4.三角市場
今回は三角市場でありますので、店と言うよりは消えた名所と言う方が相応しいかもしれません。
三角市場は東門街 を北上し、山手幹線 に行き当たる手前の東側にあった市場でございます。
かつて大東亜戦争後、日本各地で闇市と呼ばれた市場が形成されましたが、神戸の闇市は三宮高架下から神戸駅までに至る全長約2kmに及ぶ日本一長いものでございました。神戸港という日本屈指の港を持つ神戸は物資の陸揚げ拠点であった為、他地域でも「神戸に行けば物がある」という風説が流れ、多くの人が流入して来たという記録もございます。
【昭和21年当時の元町駅付近】
そんな闇市とはこんな感じだったのだろう、と思わせてくれる風情があったのが三角市場でありました。迷路のような細い路地が入りくんだ市場には普通の八百屋さんや肉屋さん等もありましたが、土地柄、スナック等で提供される付き出しや乾き物を売っている店が多かった様な印象がございます。
三宮に出てきたものの懐が寂しい團員が、この市場で業務用の巨大なバナナチップの袋なんぞを購入し、むしゃむしゃと腹の足しにしてから飲みに行く姿なども見受けられました。
この地域は阪神大震災で甚大な被害を受け、復興後、市場はその姿を消しました。
【震災後の三角市場】
今でも市場があった跡地には「三角○○ビル」などの名称が残っており往時を偲ぶ事が出来ます。また東門街の一本、東側の南北の通りには今でも市場時代を彷彿させるお店が残っております。
その通りと山手幹線が交わる角にあります「三角フラワー」は三宮の花屋さんの老舗でありまして、映画「神戸国際ギャング 」のモデル の親族の方が営業される店である事は、夜の社交家の間では常識でありまして、一目も二目も置かれ、馴染みのお店の女の子への花の差し入れは、このお店で行うのが正しい應援團幹部の姿とされておりました。
かつて三宮は高級感が漂う夜の街でありましたが、その片隅に斯様な闇市を彷彿とさせる市場があった事が妙なコントラストを醸し出し、三宮を三宮らしくしていた様な気が致します。
八代目甲南大學應援團OB会
広報委員会