全国的な団勢の衰退の背景には、「男」を全面的に打ち出す文化の衰退という事実もございます。更に時代が進みますと若者文化も多様化して参りまして、大学で4年間を過ごすにも様々な選択肢が出来ました。応援団のみならずクラブ活動そのものもかつてほど学生にとって魅力的なものではなくなってきた訳であります。
多くの場合、改革は勢いがある時にやる方が効果的でありまして、斜陽の傾向が見えて来てからの改革は、担い手に相応の力量がないとなかなか上手くいかないものであります。
一方、応援団は歴史的に大同団結が不得手な面があり、全国をカバーする様な連盟等の組織が成立した事はない様に記憶致します。昔から大学スポーツの花形である硬式野球のリーグの単位で連盟が出来る傾向がございます。東都リーグを母体とした応援団連盟が発展し現在の全日本学生応援団連盟になる訳でありますが、発足後は一時は本拠地の関東(一部地域除く)、東北、北海道、北陸、東海、関西の大学の応援団が加盟しておりました。しかし結果的には関東以東の地域以外で脱退する団が相次ぎ、現在に至るという歴史がございます。
そういう意味で考えますと、今は自校の応援団がどうなるか、という事も無論、大事ではありますが、それ以上に大学応援団というフィールドが魅力的な存在になる努力を優先すべきではないかと思っております。担い手である大学生、そしてこれから大学を志す中高生に対しては無論のこと、社会全体に対して発信力がある存在でなければ、10年先20年先を考えると、また現在と同じ苦悩に陥る事でありましょう。
今回の応援団フェスタでは私立大学のみならず一橋、筑波という全国的にもブランド力がある国立大学が参加して下さいます。もはや私立・国公立の違いを論っている場合ではない訳であります。
応援団業界に詳しい方であれば参加校の顔触れは、防衛大学校が入っていたり特定の連盟を主としたものでない事はお分かり頂けるかと思います。勿論、既存の枠組みを無視したこの取り組みに対しては業界からは好意的な声ばかりではないのも事実であります。ただ今は小異を捨てて行動を起こさなければならない時だと我々は確信致しております。
以前、我が團有志も参加させて頂いておりました清掃奉仕活動の中で、兵庫県朝来市にある「生野義挙」の碑がございます。維新の朝ぼらけを見る事無く斃れた志士達の最期の地であります。その一角に、この地で自害し果てた志士 南八郎の辞世の句が書かれた碑がございます。
「議論より実を行へなまけ武士 国の大事を余所に見る馬鹿」
応援団業界はそういう時期なのではないでしょうか?
【朝来市にある南八郎辞世の碑】
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会