第33話 花【前編】
ある時、團務でOB会長を訪問した團長と幹事長のお話であります。会長に対し諸々の報告を行い、後は雑談という流れであります。
話の中であるOBが現在、入院しているという話が出ました。
「ほぉ、あいつは入院しとるんか」
と入院の事実を知らなかった会長。命に関わるような大事ではなかった事もあって、余りオープンにはなっていなかったのでありますが、OB各方面とは緊密に連絡を取り合う現役は知っていたという構図であります。
「お前ら、見舞いに行くんか?」
と会長より下問されますが、そう尋ねられると「いいえ」とは答えにくいものであります。
「押忍!近日中に伺おうかと思っていたところであります」
と心にもない事を答えざるを得ません。すると
「ワシからやという事で花を持って行ってくれ」
と財布から10万円を取り出されます。「押忍!分かりました!」と答え「会長、領収書の宛名はいかが致しましょう?」と尋ねるあたりはさすが團の金庫を預かる幹事長であります。会長は「OB会名にすると会の帳簿に載せなあかんからややこしくなる。ワシ個人としてやる分やから領収書はいらん」との仰せ。「押忍!かしこまりました」と失礼させて頂きます。
話の成り行きとは言え、余り面識もないOB氏のお見舞いに行く羽目に陥りました。しかも近日中と言ってしまった手前、團での近日中とは今日ないしは明日、という事を意味しますので、まだ時間も早かったので、今から行くか、という事になりました。
即座に病院の場所を調べ、最寄駅の隣接するショッピングモールで花を購入する計画が忽ち立案されまして、幹部2名が早速、向かったのでございます。【続く】
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会