谷口君が、可愛そうじゃない?」


突然香織ちゃんが、僕と2人の間に割って入った。


すかさず2人が面白がるように香織ちゃんをからかう


「香織ちゃん谷口くんをかばうんだー」


「どういう関係なのかなー?」


僕は、何も言うことができなかった、何と言えばいいかわからなかった。


そして2人は、さらに香織ちゃんをからかい続けた


「香織ちゃんってもしかして谷口と付き合ってんの?」


「もう突き合ったりもしたりしてな、ハッハッハ」


2人にからかわれて、香織ちゃんの顔は赤くなり今にも泣き出しそうだった。


「や、止めろよ」


僕は、とっさに口に出してしまった言葉に後悔したが


後には引き下がれなかった。


「おい、谷口もう1度言って見ろよ」


「聞こえねぇなぁ」


僕は、全力で叫んだ


「止めろ!!」


すると突然僕の相棒の如意棒が輝きだした


「お、、おいやばくないか?」


「な、なにをするんだ?谷口?」


僕は、巨大化した輝くブツを持ちながら冷酷に呟いた


「香織ちゃんを、香織ちゃんをいじめるやつは僕が突き殺す!」


「ひ、ひぃ・・」


2人は尻餅を付きその場で震えだした。


「止めて!」


香織ちゃんは、びっくりした表情でそう言った。


「ごめん・・」


僕のムスコさんは、萎れてフニャフニャになった。


「もう十分よ・・」


香織ちゃんは泣き出してしまった。


「僕はそんなつもりじゃ・・」


何を言っていいかわからず、その場で立ち尽くした。


その間に震えていた2人は走り去っていた。


「帰ろう・・」


「くすん・・んっ・・うん・・」


僕は香織ちゃんの手を引いてクラスを出た。



勉強もダメ、スポーツもダメ


顔はかっこ悪いし


何をやっても冴えない僕だけど・・


僕だって、僕だって・・


誰にも負けないモノがあるんだ!




「おーい 谷口ー焼きそばパン買ってきて」


「あ、谷口俺はジャムパンな」


「は、はい・・」


昼休みになると僕はいつもこの2人にパシられる


嫌だと思いながらも断ることができない



2人から頼まれた物をすぐメモして


いつものように4階の教室から1階の売店まで走った




「えっと、ジャムパンと、焼きそばパンと・・」


さっき走り書きしたメモを見ながらパンを


選びとっていると、後ろから声をかけられた


「谷口君そんなに食べるの?」


僕の大好きな香織ちゃんだ!


「う、うん そうだよ・・」


「うそー、またパシられたんでしょ?」


「う、うん・・」


「ちゃんと嫌な事は断らなきゃ、ね?」


「う、うん・・そうする・・」


「うん!じゃ、またね。」


そういうと香織ちゃんは、数人の女子達と階段を上っていった。


お腹がとてもすいていたので、


お腹と背中がくっつきそうだったのに


香織ちゃんの優しい言葉を聞いて


ムスコとお腹までもがくっつきそうになった。


「ムスコさん・・お前はいいな・・そうやっていつも自分に正直で・・」


僕はズボンを上に持ち上げる親友のムスコさんにそうつぶやいた




それからパンを買っていそいで教室に戻った。


「遅いぞ谷口!」


「売店で油でも売ってたのか?」


「ご・・ごめん・・」


頼まれていたパンを強引に掴み取っていく


そんな態度をとられても何も言えない


僕はそんな自分を情けなく感じた。


近くでお弁当を食べていた香織ちゃんは


目でゴメンね、と合図を送っていた。


そんな可愛い香織ちゃんを見て


僕のムスコさんは、また反り返るのであった。