【フル・フロンタル】





そこまでだ、バナージ君!


下手な真似はしないほうがいい、『箱』の在り処が明らかになったら、我々は君をためらいなく殺す事もできる、ユニコーンを壊すこともな。


なぜ否定する。


連邦に『箱』を引き渡せば、これまで通りの歪な世界が続くだけのことだ。それは、変革を願っていた君の父上の遺志に反することではないのか?『箱』を使って、棄民たるスペース・ノイドの宿願を果たせるのは我々だけだ。


君に何ができる?君は『ラプラスの箱』をどう使うというのだ?


(みんなのために…みんなの為に使う!)


(連邦もジオンも、地球も宇宙も関係ない。みんなの為に『ラプラスの箱』を!)


君の言う「みんな」とは何だ?


一人の人間が全ての遺志の代弁者になることなどできない。器にでもならない限り。


だが器になれるのは、己を空にし、狂気のさらに向こうへ立ち入った者だけだ。それは容易なことではない…が、君には才能がある。


君が本当に器足らんとするなら、私と共に来い。


父の思いを託され、訓練を受けさせられた君は、一瞬の強化人間だ。


その力を示してしまった以上、もう「みんな」の中に帰れない。


いつか私と同じ絶望に突き当たることになる!


〈《それでも》と、いい続けろ、バナージ!〉