本山村怪々奇團【37】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

第37話 抗議(後編)


さて、迎えた翌日、段取り通り原稿片手に固唾を飲んで電話機の前に立つ團員達。104で調べた〇子〇部屋の番号をダイヤルします。電話担当は表情が乏しい鈍い團員ですので、緊張した風もなく無表情に受話器を耳にあてて泰然自若の構えであります。
「もしもし」
声にも緊張した様子はなく、周囲の團員は一安心します。威風堂々、名乗りを上げ、〇〇山理事長を電話に出す様、要求します。すると滅多に見られぬ程、その團員は慌てた様子で
「押忍、昨日、TVで拝見した……、押忍、仰る通りであります。押忍、押忍」
とOBの先輩と話している様な感じになっておりまして、
「やはりあれはよろしくないのではないかと思いまして…、押忍、もちろんであります」
そして慇懃にお礼を申し上げ電話を切ります。

「おい、どないしたんや。打合せと違うやないか」
との当然の批判を浴びます。
「……本人や」
「??」
「いきなり二〇〇親方が電話に出たんや」
と言います。想定として相弟子や事務方がいらっしゃるかは分かりませんかそういう方、はたまた女将さん、いずれにしても本人以外の方が電話に出て、本人と話せる可能性はゼロに近いと踏んでおりましたので、まさか本人が出て来るとは思わず狼狽したという次第でございます。


いきなり千秋楽の表彰式でお馴染みの声が受話器から聞こえて参りまして、それまでにも同様の多数の抗議があったらしく、こちらから用件を切り出した途端、先方が先回りし対応を詫び、再発防止を約し、加えて「君達の様な尊王の意気に燃える若者がいて嬉しい」と持ち上げられたそうであります。その上、あの大貫禄であられますので、鷹揚な物言いにすっかり呑まれてしまった訳でございます。まだまだ修行不足という訳でありました。


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八代目甲雄会広報委員会