食事を早く食べる事を意識し過ぎますと、不調法になってしまうケースが散見されます。しばしば見られるのが俗に「やっとこ」と呼ばれる茶碗の持ち方であります。年配の方なら「兵隊持ち」と呼んだり塀の上の行ったり来たりしている方なら「懲役持ち」と様々な呼称がある様ですが、茶碗の淵を掴む様に持つ、無作法と言われる持ち方の一つであります。
様々な呼称があるのも、その昔、アルミなどの熱伝導率が高い素材の器に熱いご飯や汁物を入れたりしますと、器が熱くて持てず、淵を掴んで食べざるを得ない事から来ている様であります。持ち方を変えただけでどれほど早くなるのか甚だ疑問でありますが、マナーを重んじる団体でありますので、避けたい事例の一つであります。
後は伝承が何処かで絶えている様ですが「二膳飯」という掟もありました。これは学食やお店ではなく、例えばOBの家に招かれたりした時などに食事を振舞って頂く際、ご飯は必ずおかわりをして二膳食べる事とされておりました。
稀に食事が出されるとは思わず、伺う前に食事を摂っていた時などは悲惨でありまして、満腹なのに食事が提供されるのであります。無論、残せません。実際に見た事はありませんが、そんな時はご飯の真ん中に穴をあける様に食べて、そこに一口分、よそって頂き、形の上では二膳にするという手があるそうであります。
魚の骨なども鰯や秋刀魚であれば、骨ごとバリバリと頭まで食べて、文字通り完食してしまう訳でありますが、どうしても骨や頭が食べられない魚に関しては残った頭や骨をティッシュ等にくるんで、持ち帰って捨てたりもしていたそうであります。
こう書いてみますと、よくもまあこんな事をやっていたものだと感心しますが、食事は美味しくゆっくりと食べるのが体にも精神にも良い事は間違いありません。
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会