ずっと一緒に、これからも一緒に歩いていくと思ってたあの子は、私の前で流すことはなかった。また、私もあの子の前では流すことはなかった。

これから、見ることも見せることもないだろう。


でもあなたは違った。

突然流れた涙に戸惑うことなく抱きしめてくれた。

恥なんてまっさらなくて、申し訳ない気持ちも、いつもの私なら一番に思うのに、それもなかった。

泣いている自分は、案外悪くない。

逆に、もっと泣いていい、ぐちゃぐちゃになっていいと安心の色が広がっていった。


ある日、あなたが涙をこぼした。

苦しい気持ちが移って、私も暗くなるはずなのに

嬉しさが混ざって不思議な色が広がる。


泣いている顔なんて恥があるはずなのに、、

認めてくれた証なのだろうか。

誰よりも、あなたに深く踏み入れた気がして

嬉しい半面、うまくその場に合った言葉が探せなかったのを少し後悔してる私が見え隠れしている。



笑顔はいくらでも作れるけれど、

涙を作れる人はなかなかいない。

だからか、涙の印で認め合いをしているようになり安心が生まれる。

そう思うのは私だけだろうか。


もしあの子の前で流せていたら、またはあの子が流せてくれていたら少しでも変わっていたのだろうか。でも今、こうなってる以上、それはないなと、意識は勝手にあなたへと向いている。


私は少し変われたのかもしれない。

真っ直ぐに歩いていたつま先は、いつしか斜めに向いていた。


泣くことはダメだと思っていた自分とは

さよなら。

泣いている自分と手を繋ぐ。これからは

よろしく。


素直に泣く自分を抱いてこれから歩んでいこうと思う夜のことだ。