私は、坂崎ヒデトと云います。35歳になりました。夢は、モデルで芸能界入りが目標でした。
今は、精神疾患を患っています。しかし心療内科クリックのデイケアを通院しつつ【ピア・サポート専門員】養成講座を受講して修得しました。
最近、自助グループを立ち上げて『レジリエンス』と名称しました。まだ仲間はいないので自ら代表に就任しました。
私の人生の一部を読んでなぜピアを修得しようとしたのか?そして自助グループを立ち上げたのか理由等、興味を持って下されば幸いです。
私を通して、少しでも精神障がい者の誤解や偏見がなくなることを思って、日誌を書きたいと思います。2017年7月9日。


朝、ラフな私服を纏い早く家を出て改札を通り、ラッシュ前の電車がホームへ滑り込み少し緊張した足取りで、車内の優先席に陣取った。足取りの目的は目黒区の芸能事務所にオーディションを受ける為だ。携帯を触れると落ち着かない…朝日が登ると都市の間にたくさんの影が産まれて幻想的な情景が写し出された。電車は準急で地下と地上を交差した。外の風景があっという間に流れるのを確認しながら、前回落ちた芸能事務所の社長の言葉を思い出した。「何かできる!?得意なことは?何もないの!?芸能界舐めたらダメだよ~まぁ~背は高いからモデルとして採用したいけど…結果待ってくれる!」一周間以内に通知するとのことが3日後に来た。ヒデトがボソッと「あり得ない…ったく、見る眼ない」と呟いた。今の事務所で8社目…中国では8は、縁起が良いと感傷的な感覚を持ちながらも自信はないけどこれで食べて活きたい!その強い信念は貫き通しての今、事務所入り口で気持ちを新たにした。「ふっ」と、息を抜いて、颯爽と螺旋階段を掛け上がる。待ってましたとスタッフらしき女性が番号を読み上げた「え~と、173番…173番の坂崎ヒデトさんいますか!?」ヤバい遅刻!?なんて想いながら余裕もなく着席を促された。




〈本作品は、全てフィクションで有り登場人物等は、実在しません〉