昆布の食品利用
昆布は、主に乾燥させて出汁をとるために日本料理では幅広く使われる。
ロシアでは「海のゴミ」と扱われているため、それを好んで食べる日本人は不思議がられるという。
細長く刻んで刻み昆布(そうめん昆布)にも加工される。
また、表面を薄く削っておぼろ昆布やとろろ昆布にもする。
近年では酢昆布やおしゃぶり昆布としてお茶請け・おやつにもなっている。
北海道では、湯通しした若い昆布を刺身昆布として食べる習慣がある。
市販の「早煮昆布」は棹前昆布、日高昆布、真昆布の若く薄いものをボイルして干したものである。
統計局の家計調査によると、青森市、盛岡市、富山市が昆布消費量の多い都市(2003~2005年平均:1世帯あたり)で、全国平均の1.4~1.8倍を消費している。
沖縄県那覇市は7位(全国平均の1.1倍)である。
沖縄県はかつて日本産昆布を中国に輸出するための中継地点であったことから、昆布を利用する食文化が生まれ昆布消費量が多かったが、近年は若者の伝統食離れで消費が減少している。
昆布つくだ煮の消費量が多い市は福井市、大津市、富山市で、これに京都、奈良など近畿地方の都市が続く。
近畿地方では古くから北前船によって昆布が多く流通し、独特の昆布消費文化と加工技術が存在するため、つくだ煮消費量が多い。
昆布は特に豊富な食物繊維や鉄分、カルシウムなどが含まれており健康食品として人気が高い。
池田菊苗が1908年古来から使われる昆布の旨み成分がグルタミン酸であることを発見し、これがうま味調味料の味の素となった。
他にも、昆布には人にとって必須元素であるヨウ素を多量に含有している。
昆布の表面に付着している白い粉はグルタミン酸とマンニトールで使用するときに洗い流すと味が悪くなる。
調理の際、だし汁に色が付くことがあるがあるが、緑色はクロロフィルの色素で、茶褐色はカロテンの色である。
青紫色への変色は、水道水に含まれる塩素イオンにより昆布のヨウ素が溶け出し、ボウルや鍋に付着したデンプンとが適度な温度でヨウ素デンプン反応を起こしたもので使用しても問題はない。
この色は加熱することにより消える。
上方食文化における昆布
乾燥させた昆布を湿気の多い大阪で倉庫に寝かせておくと、熟成することで昆布の渋みが無くなり甘みがでてくる。
大阪に昆布が広まったのは商用船が日本海航路を通って下関経由で大阪に運ばれるようになってからである。
安土桃山時代に農・乾物の一大集積地であった大阪は多湿な気候が乾物や昆布の旨味を熟成させたことから、江戸時代になると真昆布のダシを特徴とした食べ物は「大阪の食い倒れ」として有名になってきた。
大阪の農産物と交換に蝦夷から運ばれた乾物は、昆布のほか、帆立貝、棒だら、身欠きにしんなどがある。
主に商用船は太平洋側を避けて日本海航路で運ばれるようになったことから、大阪より敦賀や小浜で昆布の消費が多くなっている。
また刃物の街である堺の職人により、乾燥昆布を甘酢に浸し表面を削った「おぼろ昆布」が生まれた。
昆布表面の黒い部分は甘酢がよく染みていることから、酸味が多い黒い「おぼろ昆布」(黒おぼろ)になる。
中でも表面を薄く削ってゆくと、内側の白い部分が出てくる。
ここは酢に浸っておらず、昆布本来の甘みがある。
この昆布は「太白おぼろ」と呼ばれる。最後に残った昆布の芯の部分はばってら寿司や押しすしに使われるばってら昆布(白板昆布)になる。
薄く削るには職人による高等技術が必要とされる。
上記の堺でも「おぼろ昆布」が発達し、また北前船の集積地でもある敦賀でも「おぼろ昆布」技術が発達した。
おぼろを削ったヘタの部分は爪昆布と呼ばれ、お菓子として食べられることがある。
また、爪昆布は煮込むと昆布特有の粘りが強く出ることから、煮物などの調理の際に煮汁とともに入れ、その粘りを利用して表面に浮いた灰汁取りを容易にするといった使い方もなされる。
その他昆布の加工品といえば、塩昆布(日高昆布)が連想されるが、戦国時代の出陣の際、勝ち栗や喜ぶなどの縁起を担いだ出陣式に醤油で炊かれた塩昆布は細目昆布を醤油で煮込んだものと思われる。
醤油で炊かれた塩昆布を火鉢の網の上に並べて乾燥させては醤油につけ、網の上で3回乾燥させたものを「汐吹き昆布」といった。
粉が表面に吹いているように見えるが、これは昆布のうまみ成分が結晶化したものである。現在では、イノシン酸や昆布のグルタミン成分などの調味料をまぶす場合もある。
発酵食品分野に昆布が登場
近年、発酵食品のひとつに発酵塩昆布が考案された。もともと、昆布には硫酸基をもつ物質が含まれており、菌の繁殖を妨げていたのであるが、この硫酸基に影響を受けずに昆布を発酵させる菌が海底生物から見つかったことで、発酵塩昆布の開発に拍車がかかった。
昆布を発酵させる技術は、宝酒造、協和発酵キリン、こうはら本店がそれぞれ独創的な技術を持つ。
